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10年ぶりに帰った俺、世界最強のUnknownになっていた  作者: 神崎昴
第三部 世界第二位来日編

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第179話 Lv154という数字

世界二位という順位にも、それだけの理由がある。


 蓮は、目の前のクロフォードを見ながら、さっき《鑑定》で見た数字を思い返していた。


 Lv154。


 それが高いことは分かる。


 けれど、地上の冒険者にとって、どれほど高いのか。


 蓮はまだ、正確には知らなかった。


「クロフォードさん」


「何だ?」


「世界二位って」


 蓮は少し考える。


「他の冒険者と、どれくらい違うんですか?」


「…………」


 クロフォードが、僅かに首を傾げる。


「難しい質問だな」


「そうなんですか?」


「ああ。同じランクでも、実力には差がある」


「…………」


 そこで、支部長が口を開いた。


「黒瀬君は、その辺りの基準をほとんど知らなかったね」


「……はい」


「なら、少し説明した方が分かりやすいかもしれない」


 蓮が支部長を見る。


「冒険者は、ある程度まで成長すると、レベルが上がりにくくなる」


「…………」


「多くの冒険者にとって、Lv50前後が一つの大きな壁になる」


「……50」


 蓮の頭に、美月たちのレベルが浮かぶ。


 美月はLv64。


 玲奈はLv62。


 ひなたはLv47。


「じゃあ」


 蓮が三人を見る。


「美月と玲奈って、かなり高いの?」


「一般の冒険者と比べれば、十分に高いよ」


 支部長が答える。


「ひなたも?」


「もちろん」


「…………」


 ひなたが少し困ったように笑う。


「蓮くんに言われると、なんか変な感じだけどね」


「……なんで?」


「それは玲奈ちゃんに聞いて」


「なんで私に振るのよ」


 玲奈が苦笑する。


 蓮は少しだけ首を傾げた。


「それで」


 支部長が話を戻す。


「Lv100を越える冒険者となると、世界でもごく一部になる」


「……100」


「ああ」


「Sランクだからといって、全員がLv100を越えているわけではない」


「…………」


 蓮は、もう一度クロフォードを見る。


 Lv154。


 今聞いた基準と比べれば、その数字がかなり高いことは分かる。


「クロフォードさんは」


「うん」


「レベル、聞いてもいいですか?」


「構わない」


 クロフォードは、特に気にした様子もなく答えた。


「私はLv154だ」


「…………」


 蓮は知っていた。


 それでも、改めて本人の口から聞く。


「……154」


「ああ」


 玲奈が小さく息を吐いた。


「分かってても、聞くとすごいですね……」


 美月もクロフォードを見る。


 支部長は、そのまま続けた。


「そして、現在確認されている人類の中に、Lv200を越える冒険者はいない」


「…………」


 蓮の目が僅かに止まった。


「……いない?」


「ああ」


「一人も?」


「確認されている範囲ではね」


「…………」


 蓮は黙った。


 多くの冒険者にとって、Lv50前後が壁。


 Lv100を越える人間は、ごく一部。


 クロフォードはLv154。


 そして、人類にはLv200を越える冒険者すら確認されていない。


 初めて。


 地上の冒険者の基準が、少しだけ形になった。


「黒瀬?」


 クロフォードが声をかける。


「……はい」


「驚いたか?」


「少し」


「何に?」


 蓮は考える。


「クロフォードさんが」


 一度言葉を止める。


「……本当に、かなり強い人なんだなって」


「…………」


 クロフォードが一瞬だけ黙った。


 玲奈が横から蓮を見る。


「いや、世界二位って聞いた時点で分かろうよ」


「……数字の方が分かりやすい」


「そこなんだ……」


 美月が小さく笑う。


 クロフォードも、少しだけ口元を緩めた。


「黒瀬らしいな」


「……そうですか?」


「ああ」


 蓮は、もう一度クロフォードを見る。


 Lv154。


 世界二位。


 ランキングだけを聞いていた時とは違う。


 地上の人間がどこまで成長できるのか。その基準を知ったことで、クロフォードがどれほど高い場所にいるのか、蓮にも少し分かってきた。


「…………」


 ただ。


 それと同時に。


 一つ、気になることもあった。


 クロフォードは、七年間。


 ずっと世界二位だった。


 そして、その上には。


 ずっとUnknownがいた。


 クロフォードは、その七年間をどう見ていたのか。


 そしてクロフォードもまた。


 Unknownとして記録されていた七年間に、蓮がどこで何をしていたのかを知らなかった。

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― 新着の感想 ―
 彼とだけは、腹を割って話しても良さそうに思えますね。
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