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10年ぶりに帰った俺、世界最強のUnknownになっていた  作者: 神崎昴
第一部 10年ぶりの帰還

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第22話 2階層の魔物

 蓮は岩陰から魔物を見つめていた。


 大きい。


 四本の脚。


 鋭い爪。


 1階層で出会った魔物より、明らかに体格が大きい。


 蓮はすぐには動かなかった。


 戦う前に、観察する。


 それが今までの経験で身につけた習慣だった。


 魔物は周囲の匂いを嗅いでいる。


 しばらくすると、ゆっくり歩き始めた。


 蓮は距離を保ちながら後を追った。


     ◇


 魔物は大きな岩の前で足を止めた。


 そして、岩の近くに生えていた植物を食べ始める。


「……これを食べるのか」


 蓮は地図に印をつけた。


 食料になる可能性がある。


 ただし、今は採らない。


 まずは魔物の行動を覚える。


 魔物はしばらく食べると、今度は水のある方向へ歩き始めた。


 蓮はその後を追う。


 すると、少し先に小さな水場があった。


「ここにも水がある」


 蓮は水場の位置も地図に記録した。


 2階層にも、水場が存在する。


 食料になる植物もある。


 そして魔物もいる。


 1階層と同じように、生きるための環境が存在している。


     ◇


 魔物が水を飲み始めた。


 蓮は少し離れた場所から観察する。


 そのとき、魔物が突然顔を上げた。


「……!」


 蓮も息を止める。


 魔物がこちらを見ている。


 気づかれた。


 蓮は槍を握った。


 魔物が低く唸る。


 そして――


 一気に走ってきた。


「速い!」


 蓮は横へ飛んだ。


 魔物の爪が目の前を通り過ぎる。


 ズガッ!


 岩に爪が食い込んだ。


「……こんなの、まともに受けたら終わる」


 蓮は距離を取った。


 魔物が振り返る。


 再び向かってくる。


 蓮は逃げながら考えた。


 速い。


 力も強い。


 1階層の魔物とは違う。


 でも――


 動きには癖がある。


 直線的に向かってくる。


 そして攻撃した後、ほんの一瞬だけ動きが止まる。


「そこだ」


 魔物が飛びかかる。


 蓮はギリギリまで引きつけた。


 そして横へ避ける。


 魔物の身体が通り過ぎる。


 その瞬間。


 蓮は槍を突き出した。


 深く突き刺さる。


 魔物が倒れた。


     ◇


 蓮はしばらく動かなかった。


 荒い呼吸を整える。


「……勝った」


 けれど、今回は1階層のときとは違った。


 ただ攻撃するだけでは勝てなかった。


 相手の動きを見て、攻撃の瞬間を狙った。


 蓮は倒れた魔物を見る。


「もっと強くならないと」


 そう呟いた。


 そして魔物を処理しながら、もう一つのことを考えていた。


 この階層には、この魔物より強いものもいるかもしれない。


 なら――


 もっとこの場所を知らなければならない。


 蓮は地図を広げた。


 水場。


 魔物のいた場所。


 自分が戦った場所。


 一つずつ書き込んでいく。


 2階層の探索は、まだ始まったばかりだった。

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