【分岐ルート②】ミミズクは見ている
これ、消せないのですね、
なので一つずつずらします。
「そういえば知ってるか?」
「なんだよ、」
「なんでも最近村に突然村人が化物になって人々を内側から食い尽くす。っていう事件が起きてるらしいぜ。」
「なにそれ、ヤバイな」
そんな話がすれ違う村人達から聞こえてきた。
アリシアはすかさず
「ねぇルシリア。聞いた?今の」
商人と話をしている最中でも構わず話の腰を折る。
「ちょっと待ってろ。今消耗品の交渉中だ。」
「だって、ほら。変な話よ?人が化物になって人を食い散らかすのよ?ちょっと…見てみたいと思わない?」
恍惚に歪む口元を扇子で隠す。
「…フゥ。商人、どこの村の話なんだ。今のは」
「はぁ、ここから南西の方にいくつか開拓村があるのですが、その内の一つですね。
…それと此方の果実は?」
「そうか、ふむ。道中のつまみがてら20くらい貰っておこう。」
ルシリアは顎に手を当て緑色の歪んだ容かたちの果実を眺める。
「ありがとうございます」
人畜無害そうな細い目をした商人は笑顔で頷いた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ほら、お父さん。起きて!」
布団を剥がされ、愛娘は残酷にもカーテンまで開け放つ。
「今日は……休みだ」
そうとだけ言うと枕に頬を擦り付けうつぶせになって視界から日光を逸らす。
「ダメだよ! 今日はお祈りの日よ!?」
そういいながら今度は鍋におたまを打ち付ける。
『そうよ、アナタ。お祈りは大事よ?』
「ミリナ、俺はあんまりあの鞭打ちは……」
そこまで言いかけて我に返る。
いつも隣で寝ていてギリギリまで寝かしてくれていたミリナはもういない。
…あの日を境に。
「…もうあれから2年が経つのか」
未だにミリナがいなくなってしまった実感が湧かない。
子供のころからずっと一緒にいたのに。
「おーとーうーさーんー。起きろ!」
耳元で鍋をうつ金属音で不意を打たれ、耳に深刻なダメージを負いつつ目をムリヤリに覚まされる。
物思いに耽っていても愛娘は容赦しない。
「女ってやつはどうしてこう、神様に熱心に祈るんだろうね」
教会の外で他の男連中と共に煙草をふかす。
「なんだ、ジッタさん。礼拝は嫌いなのか?」
男連中の中でも一際年配のおっさんは言う
「なんで?楽しくない?」
若い他の男はニヤニヤしながらギリギリまで吸った煙草を踏みつけ言う。
「そうそう、特にシスター様に罵られてのご褒美は格別だよな」
コイツラときたら、罵声と共に鞭で打たれるワケのわからん儀式を『ご褒美』等とのたまう。
「さてそろそろお楽しみタイムかな?」
ぞろぞろと男共は下卑た笑みを浮かべて礼拝堂に入って行く。
まったく…本当はこんなのただ痛いだけで楽しくなんてないし。
…そもそも、コレは何か意味があるのだろうか。
「こんのっっバカ犬――――!!!」
乗馬用の鞭が空を切り、鋭い音を立てたかと思えば鞭は背中に既に叩きつけられていた。
「「「ありがとうございます!!!」」」
大体丁度5年前から、
グングニラ聖教国よりもコルトバッツ港国寄りの村々で
村人が化物に変わり果て、村内部の人を喰い殺すという事件が起きていた。
そしてその事件は2年前にジッタとナルのいた村でも起きた。
何故そんな事件が起きるのか、未だに解明はされていないが
その惨劇を生き残った村人たちは総じて別の村や街に身を移した。
ジッタとナルも例外ではない。
元々いた村からこの街に移住して来ている。
周りの町民は皆、優しいのだがその優しさが棘となって突き刺さる。
「じゃあ、また次の礼拝で」
共に鞭を打たれた盟友に向かって手を振る。
「お父さん、帰ろう」
日も沈み始めた夕暮れに石造りの階段から降りる途中、多くの他の礼拝者とすれ違う。
その度会釈をし、笑顔で別れる。
「ナルちゃん、偉いわねぇ。若いのにちゃんと礼拝はするし、しっかりしてるし」
「いえ、私ももう18ですので」
「そういえば、いつもお父さんと一緒だけどお母さんは?」
「母は…」
俯くナルに変わってジッタが答える
「夜哭きでこの街に来たもので…」
「! 私ったらいけない。ごめんなさいね」
一連の村人が化物に変わってしまう事件をこの街では”夜哭き”と呼ぶ。
婦人は誤魔化すように
「でもよかったわねぇ。夜哭きで全滅した村も多いって聞くわよ」
「えぇ。幸い…」
頭痛がする、既に失くして暫く経つ左腕が痛む。
「あら、ニフレさん。それにナルちゃんとジッタさん。ごきげんよう」
新たな婦人が合流する。
そしてまた拷問が始まる。
「それで、ニフレさん何を楽しそうにお話していたの?」
新しく合流した婦人には楽しく先程の会話の様子が見えたのか扇子で口元を隠し微笑む。
「いえね、フェノエさん。ジッタさん達は夜哭きでこの街に来たから、生き残れた幸運を喜んでた所なのよ」
「あら、そうだったの。それはよかったわねぇ。教会騎士様に化物は退治してもらったのよね?とても光栄な事よね」
この婦人共は何がそんなに楽しいのか、笑いながら過去の傷をほじくり返す。
この婦人は俺の妻が教会騎士に殺されたこと、
最愛の妻と左腕を奪われてこの街に来たこと。
それらを踏まえて「よかったね」等とのたまう。
「あの!」
ナルが声を上げる。
「私達、夕飯の支度があるので今日はここで失礼しますね 行こう、お父さん」
不意に右手を引かれて連れられる。
「夜哭きで来たってことはあの人達も化物の可能性もあるんじゃないの?」
「いつ本性を見せるのかしら、あー怖い怖い。」
小声での話し声が耳に入る。先程までの婦人たちだ。
いつもこうだ。
表面は優しく繕うが、
内心は”夜哭き被害者”を蔑み、見下す。
そしてその噂は瞬く間に伝播する。
あれから1週間が経つ頃には家のドアにクギが打たれており、出れなくなっていたり。
陰湿なイジメが始まった。
実際にイジメを実行しているのは一部であるのはわかっているが、
疎外感はしっかりと感じる。
毎日娘は学院に通っているが、
その陰湿ないじめやイタズラが増えてからは送り迎えをするようになった。
ナルはいつも気丈に振舞い心配かけないようにと笑顔を絶やさない。
しかし、ジッタは限界だった。
最愛の娘と妻と幸せに暮らしていたのに妻は化物になってしまった。
生き残って移住してきた村人も化物になるかもしれないという疑念を抱かれてしまうのは苦しいが理解は出来る。
誰だって自分や自分の家族が可愛いのだ。
しかし、妻とは幼なじみでずっと一緒に育ったのだ、元々魔物だったなんて事はあり得ない。
何かが起きた、何かされたのだ。
新天地で娘と2人。
教会騎士に殺されたのは私の妻だ。
それを新しい近所の者は「よかったねぇ」などとのたまう。
何が「よかった」のか、
泣き出したい、発狂して、村に戻り、せめて形見だけでも、
と思っていたそんな矢先だった。
他の村から逃げ延びた、夜哭きの被害者が魔物になる事件が起きた。
そんな事件が起きてしまえば、、当然我々にも周りの目はいく。
我慢の限界だった。
それが、こと切れた。その瞬間だった。
胸が急に熱くなり、息が出来なくなる。
胸を抑える手は自分の手ではなくなっていた。
いつか見た、
あぁ、妻が化物になってしまった、あのときの妻と同じ腕だ。
全身が痛む。
まるで身体をねじ切られるような、そんな痛みだった。
娘が私に駆け寄り叫んでいる。
何かを大声で叫んではいるが、聞き取れない。
痛みで意識が飛びそうだ、
何か手は痛くない?いや、でも、
あぁ
そうだ、俺がこの子を守らないと
愛しい愛しい我が子、
可愛くて可愛くて仕方がない、
それも食べてしまいたいくらいに…
そう…食べてしまいたい……
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「さっき行った村は凄かったな。」
珍しくルシリアが感慨深そうにしみじみと語る。
「えー、正直思ってたのと違ったわ。あんたが毎回城で兵士踏みつぶしていた時の方が凄かったわよ、血だまりばっかりで」
「そうかぁ?」
ルシリアは心外そうな表情でアリシアを見つめる。
そんなやり取りの中、急に悲鳴が上がる。
ルシリアはアリシアを自分の腕の中に抱き込むが、好奇心丸出しのアリシアは悲鳴の先が気になる。
「ねぇ!ルシリア。」
「おいおい、アリシアやじ馬は性格悪いぞ?」
「だって気になるじゃない。」
「危険かもしれない」
「でも、守ってくれるでしょ?」
逃げ惑う人の群れに逆流しながら悲鳴のした方向を睨む。
「ねぇ、ルシリア!早く見に行こう?」
逃げ惑う群衆とは対照的に笑顔ではしゃぐアリシア。
◆◇◆◇◆◇◆◇分岐ルート◆◇◆◇◆◇◆◇
◇本日(2020/8/29/0:00~23:59)のpv数によりルシリアの返答が変わります◇
150を超えた場合、
「とりあえず様子見するだけだぞ?」
150未満の場合、
「いや、辞めておこう。アリシア、性格悪いぞ」
となります。
この分岐では主に今後の世界分岐に大きく関わります。
宜しくお願い致します。
リゼロ2期アニメはじまってますよね。
楽しみです!
後で溜めて一気見するのが好きなのでワクワクです。
でも本当は水の都編が一番好きなので3期キボンヌ。
それはさておき、アリシアさん。
やじ馬精神旺盛なので、面倒事や厄介事を自分から背負いに行くタイプです。
ルシリアという大きな保険に身を任せっぷりです。
もしもルシリアがいなくなってしまったら、アリシアさんどうなってしまうのだろう?
私には想像もできません。
えぇ、夢を見るだけです。




