#エルフの幼女との出会い
「だ、大丈夫だった?」
少女を床に立たせ、怪我が無いかを確かめる。少女は10才程度といったところか。とても可愛らしい顔立ちをしていた。
耳がとがっている。
(エルフか。本物のエルフがいるなんて、ここって本当に異世界なんだな)と改めて虎太郎は実感した。
「うん! 助けてくれてありがとうお兄ちゃん! ハンバーガー、ダメにしてごめんなさい…弁償するお金もなくて…」
スカートを掴んでもじもじとする。
「弁償なんて気にしないでいいよ。それより怪我が無くてよかった。それじゃ」
虎太郎がその場を立ち去ろうとした、その時。
ぐるるるる……。
虎太郎のお腹が鳴った。
「あ」
「やっぱりお腹泣いてる! お兄ちゃんのバーガーゴブリンに食べさせちゃったもんね! お家にきて! お兄ちゃんにお礼するの!」
「いや、僕は別に……」
「だめ! お姉ちゃんから、親切にした人にはお返ししなきゃって言われてるの!」
少女は虎太郎の手をぎゅっと握った。
その小さな手は、まだ少し震えていた。
「この街で人助けする奴なんて珍しいぞ兄ちゃん!」
「最近じゃゴブリン一匹くらいじゃ誰も驚かなくなったからなぁ」
「一人二人死んでも気にされない街になっちまってんだ。お礼くらい受け取っとけよ」
周りの大人たちが促され。振えるを握り返した。
「……そっか。じゃあ、お言葉に甘えようかな」
「うん!」
少女の顔に、ようやく笑顔が戻った。
「ほんとはね、一人で出歩いちゃダメって言われてたの。最近は魔素が強くなってきたから、危ないんだって」
「魔素って何?」
「知らないの? 人の悪い心。それがぎゅーって集まったら魔素になって、魔素からモンスターが出てきちゃうの。出てくる場所はダンジョンだけなんだけど、魔素が増えすぎてダンジョンがいっぱいいっぱいになっちゃったから、街にもモンスターが出るようになってきたんだよ。前はスライムだけだったんだけど、最近は危ないのもいっぱい出てくるようになっちゃったの!!」
「そうだったのか…ギルドの人たちはダンジョンに行かないの?」
「行くけどね、一階だけでも大変なんだって。でもね! 勇者さまを呼ぶ儀式をするから、もう大丈夫なんだってみんな言ってるよ! 勇者さまがモンスターをいっぱいいっぱい倒して、街から魔素を消してくれるんだって! 勇者さま、ルルも見れるかな?」
「きっと見れるよ。ルルちゃんっていうんだね。僕は黒崎虎太郎。よろしく」
そうか、タカシが呼ばれたのはこの危険なからモンスターを追い払うためだったのか。
いけ好かない奴だったけど、街の人たちはいい人ばかりだ。平和にしてほしいと虎太郎は心から願った。
「コタちゃんだね」
「そう呼ばれるのは初めてかな」
「おねえちゃん、ただいま!」
連れていかれたのはとても質素な家だった




