表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
囚われのアリシア~私にだって意地がある!~  作者: ホマージュ
第三章 貿易港国コルトバッツ
49/51

私は枕

結局まとまった時間ってなかなか取れないのね…

そろそろまたご無沙汰だったジード達の視点も入れていきます。

次話はさておき?6話の時はジード達にしようかな。

私の顎は、

何か堅いものを咬んでいた。


牙は通らず、どんなに力を込めても砕くことが出来ない。


「お前、今何をしようとした?」


向けられる異質の殺気。


その言葉が聞こえるや否や、

全身の毛が逆立ち、

身動きが出来なくなった。


脳は全力でここから逃げ出せと、

そう叫んでいるのに。


辛うじて動く眼球で何が起きているのか確認しようと辺りを見回す。



私の口の中にあった金髪の女は赤髪の女に抱えられ、


私の牙に触れているのは赤髪の女の腕だった。


殺気を放ち、

私を威圧するその眼を見た瞬間、


理解した。



この女は化け物だ。


私の顎で腕を噛み砕けないからじゃない。

いや、それもおかしいが


ものすごい速さで私も気づかない内に己の腕と入れ替えたからじゃない。



存在が違う。



……見た目は人間だが、人間じゃない。



私は何を勘違いしていたのだろう、


私は卯だ。

罠にはまり足を失い、耳を握られている卯だ、

そんな気分だった。

何もできず、ただただ死を待つのみ。


息が上手く出来ない、


圧力で気が遠くなりそうになりながらも必死に霞む視界を捉える。


「なに……?昼?」


片目を擦りながらも目は全く開いていない女。


「アリシア起きろ。昼じゃない、朝だ。コイツを枕にするのはやはり反対だ。」


「?」


全く状況をのみ込めていないようで

怪訝な表情を浮かべる金髪。

「枕が欲しいなら私にしろ」


「えぇ……」

そして眉間のシワはより深くなる。


「アリシア、コイツお前の首を咬もうとした。」


心臓は再び高鳴る。

私は恐怖で動けなくなっていた。


きっとこの女の言葉ひとつで私は死ぬのだ。


口の中は渇ききり、吐く息が喉を抜ける度に血の味がする。


……恐怖……?


そうだ、恐怖だ。


私は死に直面して恐怖を覚えている。



やはり、死ぬことは怖いのだ。




「でも咬まなかったんでしょ?」



「お前、また寝ぼけてるのか!」


「いいじゃない、ほら、私ケガなんてしてないもの。」


寝巻きの襟をパタパタさせ、傷ひとつない首を強調する。



「それは結果論だ!!現に私が止めていなければお前の首は噛み千切られて死んでいたんだぞ!!」


「大丈夫、だってアンタが守ってくれるもんね?」


全幅の信頼を、赤髪の女にしている。



「きっとアンタも寝ぼけていただけよね?」


そう言って金髪の少女、アリシアは私の胸もとの毛を優しく撫でる。

「やっぱフワフワ。」


今目の前で困惑している赤髪の女が羨ましいとさえ思った。



私は……


こんな、こんなに心優しい少女を殺して周りを貶めてやろうなどと。


胸に大きな杭が突き刺さったのように

ズシリとした痛みにとっさに胸を押さえた。

久しぶりに触れる優しさは自暴自棄になっていた心を甘やかに溶かし目尻を熱くさせた。


「アンタ、そういえば名前は?」


「……名前、ない」

きっと幼い頃にはあったのだろう。

一度奴隷になってから、名前も家族も何もかもを奪われた。



「名前ないのは不便ね。何にしようかな」

うーん、と考え込む金髪の少女。


「・・・・・・私はソイツ信用していないからな」

赤髪の女は睨むように視線を配らせながらもアリシア様に抗議する


「何言ってるの?連れてくのよ、これから」


「は!?お前、聞いてた?」


「聞いてますー。ルシリアも仲良くしてよ?」


赤髪のルシリアは物凄い形相で睨みつけてくる


「あの、ごめ……さい」

謝りたい、私に出来ることならなんでも

未遂で終わってよかった。

ルシリアさんは恐ろしいが今となっては感謝の念すら感じる。


「わた、私、あなた……咬もう、した」

「ホントに噛んだら怒るけど、いいよ」

アリシア様は私の胸元の毛を優しく撫でながら鈴の音のように心地のよい声で赦してくれた。


何か思い付いたように、一瞬止まると


「あ、アンタの名前。マクラ。」


私を指差し、そう告げた。


「はぁ?マクラァ?なんだその名前、安直過ぎるだろ、ネーミングセンスヤベーよ」

ルシリアさんは鼻で笑うが、

私の心には何か響いていた。


言われた瞬間走馬灯のように過去の記憶がフラッシュバックする。

あれは私が奴隷商に売られる前、

幼かった頃、お使いを母に頼まれ

家を出る直前のことだ。

母は幼かった私の頭を撫でながらこう言った

『気をつけて行くのよ……○○』


「そうだ、私の名前……『マクラ』」


「おいおいおい!ちょっと待て!」

ルシリアに突っ込まれる。

「え?、私当たった?すごい!私すごい!!」


アリシア様すごい、

私が忘れていた過去まで、

名前まで思い出させてくれるなんて……


「変!変だって!今の回想なに??娘の名前、マクラ!?」


「そう。マクラ、私、マクラ。」


すごい、アリシア様はすごい。


慈悲深く美しい 私の……天使だ。

獣人の娘、マクラ。

外見はゴールデンレトリバーを二足立ちさせてる感じです。

毛色は白身の強いクリーム色です。どこにも説明が無かったので補足です(笑

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ