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旅のお供は変わり者~種族を越えて囲むテーブル~  作者: 彩
第四章 ラミアとケットシーの村
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朝食と降臨


 朝食は約束通りに海鮮丼と貝を使ったお味噌汁を天使長が振舞い笑顔がこぼれるほど夢中で食べた精霊王のツムギ。エルエルと羊メイドも満足気に食べ終わり濃い目の緑茶で口の中をリセットし、マモルも日本で食べた海鮮丼よりも美味しいと絶賛していた。


「この水はとても美味しいです。クリアなのはもちろんですが含まれるミネラル成分や魔力は豊潤で、何よりも神力が含まれております! 霊峰に伝わる湧き水や精霊界の水など比較になりません! 自分はここで住み込み精霊王さまを育てるべきだと具申します!」


 顔がヒマワリだけあり朝食はいっぱいの水をその顔面に浴びるという斬新な吸水方法を取った光の大精霊のレイ。与えた水が亜空間にある創造の女神カルアミールが作り出した屋敷の中の水道から与えた水ということもあり、完ぺきに管理されながらも微量ではあるが神力も含まれており植物への栄養価も高くその味に感涙していたのである。


「光の精霊が聖属性に近くそのような気持ちにも理解できます。が、唯々図々しいです。この場はマモルさまの生活基準となる場所であり精霊を育てる場所ではないのです。光の大精霊だとうが精霊王だろうがマモルさまの許可なく住み続けるという暴挙は……主さま……」


 朝食を終えリラックスムードであったリビングが光の大精霊の失言で眉毛を縦にする天使長。しかし、幻想的な光が溢れるとその口を閉じ片膝を付く天使長。同じように光の大精霊と音の大精霊も片膝を付き頭を下げ、分体である羊メイドやリラックスモードであるエルエルでさえソファーから降り片膝を付く。


「まだ朝食を終えたばかりでしょう。リラックスしなさい」


 優しい声がリビングに響き天上の光から優雅に現れる天使が二人。一人は分厚い眼鏡と分厚い本を持つ姿が印象的な天使。もうひとりは腰に刺した二本の剣と背中にはハルバードと呼ばれる穂先が特徴的な槍が数本浮いている天使。最後にその中央で優しげな表情を浮かべるこの世界を創造した女神カルアミール。


「神さまなの!」


 立ち上がり嬉しそうな声を上げる精霊王のツムギは両手を上げ走り出し、それに気が付いた創造の女神カルアミールは膝を折って抱き上げる。その姿はまるで聖母と呼ぶに相応しい慈愛と親子のような姿にヒマワリと羊メイドは顔を上げることなく涙を流す。


「マモルも良くやっていますね。褒めるのが遅れましたがグレイトワイバーンの討伐、よくやりました。エルエルも立派にサポートして嬉しく思います」


 フルフルと震えながら涙が溢れ出すエルエル。普段はそっけない態度やふざけているが創造神からの褒められては心の底から嬉しいのか涙が止まらず、もう一人の褒められたマモルはというとリビングから抜け出しあたりまえのようにキッチンで料理を作り始める。


「刺身はまだあるし、炊き立てのご飯と刺身に漬物もあったよな。お味噌汁だけは新しいのを作らないとなかったから……」


 創造の女神カルアミールの降臨に対してもマイペースに朝食を作り始めるマモル。湯を沸かしつつ魚をアラに塩をしてからフライパンで焦げ目がつくまで焼き、長ネギとショウガを切り焦げたアラと一緒に沸いた湯に入れ丁寧に灰汁を取り除く。


「ツムギも良く頑張っているわね。また新しく生まれ変わったばかりで大変でしょうが精霊をまとめ魔力の循環を正しく管理できています」


「本当ですか!? 褒められたのです!」


 料理するマモルには触れずに抱き上げた精霊王のツムギを褒め、創造の女神カルアミールと一緒に降臨したふたりの天使も優しい笑みを浮かべている。


「あのねあのね、でもでも、鉄の精霊がね」


「その件は自分から報告したいのですが宜しいでしょうか?」


 精霊王が伝えようとしたが光の大精霊であるレイが両膝を付き姿勢を変え、頭を下げ進言すると創造の女神カルアミールは口を開く。


「火の精霊を唆(そそのか)すしたのでしょう。その事については些細なことですし、その後の対応をしたのですからお咎めはなしです。迅速とはいえませんがドワーフたちは鉄を打ち精進しているのですから」


 優しい笑みを絶えさず発言し、光の大精霊はひれ伏したまま感謝を口にし、泣き崩れ抱かれている精霊王のツムギはその腕から降りるとテッテと走りひれ伏しているヒマワリの後頭部を優しく撫でる。


「ほら、大丈夫だったでしょ。神さまは優しいんだよ」


「はい、大精霊さまの仰った通です。どうかこの深い感謝をお受け取り下さい」 


 頭を上げずフルフルと涙する光の大精霊を撫で続けているのだが、キッチンから香る匂いに自然と鼻がスンスンと動く創造の女神カルアミール。


「盛り付けたけどそっちで食べます?」


 キッチンカウンターから顔を出し一切空気が読めない発言をするマモルであるが創造の女神カルアミールは返事よりも先にキッチンの椅子の上へと転移し溢れる光。残された二人の天使も急ぎ足でキッチンへと向かい用意された刺身とアラ汁を口にするのであった。





 お読み頂きありがとうございます。

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