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Eren's tower  作者: 氷見つかさ
第一章
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第三話 地下の双子

「……なんで私が、こんなことを…!!」




悪態を呟く彼女。


嫌そうな癖に着いてくる足は止めない。


お人好しなのだろう。




「そんなこと言ってる場合じゃないよっ!

 ほら、連れてって!」


フリ、彼女の背中をぽん、と押してこう言う。



「そういえば貴様…」


「その貴様って呼び方!」



彼女にびしっと人差し指を突きつける。



「あたしはフリル!

あだ名はフリ!覚えてよ!」


「……分かったから。私はリネンだ」


彼女──リネンは杖を掲げて。



「魔法使いだぁ…!初めて、見たっ!!」


「や、やかましい…!!」



目を輝かせるフリに、リネンは煩そうに唸った。




「きさ…フリルは何も塔のことを知らないんだな」


「そうよ!何か問題ある?」



「アリアリだ」



彼女が眉をひそめて。


何回目だ、この仕草。



「何か聞きたいことはあるか」


「うん!あるあるあるー!!」



フリが元気いっぱいに手を挙げた。


授業みたいな光景。



「ほう、人探しってわけか」


「うん、さらさら髪の…」



「食べられて、ないといいな…」


「た、食べられてーーッッ?!」



衝撃の発言にフリはくらっとくる。


リネンといえば、ものすごく申し訳なさそうな顔をしている。



「あの種は大樹種と言って、人間を殺して養分にするんだ」


「終わった…」


「諦めるのは早計すぎる」



リネンがすぱっと言い切る。



「じゃあ助けることはできないの?!」


「そうとは言っていない。


塔のどこかに本体──大樹があるはずだ」



リネンは人差し指を立てて。



「それを潰しに行くってこと?」


「ああ。

計算や情報から編み出した結果……


最深部にある可能性が一番高い」


「キターー!!」



フリが飛び跳ねてはしゃぐ。



「早速行こう!」


「駄目だ」


「なんで!!!」



一発で引き止められて叫ぶ。



「私から離れるな。危険だ。


それにまずは情報収集が必要だ」


「どこでよ?」



「……心当たりがある。そこへ向かうぞ」




──地下五階。とある坑道が繋がってしまった階層。


一階〜六階は人間の手が及んでおり、よく人が行き交っているようだ──



「すごーい、冒険者がいっぱい…」


「見るのは初めてか?ダンジョン市だ」



初心者からベテランまで様々な冒険者で賑わっている。


屋台がずらりと並び、武器屋からわたあめ屋までたくさんある。



「いらっしゃい!」


「いらっしゃい」



呑気な声が右側から、元気な声が左側から聞こえた。



「やあ、シュト、ルト」


「やっほー、リネ!そっちの子は?」


「……知り合いの小娘。」



その言い方にむっとくるがフリは無視した。



「こ、こんにちは…。

この子たちは…?」


「紹介する。ルトとシュトだ」



双子だろう。


お揃いの衣服に髪も目も同じ青色だ。



強いて言えば、ルトのほうがけっこう癖毛だ。



「こんにちは!おれはルト!」


「……ぼくはシュト」



市の端っこの方の屋台で二人は座っていた。


質素な出立ちだが、人懐っこい顔をしていた。



「二人は何をしているの?」


「ガラクタ商って知ってる?


ダンジョンのガラクタをパクって売ってるの」


シュトがこう答える。


そんな稼ぎ方もあるのか…。



「で、リネ。今日は何の用だー?」



「今日は……?」


リネンは一旦訝しげに首を傾げたが、続けた。



「……えっと、植物型の魔獣、見てないか?


人間を攫ったようなんだが」



二人も考え込んでいるようだ。

しばしの静寂。



「蔦くらいなら見たよ。あっちの階段に…」


シュトが指をさす。

下層への石段。



「助かった」

「待って」


フリ、歩き去ろうとするリネンを引き止める。



「あ、あのさ…。

ルトくんもシュトくんもこれで稼いでるわけだしぃ…」


妙に目が逸れている。


「…商品が見たいってわけだな」



「これは?」


「それは〜!空間の指輪!」



ルトがフリの持っていた指輪をもぎ取るように奪う。



「ほら、あっち側が別の世界になってる」



ルトが指輪を掲げた。


確かにあっち側の景色が実際と違う。



「なにこれ?沈んだ…宮殿…?」


「ここから先は有料ですー」



見ている途中にルト、シュトに指輪を引ったくられた。



「これは5秒先が見える水晶玉」


「すごいけど使えない」



「これはちょっと足が速くなる靴!」


「それ俊◯では?」

「構ってる暇はない、行くぞ」



フリ、リネンに引き摺られていった。



◇


「リネ、なんか今日おかしかったねー」


「そうかな」



シュトが、ひび割れたお茶碗に入った水をすすって。


ルトが心底不思議そうに首を傾げていた。



「……でも確かに、リネが人間とつるむなんて珍しいね」


「うんうん!

心変わりでもしたのかなあ」


ルトが一旦息を吐いて。



「リネくらい人を信じない人、他にいないくらいなのにィ」

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