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#とうとう『あの』スキルをコピーした!!!

「初級ダンジョンクリアおめでとう! これ、Eランクのライセンスよ!」

「よかった、これで一つ上のダンジョンに潜れるようになるんですね」

「うん、そ! 目の下のクマが取れてるわね。ちゃんと眠れてるみたいで良かった。それに何か吹っ切れたような感じもするわ。いいことでもあったの?」

「すっきりすることがありまして、ちょっとだけ気分が上向きました」

「どんなこと!? お姉さんにも教えて!」


 さすがに、大量の自分を切り殺してすっきりしたからです、とは言えずに、


「ス、スライムダンジョンをクリアして……ようやく、一つ区切りがついた気がします」

 とあいまいにぼかした。

 フィオナもそれ以上は追及しなかった。その時。


「失礼する!」

 バアン!と勢いよく扉が開かれる。酒を飲んで酔っ払っている面々でさえも背筋を伸ばさせる刃のような鋭い声だった。虎太郎も驚いて振り返った。


 入ってきたのは30代前半ほどの、短髪に緩くウェーブの入ったいかにも騎士然とした男性だ。しかもただ物ではないオーラを放っている。


「私は黄道十二宮――獅子座を預かる騎士、バルドレオン!」


(黄道十二宮って12人しかいない将軍の一人じゃねえか)(何しにこんな場末のギルドにきてるんだよ!)手に盛ったビールのジョッキに身を隠すようにして男たちがこそこそと話す。


「ここに黒崎虎太郎殿はいらっしゃるか!」

「「「「いらっしゃいまーす」」」」と一斉に全員がカウンターに立っていた虎太郎を指さした。


「ちょ、な、どこのどなた様でしょうか!? 僕は(最近は)何も不正をしたりなどしていませんが」

「王命によりお迎えに上がりました。どうぞ我々とご一緒ください」

「王様から!? 何用でございましょうか!?」

「それは王より直接お聞きください」


「えええええ──────!!! 僕礼儀とか何一つ知りませんよ!? ノック何回すればいいんですか!?この世界も三回でいいの!?」

(いや待てよここで僕の代わりにクロに行かせれば───ダメだ、失礼千万とか言われて打ち首になる未来しか見えない!)


「お時間がありません。失礼いたします」

「ふぇ!?」

そう言うなり、バルドレオンと従者は虎太郎を左右から抱え上げ、馬車へと運び込んだ


(うっわ馬車ふっかふか!足元までふっかふか! 追放したくせにまた連れ戻しに来るなんて何を考えてるんだ国王!)


────


 この世界に最初に来たっきり入ったことのなかった部屋に通された虎太郎は、作法は知らないけれどもファンタジー映画で見たことのある片足だけの立膝で王が来るのを待った。


左右にずらりと兵士がならんでいるのに微動だにしないのが逆に恐ろしい。


 王が長い裾を引きずりながらうやうやしく現れ椅子に腰かける。


「黒崎虎太郎。そなたに聞きたいことがある」

「ははぁ! なんでございましょうか!?」


(あれ、今の変だったかな!? でも時代劇ではははーっていってたようなってあれは日本の江戸時代の作法だったファンタジーじゃない)


 パニックになって目がグルグルしていた虎太郎の耳に、すっと言葉が入ってきた。


 それは、王の声に威厳があったからではない。

 その言葉が、虎太郎の心の奥深くに鋭く突き刺さったからだ。


「なにゆえ、そなたは戦っている」


 そんなの。決まっている。


「この国から魔素を消し去りたいからです。モンスターを最後の一匹まで根絶やしにし、街に安寧を。国民が安全に暮らせるために戦っています。それ以上も以下もありません。この手で、必ず、成し遂げます」


 スライムキングが作った自分を切り殺して取り戻していたはずだった穏やかな虎太郎が、ルルとセレナを亡くしたその瞬間まで引きずり降ろされた。

 まっすぐ国王を見て言う目には暗闇だけが、声にはモンスターに対する重い憎しみだけがこもっていた。


「わかった。もうよい、下がれ」


「それよりも勇者と話をさせていただけませんか?」

「何ゆえに」

「なぜ戦わないのか。あいつが戦わなかったせいで死んだ者がいることをどう思っているのか。市街地で起きたモンスターによる惨殺事件についてどう思うか!問いただしたいからです!!」


 王は答えなかった。

 ただ、静かに目を閉じた。

「下がれ」

 それだけだった。


────


 わけもわからぬまま謁見が終わり、わけもわからぬまままたギルドへ戻された。その時。

「少年、私は君の言葉に感動した!! 国民の為に力を尽くすものこそ真の騎士! 君ならいつでも騎士団に迎え入れるからその時には獅子座を希望したまえ!!」

 と意味もわからずバルドレオンに強烈なハグを受けてしまった

(いだだだだ甲冑がめり込んで普通に痛い!馬鹿力過ぎるだろこの人───そうだ。コピー!)

 自分からバルドレオンに触れてコピーした。


「それでは、いい連絡を待っているぞ!」

 といい笑顔で去る騎士を見届けた後、確認した戦闘スキルには


───剣聖───が表示されていた。


【千剣滅界】大量の剣を雨のように降らせる

【覇王剣】剣を巨大にする

【剣戟無双】相手の剣を素早く受け止める

【神速剣】常人には視認できない速度で剣を振う

【飛剣斬】離れた相手、空を飛ぶ相手にも剣戟を飛ばす

「よっしゃああああああああ!!!!!」

 ギルド前で叫んだ虎太郎に驚いてギルドから一斉に人が出てくる。

「え、何が!? 王城で何があったの!?」

「なんかいいことでもあったのか!?」

「金銀財宝貰ったとか!?」

「そんなものよりもっといいものでした!!!」

「金銀財宝よりいい物ってなんだ!?!?」


 この場にクロが居たらハイタッチして喜んでいただろう。何よりも欲しかったスキルが手に入ったのだから。


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