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囚われのアリシア~私にだって意地がある!~  作者: ホマージュ
第三章 貿易港国コルトバッツ
31/51

ミミズクの鳴く夜に

こんばんちゃ!

あれ?おかしいな…

今日の0時に投稿予約しといたのに…

照りつける太陽にその身を焦がしながら、

鍬を畑の土に向かって振り下ろす。

無理に力を入れてはいけない。

綺麗に横から見たときに円を描くように脇をしめて真っ直ぐに落とす。

そういうイメージだ。


今は日の季節、

一年を通して一番暑くなる時期だが、

太陽の多く当たる今、耕しておくべきなのだ。

そうでなければ枯の季節に収穫を得られない。



額に流れる汗を拭い、太陽を見やる。


「太陽もしっかり仕事してら」


再び鍬を握りしめ土に向かって振り下ろす。


「おとーさーん!」

馬車の御者台で立ちながら手を振るのは娘だ。

「おう、ナル!あぶねぇぞ!」

「ナルさん、お父さんもあぁ言ってますよ。」

そう言いながら手綱を握るのはヨシヒコだ。

「お父さん!ヨシヒコさん来てくれたよ!」

折角耕したウネも構わず踏みつけ向かってくる。

全く、誰の為に耕してるんだかわかってるのかねぇ。


「ジッタさん、お久しぶりです。」

ウネをしっかり避けつつ気遣いのできるこの人畜無害そうで狐のよう細い目をしたこの男はヨシヒコ。古くからの親友だ。

「ナル、ヨシヒコおじさんに失礼してないか?」

「してないよ!」

笑顔で且つ即答である。

それを濁すかのように笑うヨシヒコ。

「ヨシヒコおじさんはな、お父さんとお母さんの命の恩人なんだ、ヨシヒコおじさんがいなかったらお前も生まれてないんだぞ?」

「わかってるよ!その話何度も聞いたよ!いいから、今日は帰ろ!ご飯!!」


「そうだな、ヨシヒコも来てくれてることだし、今日は切り上げるか。」

「馬車の荷台空いてるのでよかったら乗ってってください」

「私馬に直接乗りたい!」

「鞍がないので、お尻が痛くなりますよ」

「ヨシヒコさん!じゃあ今度鞍も持ってきてよ。」

「わかりました」


「やったぁ!約束だからね!!」

ポニーテールが跳び跳ねる度にゆさゆさと揺れる。

もう16歳のお年頃なんだけどなぁ…と、

頭を掻きながら考える。

この子の結婚はいつになるやら。



「いやぁ、何度も何度もウザったいかもしれないが、ヨシヒコ!お前には感謝してる」

ヨシヒコの持ってきたお酒を呑みながら毎度の感謝を伝える。

「こちらこそ、僕だってジッタさんに子供の頃助けられていたのでお互い様ですよ。」

「そうか?」

「はい、よく虐められてた僕を助けてくれてたじゃないですか。」

「ハハハ!お前はいっつも端の方で聖書ばかり読んでたからな。」

「聖書は僕の救いです、ジッタさんと出逢えたのも我らの神の御業によるものなのです。」

「でもホント…国に追われてる時、お前が匿ってくれて、ミリナと共にコルトバッツのこの村まで亡命させてくれたお陰で今の俺の暮らしがあるんだ。お前には感謝をしてもし足りないよ。」

「そんな大袈裟な、僕はただ神の導きに合わせて行動しただけですよ、ジッタさん礼拝は欠かさず行っておりますか?」


「あぁ、神棚を作ってはあるが中々祈れていないな。」

「ダメじゃないですか、我々グングニラ聖教国のグングニーラ様を毎日祈らねば。」


「ヨシヒコさん、お世話になっております。」

ペコリとお辞儀をしながら追加の酒を持ってくるのはミリナ、俺の嫁だ。


「ミリナさん、お邪魔しております。」

「いえいえ、こちらこそいつもいつもありがとうございます。」

「今回の分の神水は此方に、これでまた半年程は足りるでしょうか。」

「えぇ、丁度先日切らしてしまったところでしたので助かります。」


「ヨシヒコ!そんなんいいからのめのめ!」

ミリナはヨシヒコから差し出された神水を倉に持っていく。

神水というのは、グングニラ聖教国の国教、(セント)ルイーズ教の教えで、祈る際に神水として清められた特別な水を飲んでからお祈りの言葉を捧げる、手順を踏むためのちょっと苦い水だ。


ヨシヒコはあくまでも行商としてこの村に来ているため、村に滞在する期間は限られている。

久しぶりの親友との再会に気分は上がり、

酒をいつもよりも早いペースで飲んでいった。



ヨシヒコは二泊とせず、

次の日の昼、行商人として他の村人達にも物資を売ったり交換したりすると夕方には村から出ていった。


俺はというものの、

昨日誰かさんに踏み潰されたウネを元通りにし、間に干し草を散らす。

「さて、何から植えていこうか。」

太陽はいつも通り仕事を怠らない。

ジリジリと肌を焼いていく。

熱を集める肌の表面には脂汗が浮き上がり、こめかみから顎にかけて汗が伝い落ちる。

久しぶりに親友に会えた喜びに気分は高揚し、思わず鍬を握りしめる手に力が入る


バキッと音がしたと思えば握っていた鍬の刃のついた先端が土の上に落ちている。


鍬は握ったままだというのに。


「あー、またやっちまったか。」

昔からこうだ。

若い頃は冒険者として少しは名の知れたファイターだったせいか、

力が衰えても未だに普通の人よりも力が強く気を付けないと鍬や農具をダメにしてしまう。

仕方無い、母さんに怒られてしまうが…




「え!お父さんまたやっちゃったの?」

嬉々としてナルは身を乗り出して椅子に膝立ちし、足をパタパタと泳がせる。

「ナル!喜ばないの!」

ミリナはおたまを降りながら娘を叱る。

「だって、凄くない?かっこいいじゃん」

娘の一言にガッツポーズをしてみせる。

そのガッツポーズを見た娘は親指を立て、

歯をみせる。

そんな愛娘に上腕二頭筋をピクピクさせてキリリと笑顔で応じる。

それらを見たミリナは眉間をつまみため息をつく。

割りといつもの流れである。

「ほら、ご飯食べるよ!」




ミリナは神棚に手を合わせ、祈りを捧げる。

元々ミリナも自分もグングニラ聖教国のルイーズ教の信徒だ。

今でもミリナは敬虔な信徒だが、

ルイーズ教の礼拝堂で毎度行われる、

ウェーブがかったピンク髪のシスターに

「このバカ犬~っっ!!」

と言われ鞭で叩かれるイベントでふと

『なんだか、違うな』と思ってしまって以来あまり礼拝なんかもしなくなってしまった。

昔は鞭で叩かれるのを悦び、全身全霊をもって「ありがとうございます!」と感謝に震えていたが、

ミリナに恋をしてからは、それっきりだ。


「あなた」

祈りを捧げながらそれを眺める俺にミリナは問いかける。

「ナルにあぁいうふうに言われて喜んでないでよ?」


「…あぁ、今でもミリナは綺麗だな」

家計を管理し支えている妻には感謝しても足りない、

そっと優しく包み込むように妻を抱く。

「ちょ、…誤魔化さないでよ」

「あぁ、感謝してる。いつもありがとうな。」

「……もぅ。気を付けてよ?」

農具は正直高い。

それもこだわりをもって鍬もオーダーメイドするため、鍬を壊すとかなりの出費になる。





「ねぇ、貴方。」

布団にもぐり天井を眺めながらミリナは問いかけてくる。

「なんだ?」

親子三人川の字で、ミリナはいつも真ん中だ。

「私時々思うの」

「うん」

「グングニラを出て本当によかったのかな?って」

「グングニラを出てなかったら俺達結婚出来てないぞ、なにか心配か?」

「心配…そうね。私毎日が幸せなの。」

「いいことじゃないか」

「でも、その幸せなのがもし止まったら?って凄く不安になるの」

「お前やナルの幸せを守るのが俺の仕事だからな。俺が働いてる内はミリナ、お前は幸せでいられる。」

「バカ…」

「これからもお前たちの幸せを守らせてくれ、俺からのお願いだ」

胸元にぐりぐりと頭を擦り付けてくるミリナ。

「これからもちゃんと、守ってよね」

「勿論だ」


外では木菟(ミミズク)が鳴いている。


とりあえず、

そろそろまた分岐ルートになります。

次回の更新で、分岐ルートの説明、

そのまた次回の投稿日のpv数でまた分岐します!

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