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旅のお供は変わり者~種族を越えて囲むテーブル~  作者: 彩
第四章 ラミアとケットシーの村
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幽霊船



 空がオレンジに変わり始めると海面には赤や黄色の光る球体が浮かび、その間を泳ぐ人魚や魚人たちの幻想的な風景に目を奪われる。


「凄くファンタジーな光景ですね」


「世界を美しいと思える感性は大切にするのメェ。食べ過ぎで転がっている美しくない天使みたいになるのメェ」


 羊メイドが目を細め隣で食べ過ぎてお腹を押さえ転がっているぬいぐるみ状態のエルエルを見つめる。


「それだけ美味しかったと思えば作ったボクとしては嬉しいですよ。ケットシーさんたちが作った料理も美味しかったですし、海は美味しい食材が多いですね」


「その通りにゃのにゃ。海には美味しい食材が多いのにゃ」


「ご所望でしたら我々人魚が食材を集めましょう! この辺りの海は豊富な海の幸が多く危険な魔物も少ないですからな! 泳ぎだって教えられます!」


 料理や食材を褒められケットシーと人魚の長老たちはご機嫌になりマモルは食材の確保に成功する。


「もちろんお代は支払いますので、ん? あの光は?」


 空がオレンジから黒へと変わり海面には多くの光が輝き、更に水平線の彼方には青白い光が見える。


「海面の光は光クラゲと呼ばれる無害な魔物ですな。奥に見える青白く光るのは幽霊船で時折出現しては生きているものたちを害しております……」


「陸に上がってこにゃいのが救いにゃ。皆を避難させるのにゃ」


 長老たちが指示する前に既に避難を開始している人魚や魚人たち。マモルは立ち上がると視線を幽霊船へと向け、巨大な帆船には多くのスケルトンの姿が確認できる。


「なあ、エルエル」


「もう少しゆっくりさせるのねぇ……うぷっ」


「エルエルは休んでていいからさ、あれって倒しても問題ないよね?」


「問題はないのねぇ。寧ろ、討伐した方がこの世のためであり、迷える霊のためでもあるのねぇ」


 食べ過ぎて動けないエルエルの言葉に指輪型のアイテムボックスを起動すると女神が装飾された杖を取り出すと海岸へ向かい歩き出し、それを見つめる長老たちや村のものたちは希望の瞳を向ける。


 波の音と遠くから聞こえるスケルトンたちから発せられる乾いた骨がぶつかる音を前に、杖を掲げ魔力を込める。魔法陣が浮かび上がるとケットシーや人魚たちから歓声が上がりマモルのまわりには光が溢れ、それに気が付いた幽霊船では剣を掲げいつでも来いといわんばかりにスケルトンが多く集まり、羊メイドも手伝う気になったのかふわりと浮き上がりマモルの横に立つ。


「神聖魔法も使えるのメェ……」


 横から聞こえる呟きに軽く頭を縦に振り力ある言葉を開放する。


「ホーリーレイン!」


 マモルの正面にある魔法陣から白い光が溢れ発射される無数の光。それは上空へと放たれると雨のように細かな光に別れ降り注ぎ幽霊船を襲う。


「回避不能なほど小さい神聖属性の光にして攻撃しているのメェ」


「アンデッドの弱点である神聖属性の光を雨のように降らせているから撃ち漏らしがないと思う」


「確かにあれを受けたアンデッドはすぐに成仏するのメェ……」


 羊メイドの視線の先には雨のような光を受け崩れ落ちるスケルトンや苦しみの声を上げ消滅してゆくレイスなど、ある意味では地獄のような光景が映し出されている。


「もう大丈夫かな……」


 光の雨が止むと幽霊船からの発光はなくなり月明かりに照らされたボロボロの帆船だけが残り、スケルトンなどのアンデッドの姿は確認できずホッと胸を撫で下ろすマモル。遅れて後ろからは歓声が上がり、ボロボロの船を確認しようと屈強な魚人の戦士数名が槍を持ちヒレを走らせる。


「おおお、何と幽霊船があっという間に……」


「あれがワイバーンを討伐した勇者の力にゃのにゃ!」


 人魚の長老は涙を浮かべながらも視線はボロボロの幽霊船だった船を見据え、ケットシーの長老はその場で跳ねながらマモルを讃える。


「けぷっ、我にだってできたのねぇ……」


 涅槃物(ねはんぶつ)のように横になりながら呟くエルエル。


「中にアンデッドの姿はない! 安全だ!」


「宝がある! 金貨や宝石もあるぞ!」


 船に辿り着いた魚人たちは中を確認し、打ち漏らしがないことと財宝を見つけ歓喜する。


「英雄の下へ持ってゆくぞ!」


「航海日誌や絵画も運び出せ!」


「かなり古いものだが価値があるかもしれん!」


 魚人たちが力を合わせ船から価値のあるものを降ろし海岸へと運び、多くの財宝が積み上げられるとマモルに頭を下げる。


「これらは討伐した英雄殿がすべて持って行ってくれ!」


「要らないものがあればこちらで処分するが、どれも価値があるはずだ」


「古い金貨だが金に違いはない! ドワーフの国へ持って行けば売れるぞ!」


 マモルの前に積み上げられた金銀財宝を前に自分が持っていても使いきれないだろうと思いながらも、指輪型のアイテムボックスを起動させ収納するのであった。



 お読み頂きありがとうございます。

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