#武器を買うぞ!!!
虎太郎はギルドに足を向けた。バアンと扉をひらいて飛び込む。手に月見草を百本持って。
「月見草買ってください」
「またきたああ!!ほんとどうやって見つけてるの!?」
「だから目力です!この眼光を見てください!」
「まつ毛ビシバシで可愛い目ね! でもそれだけじゃ説明付かない量なのよ! でもはい、12000ゼニー!」
ダンジョンに潜るとなれば当然武器が必要になる。虎太郎は受け取った金を握りしめて武器屋へ向かった。
だが。
「六十万ゼニー…」
一番安い剣でもその値段だ。
虎太郎は武器屋に入って硬直してしまった。12000ゼニーごときじゃ手に入りはしない。
「なんだそこの貧相なガキ! ここはお前みたいな貧乏そうな外国のガキが来る場所じゃねーぞ! 冷やかしなら帰れ!」
「いえ、冒険者になりたいんです。武器を振らせてください!」
「いいから出ていけ! テメーみたいなFランクに居られると店の品位が下がるんだよ!」
「うわ!」
蹴り飛ばされた虎太郎が床に転がる。顔を上げる間もなく、店主が装備していた剣を眉間に突き付けられた。
「わ、判りました、出ていきますから」
と、言いつつ、店主が突き出してきた、いかにも高そうな剣にそっと降れた。
(コピー)と口の中だけで呟く。
「し、失礼しましたー!」
と逃げるように店を出る。
(剣は手に入らなかったけど目的は果たしたな)
そっと家と家の間にある暗がりへ身を潜める。周囲に誰もいないことを確認すると、コピーした剣をペーストした。
「うわ、意外と軽いな。僕でも簡単に振れるぞ。剣の性能のステータスも見れるかな?」
【風切剣】
・攻撃力:+180
・重量:軽量
・属性適性:風
・特徴:初心者でも扱いやすい
「初心者向けの剣なのか…じゃあこれ、売れるかも。とりあえずカット」
剣を消して虎太郎は走った。
───
「こんにちは!」
再びバァンとドアを開く。当然ギルドの扉だ。
「また来たああ!花ならもういらないからね!」
フィオナが大きな胸を揺らしながら、両手を振って拒絶する。
虎太郎が駆け込んだ先は、もちろんギルドだった。
「あ、でもお姉さんに会いに来たなら話は別。なんならお姉さんのツバメになる?」
ずい、とカウンターの上に大きな胸を乗せる。
「ツバメ? いえ、僕変身とかできないんで鳥にはなれませんが、ダンジョンに潜りたいと思ってるんです。だから何が必要か教えてほしくて。それと、装備を揃えるには、だいたいいくらくらいかかるんですか?」
武器だけでも60万ゼニーだ。総額がいくらになるのか確認しておきたい。それに、ダンジョンに潜るうえで何が必要なのかを知っておくのは重要だ。
「ダンジョンンンン!?!?」
その言葉を聞いた冒険者たちから、どっと笑い声が上がった。
「あのね、可愛い男の子くん」
「黒崎虎太郎と言います。そして別に可愛くありません」
「じゃあ可愛いコタロウくん」
フィオナが虎太郎の鼻先をつん、とつついた。
「ダンジョンはとーっても危険な場所なの。Fランクのペラペラ新米君が入っていい場所じゃないのよ」
「でも、どうしても強くなりたいんです!!」
真剣な声に、酔っ払いたちの笑い声がしんとやんだ。それだけ虎太郎の声は澄んで響き渡っていた。




