第21話 2階層
翌朝。
蓮はいつもより多めに食料を用意した。
水も十分に確保する。
槍を手に取る。
そして、昨日描いた地図を確認した。
「……大丈夫」
準備はできている。
蓮は寝床を出た。
昨日見つけた階段へ向かう。
◇
階段の前に到着する。
蓮は一度だけ振り返った。
ここから先は、まだ知らない場所だ。
「行こう」
蓮は一段目に足を乗せた。
一段。
二段。
ゆっくりと下へ降りていく。
階段は長かった。
途中で何度か立ち止まり、周囲を確認する。
魔物の気配はない。
やがて――
最後の一段を降りた。
◇
目の前に広がった光景を見て、蓮は立ち止まった。
「……広い」
1階層とは明らかに違う。
天井が高い。
通路も広い。
岩の形も違っている。
同じダンジョンなのに、まるで別の場所だった。
蓮は後ろを振り返る。
階段はそこにある。
帰ることはできる。
それを確認してから、前を向いた。
「まずは……調べよう」
◇
蓮は歩き始めた。
すぐに地図を描き始める。
階段の位置。
通路の方向。
分かれ道。
行き止まり。
一つずつ記録していく。
1階層で覚えたやり方が、そのまま役に立った。
しばらく進むと、壁に傷があった。
深い。
蓮は指先で触れる。
「……爪?」
1階層で見たものより大きい。
蓮は警戒しながら周囲を見る。
そのとき――
ズシン。
遠くから音が響いた。
蓮はすぐに岩陰へ身を隠した。
ズシン。
ズシン。
音が近づいてくる。
◇
やがて、一頭の魔物が姿を現した。
大きい。
1階層で戦った魔物より、明らかに体格が違う。
蓮は槍を握る。
しかし、すぐには攻撃しない。
観察する。
歩き方。
視線。
耳の動き。
足を止める場所。
何を探しているのか。
蓮は息を潜めながら、そのすべてを見ていた。
「……強そう」
それでも、怖くて逃げるだけではない。
今までの経験がある。
魔物を観察する。
弱点を探す。
動きを読む。
そして、自分が勝てる方法を考える。
蓮は初めての2階層で、静かに槍を構えた。
ここから先は、1階層とは違う。
蓮はそれを少しずつ理解し始めていた。




