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旅のお供は変わり者~種族を越えて囲むテーブル~  作者: 彩
第四章 ラミアとケットシーの村
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カラアゲとフライドポテト


 下味を付け用意したそれに小麦粉を入れよく混ぜ、最後に片栗粉を付け余分な粉を落とし温めた油で揚げて行く。最初は動かさず衣がある程度固まり始めると菜箸で裏返す。


「コロッケと同じように油で煮るのですメェ」


「煮るではなく揚げるというのねぇ。揚げ物は最強なのねぇ」


 ラミアたちが振舞うかき氷を食べた羊のメイドと、神力を使いすぎ手のひらサイズまで縮んだエルエルはマモルの料理を見守り、精霊王のツムギも最後に残ったスパイダーマンゴーの欠片を口に入れると羊メイドの横に並び手を広げ、鼻息荒く抱き上げる。


 「肉汁を味わうのならシンプルな味付けで、肉から水分が抜けないよう卵白でコーティングして油で揚げます」


 独り言のようにクリスタルリザードのモモ肉のカラアゲを説明するマモル。それを鼻息荒く見つめる羊メイドとトビウオのような姿をした水の精霊。エルエルも話を聞いているのだが料理にそれほど興味がないのかかき氷を食べるラミアたちへ視線を向けている。


 「そろそろ揚げ上がりですね。すぐに上げずにこうして油に何度かくぐらせて空気と油を交互にあてるようにすると衣がカリカリになります。二度揚げという方法もありますがこっちの方が簡単ですね」


 パチパチという軽い音に変わったカラアゲを菜箸で揚げては油に沈めを繰り返しカラアゲの衣をカリカリに仕上げる。箸で持ち衣の硬さを確認したマモルはバットに上げ余分な油を切り、目を輝かせる精霊王のツムギに声を掛ける。


「まだ熱いので少し冷ましましょう。中の肉汁を休ませるのと、余熱で仲間でしっかり火を入れているのでもう少しだけ待ってくださいね」


「うん!」


 元気な返事に微笑むマモルはカラアゲを次々に揚げ量産し、バットには多くのカラアゲが揚り香ばしい匂いが漂いラミアたちの視線も自然と集まる。


「あれも魔法なのか?」


「見たことのない料理法だよ!」


「油で煮ているのか!」


 ラミアたちの声を耳に入れあとで作り方を説明した方が安全に揚げ物が料理できるだろうと思案しているとサクサクという音が耳に入り犯人を捜すよう視線を走らせる。縮んだぬいぐるみ姿のエルエルが両手で抱え込むようにカラアゲを持ち噛り付いておりそれを羨ましそうに見つめる精霊王のツムギ。


 羊メイドに至っては目を吊り上げ眉の形が変わるほど殺意を向けておりこの場で争いが起きぬよう楊枝にカラアゲを刺しふたりへと差し出す。


「ふわぁ~ありがと!」


「これは楽しみですメェ」


 カラアゲを受け取ったふたりはそれをハフハフと熱い息を漏らしながら口にする。


「口の中がパリパリじゅわ~で美味しいの!」


「肉汁が溢れる料理というのは間違いないですメェ。肉汁が逃げないよう工夫をして……料理という手法で精霊王さまを喜ばせたのは褒めてやるのメェ。悔しいがそこの天使が正しかったメェ」


 目を細め残ったカラアゲを口に入れる羊メイド。エルエルは縮んだ体には大きすぎるカラアゲに噛り付き悔しさを浮かべる声が届いていないのか、それとも興味がないのか口を動かし続けている。


「雲もかき氷もこのカリカリもみんな美味しかったの! また食べたいの!」


「それでしたら私が料理を覚えますメェ。音の大精霊である私なら料理を覚えるぐらい造作もないことですメェ」


「本当!? 毎日、美味しいのが食べられるの!」


「もちろんですメェ。マモルの料理は見て覚えたのですメェ」


 自信満々に胸を張る羊メイド。精霊王のツムギは笑顔で喜びの声を上げる。


「あ、あの、私たちも教わることは可能でしょうか?」


「ニャーも教えてもらえるのなら知りたいのにゃ」


 この村へ一緒にやってきたラミアの商人であるミランダと、ケットシーの商人であるミケーラとミッケルが姿勢を正しながらマモルに声を掛ける。


「教えるのは構いませんが、そうなると安全な油の扱い方から教えた方がいいかな……」


「やってみた方が早いのメェ。他にも美味しい料理を教えるメェ」


 腕組みをして思案し始めたマモルに羊メイドが急かせるよう意見を出し、ラミアとケットシーの双子も首を縦に振り教えを乞う。


「それなら油も温かいのでフライドポテトでも一緒に作ってみましょうか」


 そう口にしながら指輪型のアイテムボックスを起動させオークの村で貰った芋を取り出しフライドポテトの作り方を説明しながら実践する。


「包丁というものは不便ですメェ。力を使って切った方が早いメェ」


 包丁を手放し芋に軽く触れると崩れるように串切りにカットされ精霊としての力を使って見せる羊メイド。その姿を手を叩き喜ぶ精霊王のツムギ。ラミアとケットシーの双子は顔を引きつらせ、マモルは口を開く。


「えっと、綺麗にカットできていますね。指を切らないよう気を付けてください……」


「そんな失敗はしないメェ。芋が切れたらどうするメェ?」


「次は油で揚げるのですが、芋に水気がないか確認してあるようなら拭き取って下さい。油に水分が入ると跳ねて火傷や火災の原因になります」


 丁寧に油の扱い方を教えフライドポテトを完成させるのであった。



 お読み頂きありがとうございます。

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