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10年ぶりに帰った俺、世界最強のUnknownになっていた  作者: 神崎昴
第三部 世界第二位来日編

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第170話 世界二位が会いたい

夕方。


 美月が家へ戻ると。


「ただいま」


 少しして。


「……おかえり」


 蓮の声が返ってきた。


「…………」


 美月は少しだけ笑い、リビングへ向かう。


 蓮はソファに座っていた。手にはスマートフォン。画面に映っているのは、以前、美月がギルドで撮って送ってくれた何枚かの依頼票。


「蓮」


「……ん?」


「依頼見てたの?」


「……うん」


 少し考えて。


「四人で選ぶ時」


「どんなのがあるのかなって」


「そっか」


 美月は向かい側へ座る。


「…………」


 蓮が少しだけ美月を見る。


「……どうしたの?」


「え?」


「なんか」


 少し止まる。


「……話ある?」


「…………」


 美月が少し驚く。


 以前より蓮は、周囲の様子を見て、少しずつ言葉にするようになっている。


「うん」


「ちょっとね」


 美月はスマートフォンをテーブルへ置く。


「今日」


「支部長から連絡があったの」


「……支部長から?」


「うん」


「蓮のことで」


「……俺?」


 美月は少し間を置く。


「世界ランキング二位の人が」


「蓮に会いたいって」


「…………」


 蓮が止まる。


「……俺に?」


「うん」


「なんで?」


 美月は、今日その人物が日本へ来たこと。七年間、世界ランキングでUnknownのすぐ下にいたこと。そして、Unknownの正体が蓮だと分かったことで、本人に直接会ってみたいと思い、日本まで来たことを話す。


「…………」


 蓮は少し考える。


「世界二位って」


「……そんなにすごいの?」


「うん」


「世界でも」


「本当に一握りの人だよ」


「……そうなんだ」


 それでも、蓮の反応は大きくない。


 世界一位。世界二位。


 そう言われても、蓮にはまだ、その違いがよく分からない。


「支部長からは」


「蓮が嫌なら」


「断っていいって」


「住所とか」


「連絡先も」


「向こうには教えてないから」


「……うん」


「だから」


 美月は蓮を見る。


「蓮が決めていいよ」


「会いたくなければ」


「会わなくてもいい」


「…………」


 蓮は少し長く考える。


「……その人」


「うん」


「俺に会うために」


「日本まで来たんだよね?」


「そうみたい」


「…………」


 また少し考える。


「どんな人?」


「私も」


「直接会ったことはないよ」


「でも」


「有名な人だから」


「名前は知ってる」


「……うん」


「少なくとも」


「問題を起こすような人って話は」


「聞いたことないかな」


「今回も」


「蓮の住所を教えろとか」


「無理に会わせろとか」


「そういうことは言ってないみたい」


「ちゃんと」


「ギルドを通して」


「蓮本人に確認してほしいって」


「…………」


 蓮は黙る。


 自分に会いたい。


 それだけのために、遠い国から日本まで来た。


 けれど、勝手に自分のところへ来るのではなく、ギルドを通して自分に会っていいか聞いてきた。


「…………」


 蓮はもう一度考える。


 そして。


「……会ってもいい」


「え?」


「その人」


 蓮が美月を見る。


「……会ってもいいよ」


「いいの?」


「……うん」


「無理してない?」


「してない」


「…………」


 少しだけ言葉を探す。


「俺に会うために」


「わざわざ来たんだよね」


「うん」


「だったら」


 少し止まる。


「……断る理由ないから」


「…………」


 美月は蓮を見る。


 そして。


「分かった」


 少し笑う。


「じゃあ」


「支部長に伝えておくね」


「……うん」


 美月がスマートフォンを手に取る。


 その時。


「美月」


「ん?」


「名前」


「名前?」


「……その人の」


「ああ」


 美月が答える。


「エイドリアン・クロフォード」


「…………」


 蓮はその名前を一度、頭の中で繰り返す。


「クロフォード……」


「うん」


「イギリスの冒険者だよ」


「……イギリス」


 遠い国。


 十年前、まだ普通に学校へ通っていた頃なら、自分とはほとんど関わることのなかった場所。


 そこから、世界ランキング二位の人間が自分に会うために日本まで来ている。


「…………」


 少しだけ変な感じがした。


 けれど、嫌ではない。


「……いつ会うの?」


「まだ決まってないよ」


「これから」


「蓮が会ってもいいって」


「伝えるところだから」


「……そっか」


 蓮は少し考える。


「決まったら」


「教えて」


「うん」


「分かった」


 美月は支部長へ連絡を入れる。


 その横で、蓮は再びスマートフォンへ視線を戻す。


 画面には、美月が以前ギルドで撮ったいくつもの依頼票。


「…………」


 エイドリアン・クロフォード。


 どんな人なのか。


 それくらいは、会えば分かる。


 蓮はそう思いながら、また依頼票の写真をゆっくり眺め始めた。

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 1人の台詞を一言一言をカギ括弧で区切ると誰の台詞だか分かり難い。  区切るにしても、その人の連続台詞の場合は行間をなくしてみるとかしてみたらどうでしょうか?  
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