#なんでこうなってんの?
虎太郎が真ん中を歩き、左腕にエルフィナが。右腕にエルが抱き着いている。
その前をクロが一人で歩いていた。
「俺じゃなかったら、とっくに逃げてるぞこれ」
クロが一人だけ盾になり、もう一人の男は二人の少女にモテている。
普通の男なら、とっくに戦線離脱していただろう。
虎太郎は自分の何が失言になるかわからずに口をつぐんでしまっている。
ドドドドドと遠くから巨大な生物が複数走ってきている音がした。
「虎太郎」「うん。二人とも下がって」
大型肉食恐竜、アロサウルスの群れが一斉にこちらに向かってきていた。
「こいつは俺たちで倒すぞ!二人は引っ込んでろ!」
「う、うん───」「大丈夫、やれるわ!! スリーアロー!」「あ、わ、わたしも! スリーアロー!」
「こんな状態じゃなければ恐竜がいたことにテンションあがるんだけどなぁ」
笑いながら虎太郎が恐竜の首を落としていく。
「確かにな。モンスターとはやっぱちげえ。かっけえ。エルフの森のダンジョンで生き残ってたなんてな」
クロも無駄口を叩きつつ確実に仕留める。
二十体近くもいた群れだったが四人の攻撃で確実に仕留められた。
───ピコピコピコピコピコピコピコピコ
レベルアップの音が鳴り続ける。
【虎太郎:レベル14】
【クロ:レベル13】
【エルフィナ:レベル8】
【エル:レベル10】
「はぁ!? いきなりなんなんだよこの上がり方!」
「そうか、エルフィナ達のレベルが急に上がったのは最初のレベルが低かったから上がりやすかったんじゃない。ここのモンスターたちの経験値が高すぎるんだ」
「カット」
二人を同時に切り取ると、またレベルアップの音が鳴り続け、
【虎太郎レベル17】
【エルフィナ:レベル9】になった。
「すごい、どんどん体に力がついてくる感じがする」
「ペースト」
「いちいち回収しないで! 私の経験値は私の物なんだから! エルフィナに分けたせいで減っちゃったじゃない」
「その文句は妥当かもなー」
「ううう」
虎太郎は何も言えずにうつむいてしまう。クローンは経験値稼ぎのタンク扱いしているのだから。
「しかしドロップ品が珍しい物ばっかりだな。恐竜の骨に牙に爪! これ売るのもったいなくねえ? どうせなら家に飾りてえな」
「でも、ルルとセレナさんの家に恐竜の骨は似合わなさすぎるよ」
「あー、まぁ、そっかぁ」
「「ルル? セレナ? それ、誰!?」」
「僕の大切な家族だった人たちだよ。いや、今でも家族だと思ってるかな」
「「会わせて!」」
「二人とも亡くなってるんだ……」
「─────────!!! クロ! 私を殴って!」
「はぁ? できるか。死ぬだろ」
「だって、ほっとしちゃったんだもん! コタロに私以上の大事な人がいたけど、いなくなったってことにほっとしちゃった!! 私最低だよ! ごめんなさい!」
またエルが虎太郎に抱き着いてわぁわぁと泣き出す。その隣でエルフィナはぎゅっと裾を掴んで、静かに泣いていた。虎太郎はそんなエルフィナも引き寄せ、二人を抱き寄せた。
「大丈夫。エルもエルフィナも大切な友達だから」
「は?」
かぽんと、クロの頭に何かが落ちた気がした。
友達。
ここで友達と区切るか。
そしてクロが自分の顔を押さえ、はあああああと長い溜息を吐く。
「どうしたんだよ、クロ」
「お前ここにマリリンさん居なくてよかったよ。地の果てまで吹っ飛ばされてるんじゃないか?」
「なんでだよ」
「逆になんでわかんねえんだよ」




