↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10年ぶりに帰った俺、世界最強のUnknownになっていた  作者: 神崎昴
第一部 10年ぶりの帰還

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
33/101

第33話 勝利のあと

 魔物が地面に倒れている。


 蓮はしばらく、その場から動けなかった。


「……勝った」


 何度呟いても、まだ実感が湧かない。


 つい数週間前まで、あの魔物から逃げることしかできなかった。


 それが今は――


 自分の槍で倒した。


 蓮はゆっくりと近づく。


 念のため、まだ動いていないことを確認する。


「……もう、動かない」


 蓮はようやく肩の力を抜いた。


     ◇


 蓮魔物の身体を調べ始めた。


 まず目についたのは、鋭い牙。


 そして、分厚い毛皮。


「これ……使えるかも」


 今まで倒してきた魔物とは明らかに違う。


 毛皮は丈夫で、傷も少ない。


 食べられる部分もあるかもしれない。


 けれど――


「……今日は無理だな」


 今の蓮には、解体するだけの体力が残っていなかった。


 蓮は魔物の場所を覚え、その場を離れることにした。


     ◇


 帰り道。


 蓮は何度も自分の身体を確認していた。


 疲れている。


 傷もある。


 それでも――


 以前なら、これほど動き続けることはできなかった。


「……また変わってる」


 戦いの中で《生存適応》が働いた。


 そして、自分は勝った。


 蓮は歩きながら考える。


「危険になるたびに……身体が変わる」


 まだ確信ではない。


 けれど、少しずつ分かってきた。


 生き残るために必要なものが、自分の身体に加わっている。


「……じゃあ」


 蓮は足を止めた。


 もし、もっと危険な場所へ行ったら。


 もっと強い魔物と戦ったら。


「もっと強くなれるのかな」


 少しだけ期待する。


 けれど、すぐに首を振った。


「……無理して死んだら意味ない」


 強くなることよりも、まず生き残ること。


 それが今の蓮にとって一番大切だった。


     ◇


 寝床へ戻った蓮は、火を起こした。


 槍を横に置く。


 そして、火を見つめながら先程の戦いを思い返した。


 最初は怖かった。


 今でも怖い。


 それでも――


「……次は、もっと上手く戦える」


 そう思えた。


 数週間前の自分とは違う。


 何度も魔物と戦い、何度も傷つき、そのたびに生き残ってきた。


 その積み重ねが、今の自分を作っている。


     ◇


 蓮は寝床の近くにある岩壁へ目を向けた。


 そこには、これまでの探索で自分が刻んできた地図がある。


 歩いた場所。


 魔物と遭遇した場所。


 危険だった場所。


 少しずつ増えてきた線を、蓮は指でなぞった。


「……ここは行った」


 これまで歩いてきた場所を確認していく。


 そして、まだ線が刻まれていない場所へ目を向ける。


「……この先に、階段があるかもしれない」


 この階層をかなり探索してきた。


 それでも、まだ見つけていない。


 なら――


 残っている場所を探すしかない。


「……行ってみよう」


 蓮は槍を手に取った。


 リベンジ終えた今、次の目的は決まった。


 この階層の階段を見つける。


 そして、下へ進む。


 蓮は岩壁に刻まれた地図を最後にもう一度確認すると、まだ見ぬ場所へ向かって歩き始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。