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旅のお供は変わり者~種族を越えて囲むテーブル~  作者: 彩
第四章 ラミアとケットシーの村
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朝食と新たな龍


 翌日、天使長の作った朝食はまさかのパンケーキで、半熟の目玉焼きにカリカリのベーコンとサラダ添えられたものだった。そして、それに歓喜したのはエルエルと精霊王のツムギ。


「パンケーキは凄いのねぇ。甘くてフワフワでベーコンがしょっぱいからいくらでも食べられるのねぇ」


「本当に凄いの! 甘いシロップはハチミツみたいで綺麗だし、雲が食べられたらきっとあんな感じなの!」


 口のまわりにべったりとメイプルシロップを付け力説するエルエルと精霊王のツムギに朝から元気を分けて貰うマモル。羊メイドとヒマワリ執事は嬉しそうに自身たちの王の力説を耳にしていた。


「これがパンケーキ……ヤバ過ぎるのです……」


「天使長さまに会えただけでも自慢ができるのにスゲー料理までありがたいっす」


 海龍と炎龍も同じテーブルに着きパンケーキをご馳走になり天使長へ感謝を伝え、炎龍に至っては腰から下げている小さなバッグから珍しい鉱石や真珠を取り出しマモルに手渡す。


「少ないですが貰って下さいっす。天龍や風龍が好む珊瑚石と真珠っす。海龍と一緒に遊ぶ時はこれを探して遊ぶっすから家にはいっぱいあるっす」


「そんなに気を使わなくても」


「いえ、ふかふかの寝床に温かい真水を浴び、食事も大変に美味で驚いたっす。天使長さまが直々に料理したものを食べられただけでも感激っす」


 龍とはあまり仲が良くないと思っていたマモルだったが、この炎龍は天使長を尊敬の眼差しで見つめており一種の信者のような振舞いを見せていたのだ。


「あ、ありがとうございます……」


 絶対に折れないだろう低姿勢を貫く炎龍からそれらを受け取り指輪型のアイテムボックスに収納し、海龍も何か出そうと空間に手を入れアイテムボックスだろうスキルを使い色々取り出すが、どう見ても使い道のなさそうなサビたナイフや宝石に見えなくもないシーグラスにフジツボがびっしり付いたオールなどが数回取り出されたが、エルエルが片眉を上げ「ゴミなのねぇ」の一言ですぐに回収されなかったことにした海龍幼女。


 若干瞳を潤ませていたが天使長が振舞った温かいココアを口にしてすぐに笑顔へと変わり胸を撫で下ろすマモル。


 そんな朝食を終えどこでも的なドアを潜り砂浜の休憩所へと現れる一行。既に日も登り荒れ狂う海と強烈な風を前に苦笑いを浮かべる海龍幼女と体育会系炎龍少年。


「これはアレですね……」


「ああ、ふたりで集まっているから嫉妬したっす……」


 呆然と吹き荒れる波と空を見つめるふたりの龍。マモルはすぐにどこでも的なドアを戻り吹き荒れる風が届かない位置まで避難し、精霊たちもマモルの横まで避難し開いているドアを閉めるか迷う羊メイド。


「あの二人なら問題はないですがどうするメェ?」


「もう少し待ってから閉めましょうか」


 立ち尽くしている二人を尊重することにしたマモルは家に戻ろうとするが一名いないことに気が付きドアへと振り返る。


「エルエルが飛ばされたかも……」


 ぬいぐるみ姿のエルエルが近くに浮いていない現状から暴風に吹き飛ばされたと推理し慌ててドアへ走る。が、すぐにエルエルだろう発光物を空に発見する。


「元の姿に戻って飛んでいるのかな?」


 距離があるので天使の姿なのか見分けがつかないが黄金の光を放っており、きっとエルエルが元の姿になったのだろうと推測しながら安堵し暴風が入るドアをから離れようとしたが、マモルの目は異常なまでの大きさの龍の顔が雲を割るように出現し目を丸める。


「すごっ……」


 あまりの大きさの顔面に言葉を漏らすマモル。その様子に精霊たちもマモルの後ろからドアの隙間に顔を入れ荒れ狂う暴風の中に現れた巨大な龍の顔面を見つめる。


「あれは風龍ですメェ。古龍種のなかでも二番目に大きく風を司るメェ」


「前に遠くから見たときは体しか見えなかったの。顔もおっきいの」


「どうやらふたりに用がありそうです」


 巨大な瞳には砂浜に立つ海龍幼女と体育会系炎龍を捉えており、目の前で光を放つエルエルには興味がないのか視線を向けることもなくゆっくりとその巨大な体を降下させる。


「あれだけ大きいとケットシーの皆が怖がるかも」


「怖がるという次元ではないメェ……ですが、料理を教わったのも事実、私が知らせてきましょう」


 そう口にするとドアを抜け暴風の中を走り村に向かう羊メイド。


「では、私が精霊王さまをお守りします」


 そっと精霊王のツムギを抱き上げるヒマワリ執事。


「あれって敵意とかあったりするのかな?」


「わかんない。顔は怖そうだけど、怒っているのかな?」


「最悪の場合、あの二人を差し出してここから離れるよう手を打ちましょう」


 ヒマワリ執事からの無慈悲な発言に顔を引きつらせるマモル。だが、そのような事にはならず、代わりに動き出したのはエルエルで黄金の光が更に増した次の瞬間には巨大な風龍の頭に渾身の踵落としがヒットする。


 一気に落下しものすごい衝撃が砂浜に走り、顔面を砂に埋めた風龍がゆっくりと村に向かい倒れ、更なる蹴りが風龍に腹へと入り海へとその身を倒し巨大な水柱が生まれるのであった。





 お読み頂きありがとうございます。

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