↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
29/31

#コピペの自分は使い捨て

 考え込んでいる様子の虎太郎を他所に、クロは能天気に罠の無いもう一つの扉へと進んでいく。

「今度は何があるかなー」とドアを開いた瞬間、

 ドガァン!!

 ダンジョンを揺るがすような咆哮とともに、恐竜の王――ティラノサウルスが扉いっぱいに顔を突っ込んできた。みしっとドア周りの壁にひびが入る。

「うおおおお!!! 出た!大本命ティラノ! かっけええ!! やるぞ虎太郎!」

「ああ」

 無防備にさらしてきた目をクロが潰す。ティラノサウルスはギャオオオと悲鳴を上げながら、剣が突き刺さったまま顔を引いた。

「風切剣ペースト」

 目玉に刺したままの剣の代わりに虎太郎が新しい剣をクロの手にペーストする。

「気が利くねえ。さすがオリジナル様。クローンへの対応もばっちりだぜ」

「【剣聖】スキル千剣滅界!!」

 空中に何本も剣が現れ、ティラノサウルスの体に一気に降り注いだ。

「テンション上がるぅ!【剣聖】スキル覇王剣!!」

 巨大になった風切剣がティラノサウルスを真っ二つに引き裂いた。


「とどめだ! エルフィナ、エル!」

「はい!! ハンドレッドアロー」

 二人が同時に二人が同時に弓を引く。一本の弓矢が百本にも分裂して息絶えようとしていたティラノサウルスにとどめを刺した。

───ピコピコピコピコピコ

【エル:レベル25】

【幸運の指輪のスキルが解放されました:敵の攻撃が全てあなた以外の味方へと向かいます】

「はぁ!? 何よそれ!! そんなのいらない!」

「いや丁度いいだろ。お前ら紙なんだから。俺らが代わりに攻撃を受けるならかえって戦いやすいぜ」

「確かにクロの言うとおりだよ。───カ「やめて!!」

 エルフィナが初めて大声を出した。

「わたしはみんなに攻撃が向かう力なんていらない! 攻撃が向かないのはエルだけでいい! わたしには必要ない!」

「オリジナルにこそ必要な力だってば。いいからおにーさんの言うこと聞きなさいね」

 クロがエルフィナをたしなめる。

「わたしは、わたしは」

「虎太郎、さっさとしろよ」

 虎太郎が手を上げる。

 指先が少し震えている。

 いつもなら、何も考えずにできた。

 それでも――


「……カット」


───ピコピコピコピコ

【エルフィナ:レベル21】

【幸運の指輪のスキルが解放されました:敵の攻撃が全てあなた以外の味方へと向かいます】


「ペースト」

 エルが現れる。

「──────」

「どうしたんだよ虎太郎。さっきから様子が変だぞ? お前の力はこのパーティーにとって絶対必要なの。コピーペーストが無かったら二人っきりでこのダンジョン攻略だぜ? 俺がいなかったら最初の弓矢で全滅してたろ。今更コピペで悩むなよ」


 こつ、とクロが虎太郎の頭にこぶしを当てる。


「俺たちは偽物なんだからさ」


「偽物なんていわないで! クロも、エルも、ちゃんと人だよ! そんないいかた、自分でしないで! ばかぁ! どうして、自分を大事にできないの!? わたしにはわかんないよ…!!」

 エルフィナがうつむいてるエルのからだを抱き寄せて、叫ぶように言う。


「エルフって優しいのなー」

「───」

「虎太郎、感化されんなよ。俺たちのスタイルはかわんねえ。百歩譲ってエルは大事にしてもいいけど俺は使い捨てだ」


 忘れるなよ。とクロが続ける。

「俺の言葉はお前の本音だ。 お前の中には消えない怒りがある。モンスターへの憎しみも、自分自身なんてどうなってもいいって気持ちもな。 けど、お前が死んだらモンスターを絶滅させられない。だから俺がいる。使い捨ての俺がな」

 いつかとは逆に、クロが虎太郎の胸をどんと叩いた。

「悩むな」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。