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旅のお供は変わり者~種族を越えて囲むテーブル~  作者: 彩
第四章 ラミアとケットシーの村
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ウニの討伐



 巨大な風龍と海龍に睨まれたウツボと亀は喧嘩も忘れて海面を走るように水平線へと消え去り、その巨大な顔を今度はターゲットであるウニに向ける。


「一瞬で逃げたのねぇ」


「ウツボは美味しいと聞いたことがあるけどあそこまで大きかったら大味だと思うし、カメは食べられるのだろうけど良心が痛みそうで逃げてくれて良かったよ」


「グルラァァアァァァ!」


 巨大なウニに向かい咆哮する炎龍。対してウニの移動速度は遅いが中央の棘がゆっくりと開き巨大な単眼が姿を現す。


「ウニってあんな目をしているのねぇ」


「いやいや、ウニに目なんてないからね!」


 マモルがエルエルにツッコミを入れ否定したが目の前のウニには巨大な瞳があり、更には方向を上げていた炎龍だったがクラクラと体勢が崩れ地響きと共に倒れる。


「ウニの目には催眠効果もあるのねぇ」


「もうそれはウニではない別の魔物だよ……それよりも助けないと!」


 慌てて帯刀しているナイフを構えるが、海龍が勢いよく飛び出しその瞳がギラリと光り海面から水柱が何本も現れウニの魔物へと襲う。


「水の精霊も味方しているのねぇ」


「これは助けとかいらないかな……」


「そもそも炎龍が油断したのが悪いのですメェ。海龍も幼いように見えて力の使い方を理解しているのメェ」


 水柱が集まり水流のように空へとウニを持ち上げると海龍が大きな口を開けブレスの体勢に入り魔力が視認できるほど収縮し、青白い光が一気に放たれると海面から打ち上げられたウニを直撃し四散する。


「捕獲は大失敗なのねぇ……」


「ブレスで手加減できるとは思っていなかったけど、まさか四散するとはダメダメなのメェ」


「怪我がなさそうなのが救いですが、ドラゴンのブレスはやっぱり凄いですね……」


 四散したウニが海に降り注ぐ光景に吹き飛ばした本人は大きな口を再度開け「やってしまったの」と後悔を口にし、催眠効果のある瞳で睨まれた炎龍は寝息を立て、巨大な風龍は巨大な爪で自身の頭を掻きながら口を開く。


「もっと大きな相手であれば自分が相手をするのだが、こうも小さな相手だと身を取る以前に潰してしまう……マモル殿、申し訳ない……」


 予想外なポンコツを披露する三種の龍にマモルはナイフと杖を手にし、ゆっくりと逃げ出すウニの軍勢へ向かい空へと舞い上がる。風を纏うことで自在に飛び回ることができ、一気に距離を詰め魔力をナイフに集めるとウニの一匹が巨大な瞳を開き先ほどのように催眠効果のある視線を向ける。


 が、次の瞬間には強烈な光がナイフから輝き催眠効果のある瞳は閉じられ、一閃する輝きが数回放たれると斜めに切り伏せられ海中へ崩れ落ちるウニたち。


「少しは手伝うメェ」


 マモルの肩に乗っていた手乗りサイズの羊メイドが手を払う仕草をすると海面がクレーターのように凹み海底が現れ、切り伏せられたウニの身が海に溶けでることなく落ち、代わりに多くのカニが姿を現す。


「カニ食べ放題なのねぇ!」


 そう叫び一気に空へと飛び出したエルエルは強化魔法を使いその速度を上げ、光の矢のごとくわらわらと出てきたカニへと突っ込む。


「凄いの……」


「我々が苦戦したワイバーンを討伐したほどだからな……」


「う~ん、もう食べられないっす」


 マモルとエルエルの戦いに感心する海龍と風龍。炎龍はひとりまだ寝ぼけているのか、身を起こしたがまた横になり寝息を立てる。


「このカニは塩茹で! このカニは焼きガニ! このカニはしゃぶしゃぶなのねぇ!」


 光の矢のごとく料理名を叫びカニを討伐するエルエル。マモルはカニクリームコロッケや甲羅を使ったグラタンにカニチャーハンもいいなと心の中で思案しながら討伐したウニを指輪型のアイテムボックスの収納機能で集め、急な海水の変化に取り残されたカキや手ごろな魚も回収し、エルエルはバラバラになったカニを集め笑顔でマモルの前に積み上げる。


「カニ祭りなのねぇ!」


「カニ祭りもいいが、このウニも美味しいらしいぞ。単眼ウニ、生殖巣は絶品で生でも食べられる。催眠効果のある瞳には魔法陣が刻まれ催眠や幻覚効果があり、種によっては死の魔眼を持つ個体も報告されている。棘は死亡時に脆くなりその身を支える硬度がなくなるので解体の際には注意が必要だって」


 アイテムボックスに入れ単眼ウニの説明を読み上げるマモル。


「カニについても聞きたいのねぇ! このカニとか形が違うのねぇ」


「えっと、これはモズクガニでロッククラブとシースパイダーだね。って、最後のは蜘蛛だ」


「蜘蛛もカニも同じようなものなのねぇ。きっと茹でたら美味しいのねぇ」


「美味しいかどうかはわからんがタラバガニはヤドカリの部類とか聞いたことがあったけど……本当に蜘蛛を食べるのか?」


「食べるのねぇ~蜘蛛はエビに似ていると聞いたことがあるのねぇ~」


 ご機嫌に討伐し積み上がったカニの前でふにゃふにゃと踊るエルエル。


「私もその味に興味があるメェ。ご馳走していただけたら嬉しいですメェ」


 肩に乗っている羊メイドもその味に興味があるのか参戦し、マモルは指輪型のアイテムボックスで収納し料理法を考えるのであった。





 お読み頂きありがとうございます。

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