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10年ぶりに帰った俺、世界最強のUnknownになっていた  作者: 神崎昴
第三部 世界第二位来日編

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第171話 会うことになった

 美月から支部長へ連絡が入った。


『蓮、会ってもいいそうです』


「そうか」


『はい』


「無理をしている様子は?」


『それは大丈夫だと思います』


 支部長は少しだけ安心した。


 世界ランキング二位、エイドリアン・クロフォードとの面会。黒瀬蓮が嫌がるのであれば、相手が誰であっても断るつもりだった。


「分かった。では、こちらで日程を調整する」


『お願いします』


「神崎君たちも、一緒で構わないか?」


『私たちもですか?』


「ああ」


 支部長は少し考えてから続ける。


「黒瀬君も、その方が落ち着くだろう」


『……そうですね』


 美月もすぐに納得した。


 初めて会う相手であり、しかも世界ランキング二位だ。美月たちが一緒なら、蓮も余計なことを気にせず話せるだろう。


『玲奈とひなたにも聞いてみます』


「頼む」


『はい』


 通話が終わる。


「…………」


 支部長は机の上の書類へ視線を落とした。


 エイドリアン・クロフォード。


 世界ランキング二位。


 そして、黒瀬蓮。


 世界ランキング一位。


 二人が直接会う。


 世間が知れば、間違いなく大きな騒ぎになる。


 だからこそ、場所は慎重に選ぶ必要があった。


 通常のギルド施設では人の出入りが多い。一般冒険者、職員、依頼人。誰かに気づかれる可能性もある。


 支部長は少し考え、ギルドが管理する関係者用の施設を候補に選んだ。


 一般の冒険者は立ち入らない。入口も通常の施設とは分かれている。


 そこであれば、報道陣に囲まれる可能性もかなり低い。


「…………」


 先ほどまで面会の可否を保留していた英国側の窓口へ、支部長は改めて連絡を入れた。


 しばらくして通話がつながる。


『はい』


「先ほどの件ですが」


『黒瀬氏の面会についてですか?』


「はい」


 支部長は少し間を置く。


「本人から、面会を受けるとの返事がありました」


『…………』


 電話の向こうで、一瞬沈黙があった。


『分かりました』


「場所と時間はこちらで指定します」


『問題ありません』


「当日は、黒瀬君のパーティーメンバーも同席する予定です」


『承知しました』


 余計な注文は何もない。


「では、詳細が決まり次第、改めて連絡します」


『よろしくお願いします』


 通話が終わる。


      ◆


 同じ頃。


 クロフォードの滞在先であるホテルの一室。


 窓際に一人の男が立っていた。


 エイドリアン・クロフォード。


 その背後から、英国側の職員が声をかける。


「クロフォードさん」


「何だ?」


「日本側から連絡がありました」


 クロフォードが振り返る。


「黒瀬蓮氏が、面会を受けるそうです」


「そうか」


 短い返事。


 けれど、その灰青色の瞳がほんの僅かに変わった。


 七年間。


 ずっとランキングの頂点にいた人物。


 姿さえ分からなかった。


 その人物と、ようやく直接言葉を交わせる。


「日程は?」


「現在調整中です。場所も日本側が用意するとのことです」


「分かった」


 クロフォードはそれ以上何も聞かなかった。


 ただ、再び窓の外へ視線を向ける。


 黒瀬蓮。


 七年間、誰にもその座を譲らなかった世界ランキング一位。


 どんな人間なのか。


 どんな考えを持っているのか。


 なぜ七年間、誰にも姿を見せなかったのか。


 まだ何も分からない。


 だから、まずは会う。


 話す。


 それでいい。


      ◆


 翌日、美月のスマートフォンへ支部長から連絡が届いた。


『面会日時が決まりました』


 美月がその画面を蓮へ見せる。


「蓮」


「ん?」


「決まったよ」


「……いつ?」


 美月が画面を見る。


「明後日」


「…………」


 蓮は少しだけ止まった。


 世界ランキング二位。


 エイドリアン・クロフォード。


 その人物と会う日が決まった。


「……分かった」


 蓮は短くそう答えた。

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