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10年ぶりに帰った俺、世界最強のUnknownになっていた  作者: 神崎昴
第一部 10年ぶりの帰還

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第30話 再び、あの場所へ

 翌日。


 蓮はいつもより早く目を覚ました。


 槍を手に取る。


 食料を確認する。


 水も準備する。


 そして、地図を広げた。


 視線の先にあるのは――


 グランウルフと初めて遭遇した場所。


「……行くか」


 蓮は立ち上がった。


     ◇


 歩きながら、これまで戦ってきた魔物のことを思い出す。


 速い魔物。


 力の強い魔物。


 硬い魔物。


 何度も戦った。


 何度も傷ついた。


 そして、そのたびに少しずつ身体が変わった。


 今の自分なら――


 以前とは違う。


 そう思える。


 けれど、グランウルフだけは別だった。


 あのとき感じた恐怖は、今でもはっきり覚えている。


「……本当に勝てるかな」


 蓮は足を止めた。


 少しだけ不安になる。


 けれど、槍を握り直す。


「……確かめるしかない」


 再び歩き始めた。


     ◇


 しばらく進むと、空気が変わった。


 蓮は立ち止まる。


「……」


 静かだ。


 魔物の気配がない。


 けれど――


 何かいる。


 蓮は槍を構えた。


 周囲を見渡す。


 その瞬間。


 岩陰から、一匹の魔物が姿を現した。


 灰色の毛。


 鋭い牙。


 大きな身体。


 そして――


 あの目。


「……グランウルフ」


 前に自分を追い詰めた魔物。


 蓮の身体が一瞬、強張った。


 怖い。


 それは変わらない。


 けれど――


 以前とは違う。


 蓮は一歩下がり、槍を構え直した。


「……今度は逃げない」


 グランウルフが低く唸る。


 地面を蹴る。


 蓮は目を見開いた。


「来る!」


 身体が反応する。


 魔物の動きが見える。


 前脚。


 踏み込み。


 跳躍。


 そして――


 蓮は横へ飛んだ。


 爪が目の前を通り過ぎる。


「……避けられた」


 前回とは違う。


 グランウルフが振り返る。


 蓮は槍を構えた。


 次の攻撃が来る。


 今度は――


 自分から踏み込む。


「はあっ!」


 槍がグランウルフへ向かって伸びる。


 しかし――


 ガキッ!


 硬い毛皮に阻まれた。


「……浅い!」


 グランウルフが唸る。


 そして、再び姿勢を低くした。


 蓮も槍を構える。


 まだ勝てるとは限らない。


 身体は強くなった。


 戦い方も覚えた。


 それでも――


 目の前の魔物は強い。


 蓮は息を整える。


「……ここからだ」


 グランウルフが再び地面を蹴った。


 そして――


 二人の再戦が始まった。

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