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10年ぶりに帰った俺、世界最強のUnknownになっていた  作者: 神崎昴
第三部 世界第二位来日編

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第186話 蓮の答え

家に戻ってからも、蓮の頭にはクロフォードとの会話が残っていた。


 世界ランキング二位。Lv154。地上へ戻ってから、初めて明確に強いと思った人間。


 そのクロフォードが、自分と戦いたいと言った。


「…………」


 リビングには、蓮、美月、玲奈、ひなたの四人がいる。


 テーブルの上には飲み物が置かれていたが、まだ誰も模擬戦の話を始めていなかった。


 最初に口を開いたのは、美月だった。


「蓮」


「……うん」


「クロフォードさんとの模擬戦」


 一度、言葉を切る。


「どう思ってる?」


「…………」


 蓮は少し考える。


「まだ」


「うん」


「完全には、決めてない」


「そっか」


 美月は、それ以上急かさなかった。


「美月は」


「ん?」


「どう思う?」


「私は、蓮がやりたいならやってもいいと思う」


「やりたくないなら?」


「断っていいよ」


「…………」


「世界二位だからとか、わざわざ会いに来てくれたからとか、そういうことで無理に受ける必要はないから」


「……うん」


 蓮は小さく頷いた。


「私は」


 玲奈が口を開く。


「正直、ちょっと見てみたいけどね」


「……模擬戦?」


「そりゃね。剣士としては気になるよ」


 玲奈は少し笑う。


「でも、それと蓮が戦うかどうかは別だから」


「……うん」


 そこで、ひなたが蓮を見る。


「蓮くん」


「?」


「クロフォードさんの戦い方、ちょっと気になってるんでしょ?」


「…………」


 蓮は止まった。


「……うん」


 否定はしなかった。


 面会の前は、世界二位と言われてもほとんど実感がなかった。


 けれど、《鑑定》で能力を見た。地上の冒険者の基準も知った。本人から、どう戦うのかも聞いた。


 その結果、実際に動いた時にどんな戦いになるのか、少しだけ気になっている。


「でも」


 蓮が口を開く。


「俺」


「うん」


「戦いたいって感じではないと思う」


「じゃあ」


 美月が聞く。


「何が気になるの?」


「…………」


 蓮は言葉を探す。


「見てみたい」


「クロフォードさんが戦うところ?」


「……うん」


「そっか」


 美月が小さく頷いた。


「それなら、蓮がどうしたいかで決めればいいと思う」


「…………」


 蓮は三人を見る。


 美月は、戦えとは言わない。玲奈も、見たいとは言ったけれど、それを理由に戦ってほしいとは言わなかった。ひなたも、ただ蓮の気持ちに気づいただけだった。


 誰も、答えを決めようとはしていない。


「…………」


 蓮は目を伏せた。


 クロフォードの姿を思い出す。


 話しやすかった。七年間のことを無理に聞かなかった。強くなりたいとはっきり言った。そして、自分と戦いたいと言った。


 怖いわけでも、嫌なわけでもない。


 むしろ、あの人が実際にどう戦うのか、自分の目で見てみたい。その気持ちは、確かにあった。


「美月」


「うん」


「俺」


 一度、言葉を止める。


「……やってみる」


「…………」


 美月が蓮を見る。


「模擬戦?」


「うん」


「本当にいいの?」


「……うん」


 今度は迷わなかった。


「クロフォードさんが」


 蓮は少し考える。


「どんなふうに戦うのか、見てみたい」


「そっか」


 美月が小さく笑う。


「なら、いいと思う」


「決まったね」


 玲奈も口元を緩める。


「私も応援する」


 ひなたが頷いた。


「……ありがとう」


 蓮は三人を見る。


 誰かに求められたからではない。世界一位だからでもない。クロフォードが世界二位だからでもない。


 自分が、この人の戦いを見てみたいと思ったから。


「じゃあ」


 美月が言う。


「支部長に連絡するね」


「うん」


 蓮は小さく頷いた。


 エイドリアン・クロフォードとの模擬戦。


 蓮は、自分の意思で受けることを決めた。

すいませんでした。

171話が抜けてました。

今171話を入れました。

162話を一つ消したいのですが、やり方がわかりません。

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