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囚われのアリシア~私にだって意地がある!~  作者: ホマージュ
第二章 遊戯大国クムルンランド  中編
20/51

杖のミュール ②

ミュールさんは元々臆病な性格の子で、

破天荒で自信家のレイドさんに憧れを抱いていました。


…まぁ、それはまた別のお話です。


今は竜討伐のお時間です。

「少し、早く着いてしまったかしら」


瞬間移動の魔方陣を消しつつ、

カンセルの指定したクムルンランドの宿の近くで思案する。


自分が現役だった頃は純粋な竜ではないものの交雑種と呼ばれるワイバーンを300頭は撃ち落としていたものだ。

しかし、伝承の竜は残っている書物も少なければ具体的な特徴は外見と能力しか伝わっていない。


金色の瞳を持つ紅き竜、主に熱を操る能力があるようだ。

地獄の業火を彷彿させるような炎を操り、

溶けない氷をも出現させる。


伝承にある竜は5体、

その身体は朽ちる事は無く、

封印する事しか出来ず、

封印方法を知る者は誰もいない。


何故か、竜を封印するしかないこと、

身体が朽ちることがないこと、

自然災害のような抗い様のない力の持ち主であること、

このような事は様々な書物で伝わっている。

なのに、肝心な封印方法はどこにも記されていない。


きっと…何かが、ある。


それがわからなければこの闘いはとても不利なモノになるだろう。



「ミュール、持ち上げますよ!」

「へ!?」

急に現実に引き戻されたと思えばハウゼにお姫様抱っこをされる。

「何々?何が起きているの?」

辺りを見回してみれば、物凄い人集り。

「普段表に出ない私達はちょっとした有名人みたいですね」

「おい、ハウゼ、ミュール抱えるの替わってくれ」

走りながら羨ましそうにバウエルがハウゼを突っつく。

「貴方がミュールを抱えたらミュールの麗しいお尻を擦ってしまうでしょう!」

「むむ、それは確かにいかんな。」

ぶつぶつと呟きながら並走するバウエル

「でしょうとも、だからこれは私の役目です」

フフンとでも言わんばかりに胸を張るハウゼ。


いつも通りの2人に少し安堵し、笑ってしまう。

「悪かったわ、少し物思いに耽ってしまってたの」


「あ、ならこうすればいいじゃないか」

バウエルはミュールを抱えるハウゼごと肩に担いだ。


「うわっ…おい!」

「え。」

ハウゼよりも速度は上がりすぐに宿の中へ到着した。



「相変わらず騒々しいな、ミュール」

そういって出迎えたのはアンブローズだった。

すぐに体勢を立て直し、ドレスを払うとそのまま裾を摘まみあげ礼をする。

髭をさすりながら笑みを溢す老人にハウゼとバウエルも各々の礼を捧げる。

「畏まらなくてもよい、顔をあげよ」

アンブローズが手を伸ばすと皆久しぶりの再会に頬を緩めた。

ハウゼとバウエルも現役時代ではアンブローズによくよくお世話になっていた。

そもそも仲の悪いエルフとドワーフの最初の間を取り持ったのはアンブローズだ。

七高も皆アンブローズが目をかけて育てた様なものだ。


「お久し振りです、師匠。お変わりないようで何よりです。」

「そちらもな」

「今回の討伐、正直なところ私は不安です。竜に人が勝てるのでしょうか」

「心配は無用、儂も分体だが着いていく。」

「それは心強い、」

「それとな、ミュール。儂の五剣は強いぞ?」

「お噂は予々。なんでも、かの戦争を止めた男を筆頭に剣士を集めているとか」

「そうじゃ、そやつはオルトと言う。ミュールお主なら全員のステータスを覗くことが出来るじゃろう、作戦立案等、部隊の指揮をとるのはお主が最適じゃ。あの双頭伝説の雲龍もおる、上手く動かしてくれ。」

「はい、師匠。」




湯浴みをしながら考える。

如何に師匠が認めた五剣が揃っていようとも慢心してはいけない。

私達が相手にするのはこの大陸が出来る前から生きているとされる生物。

我々人間と同列の生物と考えてはいけない、

神に近い存在なのだ。


それに、師匠の言い方も気にかかる。

「心配は無用…か」

もやの中虚空を見つめ呟いた。




五剣の5人と双頭伝説の雲龍、オルグラフィア王国の精鋭2人、グングニラ聖教国から3聖女の1人。

戦力としてはこの上ない。

「なのに…」


間違いなく人類戦力としては最高峰のみを集める事に成功。

しかし釈然としない。

一番の気がかりは元々を知らない同士で一朝一夕の即席の連携を取れるのか。


アンブローズの分体に先導され、移動用魔方陣にのり、

アンブローズと共に移動術式の詞を捧げる

「「我、顕現させし異界の門、集え、力、集束を持ちて、繋げよ」」


言い終わると同時にアンブローズの分体は一瞬体が揺らぐがすぐに持ち直した。

この人数の移動分の魔力をアンブローズの分体が一手に引き受けた反動だ。


魔方陣が浮かび、そのままそれが移動用のポータルとなる。

殆どの顔ぶれは一瞬戸惑ったようだが、無理もない。

今現在移動術式ワープを自力で使える魔法使いはアンブローズと自分のみだ。

発動させることは出来るが発動に見合う魔力の供給が必要になる

魔石を媒体に使うことも出来るが、

人を1人送るのに宮廷魔導師の年収額程の魔石が必要になる。

もし媒体すら用意出来ないまま発動させてしまえば反動は術者に帰り、

その上、術式が解け、辺り一面を砂にしてしまう為、術者は即死だ。


そんなリスクを負おうとする命知らずはいない。


そんなものを分体にやらせ、

分体も一瞬姿を崩ししたものの、すぐに立て直せる、それだけアンブローズが強者である証拠だ。

彼の強さは痛いほど、誰よりも知っているつもりだ。

しかし、不安は拭えない。


「さて、儂の分体とはいえ帰りの事も考えれば補助魔法をかけるのが精一杯じゃ。」

アンブローズの分体はいつもの本体のように髭をさすりながら全員に杖をかざす。

「ワープゲートを開けたままにしておかねば分体も消えてしまうでの、ゲートのこちらはこの分体が、あちらは本体が維持しする。あとは、ミュール。お主に任せる。指揮を頼んだぞ。」

「畏まりました」

跪き、礼をすると討伐メンバーに向き合った。

「早速で申し訳ありませんが、皆さんのステータスを覗かせて頂きます」

“ディヴロージステータス“


「確かに…」

確かにアンブローズが自信を持つだけある。

五剣の面々は5人中4人はレベル95を越えていた。

その上、ステータスも全体を見ることは出来ず、3つまでそれもスキルレベルすら見えない。



●5 血濡れのブルーム

lv62 太陽の巫女

HP:100/100

MP:100/100

ATK:473

DEF:748(*)

INT:112

RES:471

AGI:668(*)

全耐性、鉄壁、疾風怒濤


●4 震空のゴライアス

lv99 重剣士

HP:100/100

MP:100/100

ATK:611

DEF:577

INT:47

RES:38

AGI:201

風読み、見切り、突進


●3 五月雨のミユキ

lv96 暗殺者

HP:100/100

MP:100/100

ATK:392

DEF:245

INT:308

RES:227

AGI:506

疾風迅雷、隠密、見切り


●2 断絶のヤイバ

lv98 ソードマスター

HP:100/100

MP:100/100

ATK:712

DEF:534

INT:83

RES:109

AGI:442

見切り、鉄壁、


●1 王剣のオルト

lv107 重剣士

HP:100/100

MP:100/100

ATK:1084

DEF:820

INT:360

RES:487

AGI:372

全耐性、見切り、フルスキン


「驚いた…」

五剣全員のステータスを覗き、喉をゴクリと鳴らす。

これが大陸最強の剣士5人。

ブルームはフードこそ被って顔はよく見えないが、見た目はそれなりに若い、

それに…

「…太陽の巫女?」

そんな役職聞いた事もない。

神官方面のマイナー職なのだろうか?

本職は前線職ではないのにそれでこのステータス、驚異的だ。


そして目に余るのがやはり化物というべきか、

五剣筆頭の一刀、王剣のオルト。

ATKが4桁を超えている。

かつての剣の勇者でも全盛期で974…。

人間種でATK4桁のステータスなぞ初めて見た物だ。


続けて他のメンバーも見渡す。


●ハウゼ

lv99 エルフの長

HP:100/100

MP:100/100

ATK:346

DEF:384

INT:513

RES:547

AGI:566

毒付与、解毒、精霊の加護


●バウエル

lv99 ドワーフ王

HP:100/100

MP:100/100

ATK:581

DEF:692

INT:238

RES:466

AGI:133

ぶんまわし、力任せ、鉄壁


二人とも衰えはしているもののやはり歴戦の猛者としてのステータスは維持している。



◯雲龍

lv99 極槍使

HP:100/100

MP:100/100

ATK:434

DEF:384

INT:413

RES:299

AGI:312

ギフト:酸化腐蝕

蒼天貫覇、見切り、スキル補助、遠隔操作、風見、風天突破、狙い撃ち


双頭伝説の一人、雲龍。

射程範囲内にはギフトと呼ばれる先天的な固有スキルで確実な破滅をもたらすという。

かつて魔王軍の進行を弟と2人で4度の進行を完全に退け、村を守りきった事を称えられた。

コルトバッツ貿易公国随一の英雄だ。



◯ミシェル

lv92 盗賊頭

HP:100/100

MP:100/100

ATK:346

DEF:212

INT:322

RES:124

AGI:577

隠密、神速、影踏み、


オルグラフィア王国の正式な王の手足となる隠密隊の隊長格と聞いている。

ギフトは覗くことができないが、きっと多くのスキルを持っているのだろう事が容易に想像できる。



◯ローカ

lv90 騎士

HP:100/100

MP:100/100

ATK:459

DEF:492

INT:411

RES:384

AGI:394

鉄壁、見切り、アイアンスキン、


オルグラフィア王国近衛騎士団の副団長というだけあり平均的に能力値が高い。

回復役としても優秀で、一応一通りの状態異常回復が出来る上に戦闘面でも引けを取らないどころか自ら前線へ赴き、回復しながら戦う。

国の正規の軍でなければギルドにスカウトしたいくらいだ。




グングニラ

◯サーシャ

lv89 聖女

HP:100/100

MP:100/100

ATK:26

DEF:138

INT:473

RES:666

AGI:104

ギフト:防護結界

聖魔一体、範囲向上、高速詠唱、並列詠唱、異常状態無効、


グングニラ聖教国の三聖女が一人、サーシャ姫。

同時に3つの術式展開が出来る天才と噂されている。

彼女はギフトによる防護結界で後方から常に回復や付与魔法でサポートする役割だ。

正直な所、わざわざ聖女を送ってくる辺りグングニラ聖教国はこの討伐をも政治に利用しようとしているのが見てとれる。



そして、今の自分。

●ミュール

lv99 魔導

HP:100/100

MP:97/100

ATK:191

DEF:412

INT:946

RES:728

AGI:147

ギフト:亜空間制御

魔力付与、魔力操作、精霊の加護、高速詠唱、属性魔法(火水風土雷闇光)、魔導の極み


装備でガチガチに固めてはいるもののバフ込みでもINTが4桁に乗らない。

全盛期は1500近く出ていたというのに。


しかし、皆のステータスは装備なしのもので見ている為、装備後のステータスをしっかりと見れないのが残念だが、

方針は決まった。



やはり皆の実力と得意とする戦闘スタイルがわからないため、最初から決めていくのではなく、

途中展開する陣形を覚えて貰うだけでいい。


作戦は「ガンガンいこうぜ」だ。

そう、

まさにド◯クエのような冒険の幕開けです(笑)


も少しだけミュールさん視点は続きます。

今頃アリシアさん達は何してるんですかね?

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