↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
48/51

47.フロウド・フライ

 木の葉入り乱れる樹海。エレノアとフライの激しく戦闘していた。

 エレノアは研ぎ澄ました光の刃でフライへ斬りかかる。

 フライが容易くそれを躱し、杖で反撃。エレノアは叩き飛ばされる。

 そしてフライはにやにやして待つ。エレノアの猛攻を待つ。

 エレノアは起き上がり、また攻撃していく。

 ずっとそういった戦闘が続いていた。

 同様にエレノアがフライへ斬りかかり、同様に返り討ちにされていた。


 フライは目を見開き頬を染めた。


 「良い! 少女の見栄! 自分には力があると思っているその傲慢!」

 「黙れ!!」

 「感情論。感情論! ああ! 生徒とは! 子供とは! 馬鹿であるから良い!」


 エレノアの光が一層と輝いた一撃。

 それさえフライは簡単に躱し、エレノアを殴り飛ばした。

 エレノアは樹に身体を強打し、地面へ真っ逆さま。

 枝を掴むものの、地面へ激突した。

 フライが踊るように歩いてくる。


 「痛かった? でもしょうがないじゃない。馬鹿な子は説明してもわからない。だから殴る。でも殴ると馬鹿になるかもね。だからまた殴るのねぇ!!」

 「……許さない」

 「なに? もう一回言って♡」

 「絶対に許さない! あああああああああ!!!」


 エレノアは光刃を飛ばした。

 フライはそれを横に躱す。余裕の顔面。

 そのうちにエレノアが姿を消した。


 「逃げちゃったのかしら?」


 そう嬉しがる背後。


 「あああああああああああ!!」


 エレノアは光の剣をフライへ叩きつける。

 しかしフライの肩は踊っていた。

 フライの六本ある腕は、そのひとつがエレノアの腕を掴む。

 ゆえに光の剣は止まる。

 骨を粉砕するほどの力でエレノアを持ち上げ、眼前に吊るした。

 

 「う、うっああ!」

 「ねぇ、今までどんな魔物を倒してきたの? こんな子供騙し、あといくつあるのかしら?」

 「離せぇ!」

 「ふーん? じゃあ。そうしましょう」


 フライはエレノアを離すと、落ちてきたところを杖でぶん殴った。

 エレノアは血反吐を吐きながら樹海をぶっ飛んでいく。

 樹をいくらか折って、地面に転がった。


 頭から滴った血。さらに口からの血がぶち撒いた。


 「うぶっ……」


 血はエレノアの今まであった憎悪と似た色をしている。

 立てない。草に広がる血。エレノアの這う地面が天井の赤と遜色ない。


 「冷静になれ。こんなんじゃアイツを倒せない……」

 

 るんるんるんと、足音が近づいてくる。


 「どこにいるのぉ~?」


 フライが歩いてくる。

 エレノアは足を引きずりながらも隠れた。


 「あら。いないわね。まさかほんとに逃げちゃった? いいわ。だったら鬼ごっこにしましょう」


 エレノアは手に光を宿し、腹へあてた。静かに自己治癒を始めた。

 フライはるんるんとエレノアを探して、そこら辺を歩いている。


 「森は良いわよね。解放感があるもの。それでいて迷いやすい。自然でありながら密室なの。広いのが良いわ! あっちは寒いし狭いもの。ああ! この広さ!!」

 「(止血は終わった。次は骨を)」

 「たまに! たまに捕まえた子が逃げちゃってね。そうするとこの森へ来るじゃない。そしたら迷っちゃったみたいね。私がのろのろとやってきて、そういうときは鬼ごっこ。死にそうになって走り回って、ああ! あの必死な顔、あれがいいの♡ まだ助かると思ってるの、可愛いかったわ♡」

 「(あとは中を)」

 「でも現実は残酷なの。捕まえて注射。引き摺って帰るの。死なせないわ。ずっと苦しんで、苦しんで、許してほしいなんて言われても! ずっとずっと苦しんでくれないと! これが愛! 愛なのよ!」


 感嘆。感嘆。


 「ええ、そこよね?」


 フライの刀のような腕が樹をなぎ倒した。

 丸太からエレノアのアホ毛が見えていた。


 「見つけた♡」


 フライは拳に青粒子を纏わせ、丸太ごと粉砕する。

 弾ける樹。飛び散る砂。その後にあるのは

――フライはニヤリとした

――パンのような肉と酒のような血

――たが血の色は真っ黒だった。

 深淵じみた暗黒の血だった。


 エレノアではない。

 宙を舞ってバタリと落ちた太い腕。左腕。

 フライの切断された左腕。

 切れたそこから噴き出た血だった。


 エレノアは正面に光の剣を振るっていたのだ。


 「……」静観。


 今、地へ落ちた太い左腕が跳ねて転がる。

 光を帯びたそれは燃えるように白く、灰になる。

 フライは切り落とされた自分の断面を見た。


 「……」真顔。


 ただじっと見つめた。

 丸い目がじっと。

 じっと。

 丸い目が、

――裂けんばかりに張った。


 「畜生! 勇者! やりやがったな! 許さない! ふざけやがって! ふざけやがって!! あああああああああああああああ!!!」


 フライの咆哮が樹海の葉を激しく揺らした。

 エレノアは明らかに動揺している敵を前になおも静観していた。

 そして告げた。


 「私は勇者だ。フロウド・フライ。今までその犠牲になった子の為に、正義の為に、お前を殺す」

 「私を殺す? 殺す? ふふふ……ふはははは!! 勇者? 正義? そんな反理性的な概念を真面目に。ふはははは! 私は勇者を殺さない。エレノアという少女を! 悪い生徒を痛め付ける。それだけよ!」


 フライは杖でエレノアを殴ろうとした。

 が、すでに遅い。エレノアは剣でフライの胴体を斬っていた。


 「はぁ?」


 エレノアはそのまま追撃をする。そうしようとした。その前にフライが大きく後ろへ飛んだ。

 その顔は酷く歪んでいる。


 「私は生徒がふざけるのを許さない。日常というふざけた愛を許さない。信仰や信念などというふざけた愛も! 愛とは過激! 刺激的なもの! それが人間! 真実! だから……もっと来なさい! 私にその怒りをぶつけて! その情欲を!」

 「だったらそうしてやる」

 「そうよ! もっと怒りなさい! イカれなさい!」


 エレノアの激しい正義の心と清涼な信仰心が混ざり合えば、剣はより研ぎ澄まされた光を宿した。またその動作も。

 エレノアは無駄なく、フライを攻撃していく。

 フライは避けずにどれも受ける。受けて、受けて、斬られて、黒い血を吹き出す。

 フライが反撃すれば、エレノアは容易く躱し、より強力な一撃を与えた。


 「これ。これよぉ♡」


 フライはとんでもないスピードで樹海を吹っ飛んでいく。

 エレノアはそれをすぐに追う。石のように無情に。

 フライが樹に激突する前にエレノアは追いつき、剣でフライを上に飛ばし、さらに下へ斬り飛ばした。

 フライが地面に衝突したところに砂埃が舞った。


 砂埃が晴れると

――そこにはクレーターとそこに立つフライがいた。


 フライはエレノアを視姦していた。フライのその身体には先ほどの腕の他、目立った傷はなかった。

 エレノアは木の上に着地した。


 「(おかしい。こんなに攻撃しているのに効いていない? それどころか強くなっている? だんだん硬くなっている)」

 「あら? こないの? もしかしてやっと気づいた? 私の肌、前より綺麗よ。だって魔物だもの。あなたの光なんか媚薬のようなものなのよ♡」

 「(まるで光を吸収しているみたいな言い方だけど、そんなはずがない。今まで光が効かなかった魔物なんていなかった。なんでコイツは……)」

 「そっちから来ないなら。私から行くわよ♡」


 フライは杖を振るう。黒い紋様が六つ浮かんだ。


 「そろそろ殴るのも飽きたから。燃やすわ。そしたらまたエレノアちゃんは自己治癒するだろうけど、今度は逃がさない。あなたが治癒しているところを炙って、火傷で淫紋を付けて、生と死、永遠の苦しみを見せてもらうわ」


 黒い紋様は連なってエレノアのほうを向いた。

 フライが杖に魔力を込めた、途端、そこから黒い炎の線がエレノアのほうへ急激に伸びた。

 凄まじいスピードのそれをエレノアはギリギリ躱したものの。


 「まだまだいくわよ」


 フライはすかさず四本の手から火球を飛ばす。エレノアを休ませない。

 エレノアは地面に着地すると、


 「(魔法は厄介。腕を落とす!)」


 火球を避けながらフライへ接近していく。

 

 「また腕狙いかよ。所詮は馬鹿なガキね!」


 エレノアはフライの左腕、細い一本へ光の刃を振るう。

 フライは右腕の鎌のような腕でエレノアを刺しに来た。

 エレノアは回避し、距離を取る

――と見せかけ、手に青粒子を纏わせた。


 「魔術!?」


 炎の魔術。フライの顔面へ炎を浴びせる。


 「こんなもの! 効かないわ!」


 炎は延焼により魔物の自己治癒能力を抑制するが、素の威力が低ければ効果はない。炎はフライの皮膚を滑っていくだけだった。

 ただそれでよかった、

――フライは鈍い痛覚に気づいた。


 「まさか!」


 ずどずどと重いものが地面へ落ちた。

 フライは自分自身の体がやや軽くなって危機感を抱いた。大きく後ろへ跳んだ。

 吹き荒れる二つの黒い血の滝、

――フライの右左の細腕一本ずつ、無くなっていた。


 「勇者め、やりやがった!!」

 「瞬間的な攻撃には弱い。はっきりわかりました。次で仕留めてやる」


 エレノアはフライの首とくびれを睨みつけた。

 フライは腕三本。

 右手に杖を持つ太い腕、カニの足のように尖った腕、左に細い腕が一本。


 「ハァハァ……」


 息を切らして、かなり消耗しているようだ。

 辛い表情――いや、むしろ唇をプルプルさせて口角を昇らせた。


 「勇者。そんなに見ちゃって。私のウエストがそんなに気になる? あなた、ちょっと太いものねぇ」

 「(頭と胸は固いし太い。でも首とくびれは細い。腕と同じように破壊できる)」

 「あら。無視? ねぇ、さっきの火の魔術見事だったわ。あれはセラフィナに教わったの?」


 フライが杖を掲げる。淀んでいた空気が萎びて陰湿な風を吹かし始めた。杖に青い靄が集まっていく。

 エレノアは剣に光を籠める。刃は今まで以上に白く輝いていく。辺りの風を巻き込んで、モンシロチョウが刃へ集まっていくようだった。


 「でもね。エレメント魔術は私も得意なの。本物を見せてやるわ。あなたの純血ごと焼き払ってあげる!」


 靄は炭になった。黒煙はたちまち直径三十センチの火球になった。

 フライは杖を振るい、燃え盛るそれをエレノアへ放った。

 エレノアは両手で剣を握ると前に屈んで独特な姿勢。地を蹴って正面から突撃した。


 轟音走る火球。

 色煌めく黄金の少女。


 エレノアは火球を斬った。

 火球は真っ二つ。そのままエレノアはフライへ斬りかかろうとした。

 ただ二つになってできた隙間にフライの笑みが見える。

 と思えば、すぐ無数の針が視界を塞いだ。


 「トリック」


 火球の中に針が隠されていたのだ。それがエレノアへ飛んでいく。

 そのままフライは勇者の無残な姿を想像していた。

 ただその前に無数の針の隙間、

――勇者の面持ちはなお決意じみていた。


 「だからなんだ!」


 エレノアは剣を握りしめた。そのまま斬りかかるつもりだ。

 針がエレノアへ触れる。


 突き刺さる。

 突き刺さる。

 吹き荒れる針が全身に突き刺さっていく。


 消えた火球の赤い靄の上をエレノアの弾けた血が上塗りする。まるで花が咲くようだ。

 真赤なそこに光の点が輝く。それはだんだんと激しさを増して、大きく。

――荒ぶる光が来る。


 間に合わない。フライは瞬時に決意した。

 腕の一本を差し出すと決意した。右の尖る腕をエレノアに突き刺していく。


――弾け飛ぶ。エレノアはその腕を斬り飛ばした。


 「でもこれなら!」


 あれはフライの少しの時間稼ぎだった。

 フライは後ろに飛びながら杖でエレノアを攻撃、残る左手に黒くうねる何かを浮かべる。

 エレノアは正面、懐。フライのくびれ、細いそこに剣を叩きつけようとする。


 どっちが先か。


 「愚問」


 その杖が先にエレノアへ届く。

――それも愚行。


 エレノアはくるりと躱す。

 遠心力の乗った光刃がフライのくびれへ

――しかし突き刺さった!

 フライはエレノアの攻撃によりくびれから吹っ飛びそうになるもなんとかその一瞬だけ、持ちこたえる。衝撃を遅らせる。

 よってエレノアはその剣の先から硬直した。

 

 「所詮は少女! たっぷり遊ばせてもらうわよ!!」


 その一瞬。フライにとっては十分な時間だった。

 フライは左手を直接エレノアの顔面に叩きつけようとした。うねるそれをエレノアに注入しようとする。

 だがフライの思うよりエレノアには迷いがなかった。すぐに剣を手から離した。


 刃の光はまだ消えていない。

 くるり。

 回り、エレノアはフライの左手を躱しながら剣を再び掴んだ。

――剣に両手で握る。

 渾身の力を剣へ注ぎ込む。

 それは右から左への、

 

 「葬り去れ!」


――二撃目。

 硬い硬いフライの上半身、くびれの肌が、左右からの強靭な光刃の衝撃に挟まる。

 罅が入る。

 砕け散る。

――せん断される。

 フライの上半身が宙へ浮いた。

 

 「勇者あああああああ!」


 フライは叫びつつも目が飛び出るほど驚いていた。

 しかしまだ終わっていない。エレノアはさらにくるりと回った。


 強烈な三撃目!

――太陽のごとく輝く光刃を

――フライの胸部へ叩きつけた!!!


 「あああああああ!!!」

 「勇者ああああああああああ!!!」


 フライの絶叫が森を駆ける。

 フライがとんでもないスピードで森を走っていく。

 木々をすり抜け。

 葉を浴び。

 枝を砕き。

 広いところへ出た。

 カルロスらが倒している蠅よりも速いくらいだろうか。

 三人のところへフライが宙をぶっ飛ばされていた。


 「な、なんだ?」カルロスは目を疑った。


 さらにそこへ光が来る。

 豪速。

 光がフライをさらに突き刺して飛び去った。


 「うおお! なんだよ! あぶねえな!」


 エレノアはフライの錯乱する涎を浴びながらそのまま剣に光を込めていく。

 しかし辺りが暗くなって怪しんだ。


 「ふふ、へへ……私の研究室にようこそ。勇者ぁ~!!」


 エレノアは剣を横に払って、着地。

 薄暗く凍てつくそこには手錠や鎖が散乱していた。弾けた血が壁にびっしりと付いていた。

 異様な形の頭蓋骨。吊るされた白い皮膚。

 それ以上はとても見るに堪えない光景だったようだ。エレノアは目を逸らした。

 フライはもはや肩から上しかない。自ら動けず、定まらない呼吸の中で汗をびっしり掻いて、それでも嘲笑っていた。


 「何がおかしい」エレノアは静かに怒鳴った。

 「おかしいわよ。あんたが勇者? あはは」

 「何がおかしい!!」

 「弱い。弱すぎるわ。私たちのこと、何にも知らないのね」

 「……失踪した人々はどこにいる」

 「あっはっはっはっはあああぁああああああああああぁ!!!」


 鉄の部屋に笑い声が木霊する。

 何かの魔法のようだ。何度も反響すれば、エレノアの顔がだんだんと歪んでいく。

 何かの呪文のようだ。声が遠くにあった何かを落として、それが廊下を転がってきた。

 青い炎の灯ったカンテラだ。それが廊下を転がりながら照らした、

――血のこびり付いた骨が地面を埋め尽くしていた。


 「蠅よ。あの子たちはみーんな、蠅になったの。ふふ。皮肉ね。あの子たちを助けに来たくせに、あなた、自分で殺していたのよ! 最高よ! ああ、最高だったわ!! あっはっはっはあああ!!!」


 エレノアは剣に光を込める。その輝かしい光が研究室の惨状を白日の下に晒してしまった。なおも光はエレノアに相応して強くなっていく。より一面が露わになっていく。


 「外道め!!」

 「だって魔物だものぉ!」満面の笑み。


 エレノアは魔物を頭から真っ二つにした。それは直ちに灰になった。その唾液も血も涙も灰になった。

 エレノアは剣を振り落としたまま、しばらくその灰を見つめていた。

 光はだんだんと消え失せ、残るのは胸の奥でミミズのようにうねる怒りと悲しみだけだった。


◇


 足音が鳴り響く。

 セラフィナたちがそこへ駆けつけた。


 「ここは……そうか。フライはもう」

 「酷いなここは。この感じ、ずっと前からこんなことをしていたのか。くそ! うっ……」キノコのたたく壁さえなかった。


 少し遅れてカルロスがやってきた。


 「おいおい。なんだここは? 臭せぇ……。って、エレノアどうした? もうフライは死んだみたいだな。俺も一発ぶん殴りたかったのによ!」

 「カルロス。今は静かにしようね」

 「あー? とにかくこんなところもうごめんだぜ。さっさと帰ろうぜ」

 「そうだね。これ以上、ここにいても仕方が無さそうだ」

 「先生。まだ奥に何かあるかもしれません」

 「ああそうだね。でも今は――」


 さらに足音が入り口から響いてきた。荒く忙しない足音だ。

 衛兵が五六人やってきた。


 「セラフィナ様! 遅れました……」

 「ほんと遅いよ。ねぇ、多分魔物とかいないし、あとは任せても良い?」

 「え、え、ええ。しかし」

 「僕が残ります。先生は学長に報告を」

 「うん。そうするよ。王にも手紙を出さないと」

 

 あっちで話が進む中エレノアはまだ立ち尽くしていた。

 カルロスがその小さな肩を叩いた。


 「大丈夫か? さっさと帰ろうぜ。いや、一応、従者ってことになってるからな。嫌なら一人で帰るぞ」

 「……カルロスは平気なんですか」

 「平気? 俺はそうみたいだ。酷い臭いのせいで気持ち悪いけどな。こんなところいたらせっかくの俺のフェロモンが草臥れちまうぜ」

 「……」

 「まぁ、俺は帰る」

 「……私もそうします」

 「そうかよ」


 エレノアはカルロスとセラフィナと一緒に迷宮から出ていった。

 夕空は雨。赤焼けが見えなくてカルロスはホッとした。

 エレノアは雨の冷たくも温いのをただ浴びた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。