↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Eren's tower  作者: 氷見つかさ
第一章
6/15

第五話 リヴル村

──地下七階。


ここからは人間の手が及ばず、自分の命は自己責任となる──



「わ、魔法ってすごい…!!」


石段から出て、踏みとどまった。



五階分が吹き抜けになっているのか、足がすくむほどの高度だ。


壁だけは石レンガを貫いているが、その光景はあまりに現実離れしたものだった。



「島が、浮いてる…!」


「落ちても知らんからな」



態度の冷たいリネンを追いかけて走る。


フリの目がきらきらと輝いていた。


レィ程ではないが、フリも好奇心旺盛だ。




「なんでそんなに塔のこと知ってるの?」


「……そういえば、なんでだ?」



そう言ってリネン、首を傾げる。


銀髪がさらりと揺れた。



その様子にフリ、呆れ果てて。



「なに?おばあちゃんなの?」


「殺すぞ。


少し前から何だかさっぱり記憶がないんだ」



「何それ、記憶喪失ってこと?」


フリが追いつき、並んで歩いて。



「俗に言えばそうかもしれない」



なんだ、その顔。


こいつ、自分の記憶に無頓着だ。



…なんていうか、どうでもよさそう。



「そんなこともあるんだね」


「あるんだなー、それが」



そう言ってリネンが先導して島へ飛び移った。




「リヴル村へようこそ!」



快い声で迎えられた。


拍手やクラッカー、横断幕で冒険者を歓迎している。



「ここがリヴル村!アクセサリーが有名らしいよ!」


そう言ってフリが走っていった。



ひときわ大きな浮島に家が立ち村を成している。


地下だというのにすごい活気だった。


小さいけれど、屋台や魔道具店が並ぶカントリーな街だ。



「ほら、これは魔石の一種の──」


フリ、ウキウキで言いかけてリネンの白い目に気づく。



「先程から思っていたがアクセサリーが好きなのか?」


珍しくリネンが興味を持っているようだった。



「え、えへへ…。遠目で見るのはタダだし…」


「そうか」


じっとフリの持つペンダントを見つめている。



「な、何…?」


フリは困惑して固まる。



その直後ペンダントをひったくられた。


フリ、慌てて。


「何するの!」



「これ、いくらだ」

「4リヴぐらいですー」



◇

「……何で買ってくれたの」


「勘違いするな、ご機嫌取りだ」



フリ、ペンダントを握って。


相変わらずの皮肉。



「これは霧石と言って割ると霧が出るんですよー」


ショップの店員さんが屋台から顔を出して。



「へえ、割ることないけど綺麗だぁ……」



白濁した水晶みたいな感じだ。


透き通った宝石とはまた違う魅力がある。



「リヴルの特産品なんですよー」


「これが特産品だから地下でも暮らしていけるのね」



フリ、目の前に掲げてまじまじと見つめた。



「どうするか?一旦宿に泊まることもできるが…。

少し早いがな」



リネンがそう聞いてくる。


フリは首を振ってこう言った。



「ううん、もたもたしてたらレィに寿命が来ちゃう!

まだ大丈夫だよ!」


見上げる金色の目には妙な力強さがあった。



「…そうか。いつまでその根気、持つかな」


また皮肉を吐かれる。


フリはむっとしたがあえて黙った。



「こっちだよね?」

「ああ」


街の端っこから下を覗く。

断崖絶壁だ。



そこでふと、後ろから声をかけられる。


「あの、冒険者さんですよね…!」



「ん?」

くるっと振り返る。



少女?少年?……だった。

薄緑の髪に、特徴的なのは目元を覆う包帯。



「ぼく……じゃなくって…!リヴル村へようこそ…!


ぼ、ぼくはティロと申します…」



ティロはそう言って、仰々しく頭を下げた。



「ふうん。で、何の用だ?」


リネンが首を傾げる。



「えっと、その…!ぼく、冒険者さんに憧れてて…。」


ティロは遠慮がちに続ける。



「握手とかして欲しくて…」


彼は恥ずかしそうに毛先を弄って。



「えっ、あたしは冒険者じゃないからなぁ……」



フリ、困惑してリネンを見上げる。


そのままにやっと笑った。



「握手してやってよー、冒険者サマー」


「黙れ。凍らせるぞ」



罵りながらもリネン、素直に手を差し出した。



きゅっと握手。


フリは妙な気まずさを感じた。



「わあ…!ありがとうございます…!

一生洗いません!手が一番好きな部位になりました!」


「いや流石に洗え」



喜びようがすごい。


顔を輝かせて手袋をはめ始めている。



「あの、ぼく……。

冒険者になったら、絶対お姉さんたちに追いつきます……!


強くなります!」



そう言って彼女は逃げていってしまう。

シャイなのな。



「…夢のある子だ……」

「そうだね」


妙な間があったが構わず出発した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。