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囚われのアリシア~私にだって意地がある!~  作者: ホマージュ
第三章 貿易港国コルトバッツ
46/51

◇その六 ユウカリ村②

はい。

一旦これで柿谷は暫くお休み、の筈です。

なるべく近日中にアリシアの続話を投稿します。

宜しくお願いします




この話は村長にも伝え、


急遽、村人を集め会議が始まった。



主に議論としては



「村から逃げ出す」か「村に残って戦う」か。



村にオークが来た場合、数にもよるが10頭いたらそれだけでこの村の村人は全滅すると考えてもいいみたいで、


自分が見たオークは一頭。



しかし、指揮をしている者がいるようだったとの事で



という事はただのオークだけでなく、



知能の高いハイオークが居ると見て間違いはないだろう。



如何にオーク単体の知能が低くても、戦闘能力は高いし、群れの命令系統には絶対のオークは個々の死を恐れる所か、駒として死を躊躇わない。






サンレイヤーも


どんなに上手く立ち回っても5頭前後で手一杯という。


しかもそんな状況であれば村は既に群れに包囲されているのが普通であり、



村人全員で『村から逃げ出す』という選択肢は絶望的だ。



意識の戻らないライラを連れて、村を脱出というのも村を見捨てることになる。





ならば取る道は1つしかない。





『村に残って戦う』だ。





しかし、


サンレイヤーはライラに危険が及べば、


村がどうであれ、柿谷に背負わせ、無理矢理にでも逃げ道を作りライラの安全を第一に動くという。





そもそもライラの為に王位継承権も捨て、国を逃げてきたのだ。妥当な判断である。


それに自分の命もサンレイヤーに助けてもらったモノだ。


報いたい。サンレイヤーがライラを背負って逃げてくれ、というなら村には悪いがライラとサンレイヤーを取る。


それは今後の自分の為にも仕方の無い事だ。


この世は常に弱肉強食、


それを改めて痛感する。




鍬や鉈、鋤や鎌、ピッチフォークで武装した農民の男が26人、この中には村の青年も含まれる。


主に3人以上で一頭と対峙しなければ瞬殺されてしまうようで、チーム別けをした。


また、サンレイヤーは単独でもオーク3頭は相手取れると言っており、戦闘の要として前線へ。


ライラや村長の娘等、女子供は村長の納屋に隠れる事になった。


発酵させてる豆があるそうで、少しはオークの鼻も誤魔化せるとの事だった。









夜、雲の切れ間より月が顔を見せる



皆戦闘態勢で緊張の糸が張り詰める。



なかなか来ないなと思ったそのときはだった。





村人の一人が声を挙げたのだった。



「き、きたぞー!」



先程まで欠伸をしていた者もゴクリと喉を鳴らす。




のし、のし、とゆっくりと歩を進める者の正体、


やはり、オークである。





しかし、


夕方見かけたオークとは違い、牙が大きく発達し大きさも一回り違う。


2mを軽く越すその姿、



「ハイオーク、だな。」



サンレイヤーがナイフを構える。





「ア。ナンデオ、キテル」





ハイオークは人語を話すと、サンレイヤーが跳ぶ。



「起きてちゃ都合が悪かったか!?」



ハイオークの肩に一撃。


しかし、それを首を動かし難なく牙で受け流す。




よく見れば暗闇の中まだ後ろには軽く10頭は越えるオークが見える。




ハイオークは普通のオークの3倍は強い、って聞いた。


じゃあ、サンレイヤーがタイマン張って?


26人で10数頭?



無理だ。














「何故だ?攻撃を仕掛けてこない。」


サンレイヤーは何度も攻撃をし、


それを防御されるだけで、反撃すらされる気配がない。



何か策がある?



「長丁場になれば此方が不利だ」



そう言ってサンレイヤーはナイフを投げつけると右手を指先まで伸ばし空に掲げる。


「シザーノイズ!」



サンレイヤーがそう叫んだ後右肘から指先を超えて20cm程までの空間が鈍い光で発光する。



そして今度はその発光している部分でハイオークを文字通り斬りつける。








それまで一度とて流血も何もなかったハイオークはこの時初めて足から出血し、膝を着いた。



「っグ。ジー、ド…ノヤ、ク…」



何か言っている。



暗い中光を放つサンレイヤーが高速で動き光の残像が延びて見える。




「ソ、クマ…モル…!」



流血を続けながらも致命傷にならないように身体は傷付きながらも急所は確実に守っていくハイオーク。







そんな中、


後ろのオークは何故か進軍はせず


ハイオークの防戦を見守っている。




何かを狙っている?


別動隊がいて、他の所を襲撃しているのではないか?


ない話ではない。


柿谷は戦闘待機する村人に号令を出す。





「時間潰しを喰らっている!別動隊を警戒!4チームは納屋を確認に行ってくれ!」






村人は我に帰ったように納屋へ走り出す。


サンレイヤーも焦りを感じているようで、攻撃の手が雑になってきている。





「いい加減、さっさと倒れろ!」



サンレイヤーがハイオークの脳天目掛けて跳躍。



「ガッ」




サンレイヤーは地面に叩き落とされた。


ハイオークではない、小さな人影がハイオークの肩に乗っている。


その人影に蹴られたのだ。




「おいおい、何やってんだよ。」




「ヤ…クソ、クマモル」




「俺は殺られに行けなんて言ってないぞ。」




「テハ…ダシテナイ」




「お前はな。話をちゃんとしたか?」




「…」




「な?まずは対話だ。」


そんなやり取りをハイオークとするとその人物はハイオークの肩から降り、サンレイヤーに話しかける。



「そこの君、蹴って悪かったね。でもこっちも正当防衛、ってことで。」


「お前、人間か?」



ふぅ。見てわからないのかとばかりにため息をついてみせ、スルーする。


その人物は両手を広げ声を上げる。





「俺は、ジード。人間さ。」







ジードと名乗る人物はハイオークを下がらせると、


サンレイヤーと戦闘が始まった。


サンレイヤーは消耗しているものの、何故か動きの遅いジードに攻撃が当たらない。





暫く戦闘が続くと、


もう二人の男が現れた。


その男達は縛られた村長の娘ともう一人の女の子をつれてきた。


人質だ。



ということは、



納屋の制圧が既にされている、という事だ。





それに気付いたサンレイヤーも攻撃が鈍る。


追加で現れた男2人も戦闘に加わり、サンレイヤーは劣勢にたたされる。





何か、



何か、出来る事は無いか。





今手元にあるのは、水筒と眠気覚ましにプリスク、それに鍬だ。






サンレイヤーのスタミナの消耗も激しく、


一人一人はサンレイヤーに劣るのだが決めきれない。






鍬を持って此方も参戦出来ればいいのだが、足手まといにしかならないのが目に見えている。


せめて、相手も使っているのはナイフのみ。



遠距離で何か…



鍬を投げてもサンレイヤーにも当たる可能が高いし、そうこう考えている間にサンレイヤーの傷は次々増えていく。






「サンレイヤー、避けて!」



思わず投げたのは水筒だった。


それなりの勢いで投げた為、当たれば痛いし、怯むだろう。


と思ったのだが、サンレイヤーが避けたあとジードにより、水筒はナイフで突かれ、止められてしまった。







が、




暗闇でよく見えない中、何故かジードは空中をもがく。





「なんだ…?」




後から参戦した2人もジードから何かを剥がそうとしている。







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆








柿谷が何かを投げた。



「サンレイヤー、避けて!」



言われるがままに避けたが、ジードによってそれは止められる。


いや、止められたかに見えた。


ジードがその飛んできた物体をナイフで突き刺し、止めた瞬間だった。


ナイフによって開いた穴から液体の何かが飛び出した。


その何かは液体のようでジードの顔を覆うと、ジードは剥がそうと激しくもがく。




しかし、液体。




掴むことも出来ずにいた。


子分らしき二人の男もジードの顔から''ソレ''を引き剥がそうと戦闘を止める。


サンレイヤーと一定の距離離れた瞬間、ジードの顔を覆っていた液体は床に落ちて地面に染みを作った。



「これは…」




スライムだ。


しかも本体の”株立”である。







◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇







水筒がカコン、と音を立てて床に落ちるとジードは息を切らせながら、こちらを睨む。



「退くぞ」



そう言ってジードは二人の男を連れて闇に消えた。


オークも周りをきょろきょろと見渡し、追うように暗闇に溶けていった。




村人たちは何が起きたのかわかっていなかったが、


オークとそれを従える山賊を撃退したのだと喜び合っていた。




柿谷はしっくりとこないかんじではあったものの、人質にされた村長の娘と村娘を解放した。




村長の娘は柿谷をじっとみつめ、


「アレ、は何をしたのですか?」


と聞いてくるが、そのアレとやらが解らない


「ただ水筒を投げただけだよ。」


「その水筒の中から…いえ、なんでもありません」


途中まで話をしておいてちょん切る村長の娘。


「ただ…助けてくれて有難う御座いました」


不意打ちの笑顔に思わず可愛い、と思ってしまうが


「俺は全然何もできていないよ、サンレイヤーの、彼のお陰だよ」










夜が明け、


水筒に開いた穴を指で触っていると


サンレイヤーが水の桶を持ってくる。


「柿谷、コレはどこで?」


「あぁ、コレは俺が来た世界から持ってきたもので水とかを持ち運べるんだよ」


サンレイヤーの持つ桶を受け取り、水筒を横に置き顔を洗う。


「いや、そうじゃなくて。」


サンレイヤーは困惑したように水筒を桶の水に沈める。


コポコポと音を立て水筒に水が溜まっていくが


「穴開いちゃったからもう、持ち歩けないよ」


「…柿谷、気づいていなかったのか。まぁ見ててくれ。」


そういうとサンレイヤーは水筒の中に水が充満したのを確認し、水筒を桶の水から引き揚げた。




「え?」


水筒の穴からだらりと半固体になった水がぶら下がり、桶は空になった。




「これは、スライムだ。」


「スライム?」


「あぁ、実はスライムっていうのは2種類いて自我を持つものと本能で動くものがある。」


「うん」


「意思があって自分で考えて動くのが株立、意思を持たず本能に任せて動くのが株と呼ばれている。コイツは前者だ。」


「うん」


「このスライムっていう魔物は株の存在が個体数の9割強を占めていて、自我のある株立は希少種なんだ。」


「へぇーそうなんだ。じゃあこれ珍しいんだね」


水筒の穴からにょーん、と伸びたぷにぷにをつつく。


すると水筒の中に一気に逃げ込む。


「なんか可愛いな。」


「子供が遊びで踏みつぶしたりするような弱い魔物だが、伝承にはグラトニースライムという国を丸々飲み込んだというものまであるんだ。」


「可能性は無限大ってやつか」


「あぁ、強くはなりにくいが先刻のジードを撤退させる決断に追い込んだのもコイツだ。使い魔にしておくのも悪くはないと思う。」


「使い魔ぁ!?」


「あぁ、契約の印の上でその魔物の欲する物を捧げれば契約できる」




「スライムの欲しそうなもの…」




村中を探し回り、木の実や牧草、薬草の葉っぱ、水と目ぼしいものは何も集まらなかった。


サンレイヤーの書いてくれた印の上に水筒を置き、だるーん、と溢れてきた液体っぽいところに順に落としていった。


木の実も葉っぱも草も水も吸収するにはするのだが、なんだかダメな感じがする。


半分めんどくさくなってきて


「ほらほら、目覚ましにプリスクでも食いな。契約にも目覚めちゃうかも」


なんてプリスクを落としてみたらアラ不思議。印が光って頭に言葉が浮かぶ




≪んまい!≫




「え。成功したのか、コレ。」
















「というわけで、ペットになりましたスライムです。」




説明をするのは村長の娘に対してだ。


ライラは安静にしてても目を覚まさないため、


村を出て大きな街に向かうことになった。


最後に村長の娘に今までよくしてもらった礼を伝えたくて




「スライムだったんですね…水魔法か何かかと思ってました。」


「あ、あと今更なんだけど、名前、聞いてもいいかな?」


「あれ、言ってませんでしたっけ?」


「そうなんだよ、なんだかんだで聞けず終いで…」


「ルコ。私はルコといいます。」


「ルコ、ちゃんか。いい名前だね。いつも世話しに来てくれてありがとう」


「いいえ、父にも…言われていますから。」


「いいお嫁さんになりそうだな」


「よく、言われます。」




そんな他愛のない話をしながらふと


「あ、あと俺は紳士だからいいけど。男は皆狼だからあまり無防備な所見せない方がいいよ」


「無防備…ですか?」


ワンピースのスカート部をひらりと持ち上げて足の付け根付近まで持ち上げる。


「あ、そうそうそういうの!ホラ!」


きっとこの子は確信犯である、こうやって反応を見て大人をからかっているのだ。


「私の貧相な身体では誰も気に留めないと思いますが…」


視線を逸らし、


「い、いや十分魅力的だよ。あと3年もしてたらお兄さんも即ノックアウトするくらいね!」


「…、有難う御座います。ではそれまで気を付けますね、狼さん?」


クスッと笑い、耳元で囁く少女に不覚にもドキッとする。




こりゃぁ、将来思いやられるぞ…






村からライラを担ぎ、街道に出る。


村長や村人は見送りに出てきてくれたが、ルコは来なかった。






「ハッいかんいかん。妹にロリコン認定されてしまう!」


将来有望な魔性の少女の幻影を五月蠅い妹で振り払い、


目指すはクムルンランドの中央都市、ランド中央セントラル


最近ホラー映画をみたいのに映画館にいけません><

緊急事態宣言よ、早く終わって!

ホラー映画を見てる時のゾクゾク感が創作意欲を駆り立てる・・・気がします。

あと犬哭村の映画もまだ観てないから観なきゃ!

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