↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10年ぶりに帰った俺、世界最強のUnknownになっていた  作者: 神崎昴
第一部 10年ぶりの帰還

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
19/85

第19話 罠

 翌日。


 蓮は昨日の狩りを思い返していた。


 魔物を追いかける。


 逃げ道を塞ぐ。


 そして倒す。


 今までは、それで十分だった。


 けれど――。


「……毎回、追いかけるのは大変だな」


 蓮は地図を見る。


 昨日観察した魔物は、いつも同じ場所を通っていた。


 同じ時間に近くを通り、同じ方向へ進んでいく。


 蓮は考えた。


「だったら……待ってればいい」


     ◇


 蓮は魔物が通る場所へ向かった。


 そこは岩と岩の間にある細い通路だった。


 魔物が通るには十分。


 けれど、大きく避けることはできない。


 蓮は周囲を調べる。


 そして、細い木の枝を集めた。


 石もいくつか拾う。


「これなら……」


 蓮は地面を掘った。


 深くはない。


 魔物が足を取られる程度の小さな穴。


 その上に細い枝を並べ、枯れた植物を乗せる。


 最後に、周囲の土や砂をかぶせた。


 遠くから見れば、ただの地面にしか見えない。


「……できた」


 蓮は少し離れた場所へ移動した。


 待つ。


 静かに待つ。


 魔物の気配が近づいてくる。


「……来た」


 蓮は身を隠した。


 魔物が通路へ入ってくる。


 一歩。


 二歩。


 そして――。


 ズッ。


 魔物の足が地面に沈んだ。


「!」


 魔物が驚いて暴れる。


 蓮はすぐに飛び出した。


 魔物が穴から抜け出そうともがく。


 蓮は距離を取ったまま、動きを見る。


 そして隙を見つけると、槍を突き出した。


 魔物が倒れる。


 蓮は息を吐いた。


「……うまくいった」


     ◇


 蓮は罠を見つめた。


 思ったより簡単だった。


 でも、一つ分かったことがある。


 自分が直接戦わなくても、魔物を弱らせることができる。


 それだけで危険が減る。


「……もっと作れるかも」


 蓮は周囲を見渡した。


 使えそうな場所。


 魔物が通る場所。


 逃げ道。


 いろいろなことが気になり始める。


 今までなら、魔物を見つければ戦っていた。


 これからは違う。


 魔物がどう動くのか。


 どこを通るのか。


 どうすれば戦わずに倒せるのか。


 考えることが増えた。


     ◇


 その日の夜。


 蓮は寝床で地図を広げた。


 昨日までの印に、新しい印を加える。


 魔物の通り道。


 水場。


 寝床。


 そして――罠を仕掛けた場所。


「……少しずつ分かってきた」


 ダンジョンは、ただの暗い洞窟ではなくなっていた。


 蓮にとっては、自分が生きるための場所になっていた。


 そして蓮自身も。


 ただ逃げて生き残る少年から、考えて生きる少年へと変わり始めていた。


 明日は、今日より少しだけ上手く生きられる。


 蓮はそう思いながら、静かに目を閉じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。