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旅のお供は変わり者~種族を越えて囲むテーブル~  作者: 彩
第四章 ラミアとケットシーの村
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はじめての鰹節作り


 ホウボウ祭りが終わると海龍幼女は海龍へと戻り魚を集めに海へと向かい、人魚や魚人たちも近海で魚を集めに走る。ケットシーたちはマモルが適当に図面を引いた設計図を基に図面を引き直し作業しやすいよう建築場所を決める。


「真水で茹でるのなら井戸の近くにすべきだな」


「内臓を取り洗うのは海水でもいいだろう」


「内臓の処理はいつものように焼いて肥料にすればいいが、茹でた湯の処理を考えなければだな」


「海に放水して赤潮が発生でもしたら人魚たちの迷惑になるぞ」


 ケットシーと人魚たちは協力関係で生活していることもあり互いを尊重しているのだろう。


「魚を捌き場所と茹でる場所。茹でた魚からな骨を取り成形する場所。この時に身にひびが入ったらすり身などを塗って補修します。


 次に燻製の工程で身に含まれる水分をできるだけ減らすために何度も数時間燻製しては休ませるという工程に入ります。ここでの燻製で鰹節の風味と味が決まります。最後にカビを使った工程もあるのですが、これはどのカビを使うかわからないのでもし研究するのであればお腹を壊さないよう気を付けてやってください」


 鰹節の作り方を説明しながら図面で必要になるだろう道具なども説明するマモルにケットシーの男たちは急ぎ必要になるだろう建材の確保に動く。建材に使われているのはこの地で多く採掘される石と近くの森から切り出す木材。釘などは普段からドワーフから買い付けており屈強な男たちは石の採掘場へと大半が向かった。


「実験的にいまある魚で作ってみましょうか」


「それがいいにゃ! マモルが一番作り方を知っているのにゃ!」


「魚をカットして、茹でて、燻製にするのにゃ? 燻製がよくわからにゃいにゃ」


「燻製は煙の力で風味と食材の腐敗を防ぐことで、これとか燻製の代表格ですね」


 指輪型のアイテムボックスからベーコンのブロックを取り出し、テーブルに乗せるとナイフで一口サイズにカットする。


「クンクン……少しだけ煙の匂いがするにゃ?」


 首を傾げるミケーラ。


「火で炙るのでそれを食べて見てください」


 串に刺して近くの竈へと移動するとその後をぞろぞろと付いてゆくケットシーたち。その中にはお腹いっぱい食べお腹を摩りながら浮くエルエルや、同じくお腹いっぱいまで食べ目を擦りヒマワリ執事に抱っこされている精霊王などもおり、お昼寝もいいかもと思いながら先ほどまで使っていた煙を上げる竈に到着する。


 「そのまま食べても問題がないとは思いますが温めないと油の部分がくどいので、焦げ目がついてきましたね」


 オレンジの光が漏れる炭火にあて火を入れ、滴る油が落ちると香ばしい匂いが辺りを包む。


「これはこれで美味しいそうにゃ」


「でもこれって、燻製された肉なのですよね? こうやってまた煙に当てては違いが……」


 ラミアのミランダからの指摘に確かに燻製を作る際に燻しているというのに温める際に炭火を使ってはまた燻したことになるなと、心の中で失敗したと思いながらも温まったベーコンをミケーラとミランダに手渡すマモル。


「皆さんにもフライパンでも炒めて渡しますので、ちょっと待ってくださいね」


 昨日貰った精霊石を使い魔力を流すと思いうかべた形へと変化し、フライパンの形になり竈にセットすると残りのベーコンを炒める。


「肉の脂が甘く塩味が確りついているのにゃ!」


「肉が柔らかくて美味しいです。鰹節が上手く行ったらこれも作りたいです」


 ふたりの感想を耳にベーコンを炒め終え皿に移すと一斉にケットシーたちが手を出し瞬時に消えるベーコン。食べたケットシーは猫舌ということもなく味の感想を言い合い、マモルは鍋を用意すると水魔法で水を注ぎ入れる。


「昨日貰った魚だとアジっぽいのとサバっぽいのを使ってみようかな」


 指輪型のアイテムボックスから取り出すと慣れた手つきで頭と内臓を取り出し三枚に下ろす。湯が沸くのを待ちながら燻製の事を説明していると精霊王のツムギは完全に夢の世界へと旅立ち、エルエルも寝息を立て始める。


「お湯が沸いてきたにゃ!」


「それでは茹でますね。少し火力が強いかな」


 竈の中の炭を平らに払い火力を下げると湯に切り身を慎重に入れる。すぐに身の色が変わり脂が浮かび灰汁などが現れ、元々大きな魚でもない切り身なのですぐに火が入り鍋から上げると腹骨を取り除く作業へ入る。


「骨を丁寧に取ってから燻す作業ですね。燻す方法色々ありますが処分しようとしていたワインタルがあるのでこれで作りましょう」


 以前、女神と天使たちが降臨し飲み明かした酒樽に針金を使い、ザルと魚の身から落ちる脂を受ける皿を乗せる場所を作り、底には小さな鉄製の鍋にウッドチップを入れ赤い火種を置く。


「こうして魚を入れたザルを入れたら蓋をして燻します」


 皆の視線が集まる酒樽の隙間から煙が上がり、ケットシーの村初の鰹節作りがはじまるのであった。



 お読み頂きありがとうございます。

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