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10年ぶりに帰った俺、世界最強のUnknownになっていた  作者: 神崎昴
第一部 10年ぶりの帰還

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第23話 2階層の生活

 2階層で魔物を倒してから、数日が過ぎた。


 蓮はすぐに先へ進もうとはしなかった。


 まずは、この階層で生きられる環境を作る。


 それが今の蓮にとって一番大切だった。


     ◇


 水場の場所を確認する。


 食料になる植物を探す。


 魔物が通る道を記録する。


 そして、自分が安全に休める場所を探す。


 1階層で身につけたことを、2階層でも繰り返していく。


 ただし、1階層とは違うこともあった。


「……魔物、多いな」


 2階層では、魔物と遭遇する回数が明らかに多かった。


 しかも、1階層より強い。


 蓮は無駄な戦いを避けるようになった。


 必要のない戦いはしない。


 危険を感じたら隠れる。


 どうしても食料が必要なときだけ狩る。


 それだけでも、怪我をする回数が減った。


     ◇


 ある日。


 蓮は水場の近くにある大きな岩の隙間を見つけた。


 中を確認する。


 魔物はいない。


 雨が降る場所でもない。


 外からも見えにくい。


「ここなら……」


 蓮は周囲を確認した。


 水場からも、それほど遠くない。


 食料を探しに行くにも困らない。


「ここにしよう」


 蓮はその場所を新しい寝床に決めた。


 1階層の寝床とは違う。


 階層が変われば、生活する場所も変える。


 蓮は少しずつ、自分に合った場所を見つけられるようになっていた。


     ◇


 その夜。


 蓮は火の前で肉を焼いていた。


 焼けた肉を一口食べる。


「……うん」


 最初に生肉を食べたときとは違う。


 今では、火を使って食事をすることが当たり前になっていた。


 食事を終えると、水を飲む。


 そして地図を広げた。


 2階層に入ってから、かなりの範囲を調べた。


 けれど、まだ地図には空白がある。


「……まだ先がある」


 蓮は地図の空白を見つめた。


 この階層にも、まだ知らない場所がある。


 そして、その先には――


 下へ続く階段があるはずだ。


 蓮はまだ知らない。


 階段の位置は、この階層に入った時点ですでに決まっている。


 ただ、蓮にはその場所を知る方法がない。


 だから、歩いて探す。


 地図を作る。


 少しずつ範囲を広げる。


 そうしていけば、いつか必ず階段へたどり着く。


「明日は、あっちを調べよう」


 蓮は地図の空白を指で示した。


 火が小さく揺れる。


 2階層での生活は、まだ始まったばかりだった。

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