もふもふな
今回はセーフだね、セーフだよ。
もふ、& もふ。 な世界に入っていきます。
モフモフ好きな人とお話した後に見たやつなので影響受けてます。
ちょっと短いけど、いいよね!
「いやだぁっ!!」
「あ、ちょっと待っ……て?」
突然亜人は走り出すが、ルシリアにマントを掴まれ宙ぶらりんになる。
マントで吊るされながらも一生懸命にもがく亜人。
マントからすっぽりと抜け落ち路地を抜けて大通りに走り去る。
自らの手に残されたマントを眺めるルシリアにアリシアはニタリと笑う。
「あーあ、逃げちゃった」
「…欲しかったか?あの犬」
「いや、不潔だしいらないけど…」
路地にも響き渡るような馬の鳴き声が聞こえたと思えば
「なんだお前は!!」
「亜人か?殺せ!」
なんだか物騒な声が先程の亜人が向かった大通りから聞こえる。
ちょいと覗いてみれば
先程の亜人は捕まっており、囲まれて槍を向けられている。
「ひっ!」
亜人は尻餅を付きながらあとずさるが四人の兵士に槍を向けられている
馬車の行進が止まり馬車の中の人物が少しカーテンを上げ外を見やる。
「何事だ」
冷たく放たれたその言葉は辺りをピタリと凍りつかせる。
「申し訳御座いません、獣人が飛び出して来まして…」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
全く。
たかが獣人ごときに私のおやつの時間を邪魔されるだなんて。
全くもって腹立たしい。
兵士も兵士で、飛び出てくる前に獣人なぞ突き殺せばよいものを…
くっそ。
使い物にならん奴等だ。
私の焼きたてマドレーヌが少しでも冷めてしまうではないか。
「殺せ」
たった一言。
興味がないとばかりに扇子で首をなぞる
「はっ、直ちに」
兵士は敬礼をし、槍を構える。
「待って!」
通行人の誰もが目を伏せたその時だった。
待ってくれなどと私の命令に背く声が聞こえた。
…幻聴か?
私の決定は、絶対だ
「私に口答……ぇ」
見れば、女が獣人を庇っている。
「美しい…」
黄金のようになびく髪、
新緑の木々のように煌めく、強い瞳。
「お前!誰の行進を止めていると思っている!!」
兵士がその女に怒鳴る。
「知らないけど、この犬とは私が話してたところなの」
物怖じもしない。
凛としてハリのある、声も
「…素敵だ」
ボソリと呟き、馬車内の向かいに座る女をチラリと見てため息をつく。
先程までは、この娘達をチヤホヤし茶会に招こうとしたのだが…
興が削がれた。
私は、あの女が欲しい。
気がつけば身体は勝手に動いていた。
馬車から降り、兵士を止める。
「よい、さがれ。」
兵は敬礼をし、下がる。
近くで見ても美しい。綺麗だ。
「レディー、お名前は?」
「…私?」
どうやら警戒しているようだ。
「そうです、貴女の名前が知りたい」
「私はー」
「ウンジャ!!」
麗しの声ではない。
誰だ
「コイツの名前はウンジャだ。すまなかったな」
長身の鎧の騎士が気がつけば、金髪の女と獣人を抱えている。
「何者だ、貴様。」
一瞬で現れ、私の邪魔をした。
「私は名乗る程のものではないさ。」
ペコリと会釈をすれば二人を抱え、屋根の上まで跳び上がる。
常人離れした動きだ。
気がつけば既に姿は見えず、爪を噛む。
あの騎士、許さない。
馬車に戻り周りの兵士に伝える。
「さっさと進め。」
馬に鞭が打たれまた行進が続く。
目の前の娘共は口々に先程の獣人とそれを庇った女の悪口を叩き、貶す。
その様子を見ていると苛立ちが混み上がってくる。
チッ
私の舌打ちに気付いた娘共は口をつぐむ。
こんな娘なんかよりも先の女の方が数倍美しかった。
少し前まではこの娘達との茶会の事で頭がいっぱいだったのに対し、今はあの女の事で頭がいっぱいだ。
「絶対に俺のものにしてやる、ウンジャ」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「だぁーー!!」
アリシア、もといウンジャはカンカンに怒っている。
両手を振り上げルシリアに怒りを露にする。
「っれが!ウンジャじゃー!!」
「アリシア、お前だ」
ルシリアはピッとアリシアに指を差し、しれっと答える。
「なんでじゃ、私の名前はアリシアだぁ!!」
「だが、アレは多分何処かの王族か何かだ。名前を知られるのは不味いだろう。」
「でも可愛くない!!もっといい名前あったでしょ!!」
「もしもお前を見たことがある人間がお前の名前を知ればもっと!
スデルーク城は危険に晒される。」
そこまで言われると、うぐっ と口をモゴモゴさせるアリシア。
そんな中ポツンと1人置いてけぼりの獣人は困惑していた。
「どうして……助けてくれたの?」
この金髪のアリシアという人間の女は自分を庇った。
何故? 人間は皆、獣人を嫌うというのに。
「アンタ、私との話の途中だったでしょ」
「え?」
たったそれだけ。
だけど、この人間は。
この人は、自分を、獣人の自分を対等に見てくれる。
途端に心が痛み、そして暖かくなった。
溢れる涙で視界が歪む
「ごめんなさい、そしてありがとう」
久しぶりに人間に心からお礼を言えた、
瞬間だった。
変な奴に目をつけられたアリシアさん、いや、ウンジャさん。
何でウンジャなのかは知らんけど。
パッと出てきた偽名が「ウンジャ」でした。
…なんでだろうね( ・◇・)




