↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
旅のお供は変わり者~種族を越えて囲むテーブル~  作者: 彩
第四章 ラミアとケットシーの村
93/118

天龍と鰹節工場


「ててて、天使がいるなんて聞いてない! それにマモルもいるじゃない!」


 エルエルの姿に怯えたがマモルの姿も一緒に発見すると見方を得たような態度へ変わり、人化し地面に着地するとマモルの後ろへと回り込む。が、人化した天龍の姿はどこも豊満でマモルの後ろに隠れるというよりも手に持ち盾にするといった感じの方が正しいだろう。


「天龍さん、お久しぶりです」


「うんうん、お久しぶりよねぇ~こっちの天使と天使長にはよく殴られていたから会いたくないのだけれど」


「それはこっちのセリフねぇ。マモルのトレーニングの邪魔をしたり、何度も覗きにやってきたり、魔法の邪魔をしたり、いつもキラキラしやがって目に悪いのねぇ」


「あら、私の鱗が煌びやかなのは仕方のないことじゃない。ねぇマモル~」


 甘えた声を出しながらもマモルを両手で持ち上げ盾のように扱う豊満天龍。胸よりもお腹の方にインパクトがありハムのようなボディーに目を奪われるケットシーたち。


「まん丸なのです……」


「あら、精霊王ちゃんもいるのねぇ~今はまだチンチクリンだけど可愛いわぁ~」


 豊満天龍からの誉め言葉にえへへと笑顔を作り応え、ヒマワリ執事と羊メイドは警戒しているのか二人の間に入りこちらは自ら望んだ盾役となっている。


「天龍お姉ちゃんはどうしたの? 私たちを探しに来たの?」


「あら、探していたのは風龍の方よ。いつもは視界に入れたくなくても入るのにそれがいなくなったら少し寂しいじゃない。海龍のこともあったし風龍もそろそろ生まれ変わる時期かと思って、玉子が落ちていたら温めて再教育してやろうかと思っただけよ~」


 海龍幼女に手を振り振りしながら話す豊満天龍に、顔を青ざめさせるイケオジ風龍。


「それは洗脳というっすよ……」


「教育という名の洗脳……俺はどこか見つからない場所でひっそりと生まれ変わりたい……」


「海龍ちゃんのときは炎龍が見てあげていたのだから風龍は私が見るのが通りよねぇ」


 顔を引きつらせる風龍。


「そんなのはどうでもいいのねぇ。我らはやることがあるのだから部外者はとっととマモルを放して帰るのねぇ」


 ぬいぐるみの手で数回払う仕草をするエルエル。それを守るシールドで無効化しつつ豊満天龍はマイペースに視線の先にある石造りの小屋を指差す。


「あの場所から火と水と風の精霊の気配を感じるわ。それにあっちからは風と光の精霊も……まさかここは精霊たちを育てる場なのでは!?」


「まったく違うの」


「ここは鰹節と呼ばれる保存食を作る場所であちらは豆腐工場です。どちらも火を使い水も使うので精霊が集まりやすいのかな?」


 盾にされているマモルからの説明に「かつおぶし? とうふ?」と首を傾げる天龍。


「鰹節は魚を燻製にして保存した食品で、豆腐は豆を煮て固めた食品です。どちらもケットシーさんたちの新しい産業ですね」


「あら、それは食べてみたいわ。可能かしら?」


 視線を近くにいるケットシーに向けると「すぐにお持ちします」と豆腐工場へ走り出し、鰹節担当者はぶるぶる震えまだ稼働していない状況をどう説明するか悩み、マモルが口を開く。


「これから鰹節を作る作業をするところですよ。まだ完成品はボクが少し持っているだけです」


「あら、残念ね。私も一緒に見学してもいいかしら?」


「も、もちろんです! すぐにご案内します」


 敬礼したケットシーはすぐに豆腐工場へと向かい守るシールドを持つ天龍を先頭に足を進める一行。内部は思っていたよりも広く、魚の解体場、魚を茹でる煮場、骨を取り除く場所、燻製させる場所に三部屋に氷魔法を使い保管する場所。最後に風通りが良く天日干しができる裏庭に別れている。


「まだ試作段階で鰹節に適した魚を見つける作業です。魚の種類ごとに茹で火を入れます。マモル様、解体した魚をお願いします」


「では赤身の魚から行きますね」


 魚を茹でる煮場に到着した一行は指輪型のアイテムボックスから昨日解体した魚を取り出しそれを網に入れて魚の名のわかるようにメモを取りタグをつける。


「切り身になっているとどんなお魚かわからないの」


「どの魚も海龍が取ってきたのです。天龍お姉ちゃんにも晴れ姿を見せたかったのですよ」


「あらあら、それは見たかったわ」


 マルモシールドを手放し今度は海龍幼女を両手で抱き上げる豊満天龍。もう天使からの攻撃はないと思ったのかマモルを手放し、キャッキャと喜ぶ海龍幼女を抱き上げ、今度はそれを見た精霊王のツムギが口を尖らせながらマモルを前に両手を広げる。


「ん! ん! ん~~~!」


「えっと、ボクは魚を渡す役目があるから羊さんお願いします」


「お任せください!」


 一瞬マモルに向けられた殺意のこもった瞳だが、自身が逆に指名されたことで微笑みを浮かべ精霊王のツムギを抱き上げる羊メイド。精霊王のツムギも魚を渡す役目という言葉に仕方なしにという表情で羊メイドに抱っこされるのであった。



 お読み頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。