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囚われのアリシア~私にだって意地がある!~  作者: ホマージュ
第二章 遊戯大国クムルンランド  中編
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杖のミュール ③

夢を見ました。


転移直後の勇者候補に魔王候補が突撃してきて、

王様を殺すんです。


なんだかギャグちっくな会話をしつつ、

魔王候補と勇者候補の主人公がうだうだしていくかんじの。


そんな夢を見ました

「ふーん、アンタが新入りのブルームね」

スデルーク城に向かう道中、

ミユキは無遠慮にブルームの肩を叩く。


「…。」

「なにだんまりしてんのよ、私が声かけてんでしょ」

「…。」

無理やり肩に手を回してダル絡みを続ける。

それを見かねたゴライアスがミユキを制止する。

「まぁまぁ、そんな強くいったら新人イビリをしているみたいに見えるぞ」

それ心外であるとでもいうようにムキになりながらも胸に手を当てミユキも反論する。

「なに言ってるのよ、私はね歓迎しているの。―だってノウグストってばホントにメンドクサイ奴で嫌ーなヤツだったのよ」

「それには同意だが、困っているようだ。」


「…別に気にしない」

それまで無言を貫いていたブルームは顔は見えないが中性的な声で返事をする。

「それならいいんだが…」


「何!アンタかわいい声してんじゃない。アンタの目的は?あ、五剣に入った理由ね」


「僕は…生き別れの兄のような人を探すのに都合がいいから仇討ちついでに五剣になっただけだ。」


「へぇ……ん?兄のような人?どういうこと?」

「…。」

「ねぇ、どういうこと!?またダンマリ?ちょっと」

「もういいだろ、あまり他と関わりを持ちたくないんだ」


自分で餌を撒いてそのままフェードアウトするブルーム。

それにしっかりと喰いつき離さないミユキ。



「仲良しごっこはそろそろお終いだ、見えたぞ。あれがスデルーク城だ。」

騒ぐミユキを制し、右手を上げバウエルが合図を出す。



…―スデルーク城。

それはクムルンランドとサルスムーナ帝国の間に位置する崖の上に建つ断崖絶壁の城。

崖の下は屑砂砂漠。幾多の魔物が蠢く人に捨て去られた未開の土地だ。


そして今のスデルーク城は”普通”ではない。

城内の建物全体を余って塗りつぶす様に青銀の氷塊に包まれている。


「綺麗…」

思わず口に出てしまっていたか。

いや、違う

「あの氷柱はやはり竜によるものなんですよね?」

ミユキは思わず口を溢す。


確かに綺麗だ。

日の光を反射し鈍く内側を照らす結晶体。

ただ、それなりに距離は離れているというのにあの氷漬けになった城からただならぬ魔力の余波が伝わり、肌が痛い…









「これは…」

触れれる程近づいてわかった事がある。

氷柱の表層のみを魔法で覆っているんだ。

どういう練り方をしているのか。まだわかってはいないが、これは元来長く続くものではない。

何処かにきっと術式があって、

そこから半永久的に魔力が流し込まれているのだ。


「バウエル、少しこの氷砕いて貰ってもいいかしら」

「あいよ」

少し氷から離れ大きな両手斧を構えスキルを放つ

「おめらも離れとけよ?むっん、スラッシュ」


斧が風を切り、衝撃波のように風を巻きこむ。

斧が切った風が渦を巻き、斧の斬撃に後押しをする。

斬撃系の武器で初期に覚える技であるが、

バウエルのスラッシュは衝撃波で滝をも割る。



斧の刃が氷にぶつかり大きな音をたてて白く発光し視界を奪う。


「ダメだぁ、かってぇな」

そういって笑うバウエルは斧から手を離し痺れる手を軽く振る。


「相当な硬度ね。でもやはり魔法で生成している氷ね。しかもかなり高濃度の。」

まず削って、氷が元の形に再生するときの魔力の流れを辿れば、供給元を見つけられるだろう。

竜がいない今がチャンスだ。


「バウエル、剛突でここの氷でいい。割って貰える?」

「了解、姫さん。皆少しばかり離れててくれ。衝撃で傷負わせちまうからよ」


かつての魔王の片腕を奪ったバウエル最強の斧撃。

どんな硬いものでも流石に…



「何をしているんだい?」




「「!?」」

明らかに不機嫌そうなその声の主は急に現れた。

全員が動揺する。

全身にちぐはぐで統一感のない鎧を着たソレは誰にも気付かれる事なくここまで近づいてきたのだ。



「困るんだよ、この氷はまだこのままであって欲しいから」


ゆっくりと歩を進めてくる。

可能だろうか?

歴戦の猛者、大陸の頂点の人間がこれだけ集まっているのに、

近づいて来ているということ自体認知できなかった。


ヤツは何者だ?


「お前が竜、なのか?」


「もしも、そうだと言ったら?」

僅かに鉄火面越しの口角が上がった気がした。


その瞬間バウエルが相手の懐に飛び込む。

下段の構えから床を抉りながら戦斧を振り上げる。勢いは止まらないどころか徐々に上がっていく。

それを難なく避けつつ後ろに跳躍、

着地点にゴライアスの斬撃が襲う。


「いったか」

ゴライアスの斬撃をモロに喰らった相手の状態を確認しようと土埃の先を睨む。

瞬間、ゴライアスの巨体は腰周辺を軸に横に飛ばされていった。


「ただの蹴りで…」

普段はふざけているミユキも眉をひそめ抜刀する。

そのまま駆け出し幾度も剣撃を繰り出すが当たる距離ではない。

何もない空をミユキの刀が乱舞する。


鎧を着た騎士は姿を眩ますとミユキの背後に現れ、再び蹴りを入れるが

騎士の脚を時間差で何もない空間からミユキの剣撃が襲う。

騎士の脚をベコベコに凹ませると、

すかさず距離を取る。


その先にゴライアスの横凪ぎが炸裂する。


「やったか!」

ゴライアスは口に伝う血を手でぬぐいながら相手の方をみる。



土埃こそ多く上がり、騎士の鎧は所々割れ、ひしゃげ、ヒビが入っている。


が、


全くソレを意に介していない様な動きをする。


『面白いな。先だっての軍隊とは大違いだ。一人一人のケタが違う。この身体ではマトモに相手もしにくいしな』


そう言うと騎士はだらりと身体の力を抜いたかと思えば鎧を内側から壊し、赤い鱗を露出させる。


「総員、構え!雲龍様、五剣の皆様方、前衛を!!

ミシェルさんとバウエルは中衛で

サーシャ様、ハウゼ、私の後ろへ!前衛の援護とサポートを!!」


目の前の騎士の形をしていたものは既に竜の容になっていた。

妖しく金色の目が光る。

倒せるのか?いや、倒すのだ、人が安心して暮らせる世の中の為にも、



心臓が高鳴り跳ねる。

汗ばむ手で神杖を握り直す。


目の前の竜を睨み全員に告げる


「ここで、竜を倒します。」


竜と開戦しました。

ルシリアさんも割と乗り気です。


五剣の皆さんの実力やいかに…。

普段は自分達のチームを率いてる五剣さんですが、

即席で皆さん、連携をとっております。


頑張れ、討伐隊!

頑張れ、人類!

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