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旅のお供は変わり者~種族を越えて囲むテーブル~  作者: 彩
第四章 ラミアとケットシーの村
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甘い雲


 複数のシールドを球状に設置しその中で燃え上がる炎。更に掌にのせられた砂糖の塊が渦を巻き紅蓮の炎に炙られ一瞬にして砂糖は熱で溶け、渦を巻く遠心力で白い糸へと変わり急いで割り箸を使いシールドの内側に集まったそれを手首を使いかき集める。


「まだ小さいかな……」

 

 すぐに砂糖をまた手に取り同じようにシールドないで熱しながら風魔法を使い砂糖を溶かしては遠心力で弾きを繰り返し、手にしている綿菓子のサイズを大きくする。マモルが完成させた綿菓子は屋台で売っているような大きさにまで成長させると精霊王のツムギは両手を上げて喜び、綿菓子にハグする勢いでマモルへとダイレクトアタックして満面の笑みを浮かべる。


「すごい! 雲! お空の雲なの!」


「雲そっくりに見えますがこれは綿菓子といって砂糖を溶かして糸状にして物をまとめたお菓子です。水に濡れると溶けてしまうので注意してくださいね」


「うん! あむあむ……あま~い!」


 説明を話半分でキラキラした瞳は既に綿菓子をロックオンしており、素早い返事と笑顔で綿菓子を受け取ると大きな口で噛り付く精霊王のツムギ。


「次は私です!」


「いいえ、この私が精霊王さまの次に決まっています!」


 ぬいぐるみ姿のエルエルと羊メイドが額を付け合わし次に作る綿菓子を狙い苦笑いを浮かべるマモル。いまにも手が出そうになるふたりだがマモルの一言でその争いもすぐに収まる。


「喧嘩したら作りませんからね」


 絶対的に場を支配する言葉を前にいがみ合っていたふたりはスンとエンジンが切れたように静かになり、すぐに次を作り始める。精霊王のツムギは手にしている綿菓子が大きいこともあり少しちぎっては口に入れ、少しちぎっては近くの精霊に食べさせ笑顔を浮かべる。


 そんな姿を前にラミアたちは合わせていた手を放し笑みを浮かべ、まだ幼いラミアの子供たちは精霊王が食べている綿菓子が食べたいと声を上げ親を困らせる。


「あれは特別な方法で作られた特別なお菓子なのよ」


「そうだぞ。精霊さまが食しているのだからな」


「う、うん……」


 そんな会話が後ろから聞こえマモルは大きな綿菓子を完成させると羊メイドに渡し、残念な表情を浮かべるエルエルに向け口を開く。


「綿菓子は今度大きなのを特別に作るからさ、ラミアの子供たちみんなが食べられるぐらい大きなかき氷を作らないか?」


「大きな? 特別なのねぇ?」


「ああ、エルエルには特別に作るよ。知っているか、砂糖じゃなく飴を使って作ると色取り取りの綿菓子になるんだぞ」


 一瞬の間が空き、決意した表情を浮かべるエルエル。


「作るのねぇ! 氷山のような氷を用意してみせるのねぇ!」


 ぬいぐるみ姿から元の天使の姿へと戻ったエルエルが空へと舞い上がる。


「て、天使さまじゃ……天使さまじゃ……」


 再度、両手を合わせる長老とラミアたち。精霊信仰のあるラミアたちだがそれは精霊だけではなく神や天使なども深く信仰しており、頭上に黄金の輪、背中に白い翼、後光とはいわないまでも曇った空にいい感じの亀裂が生まれ光が差し込めば完全な信仰対象の完成である。


「全力前回の氷を生み出すのねぇ!」


 風が渦を巻き光が収束し水が生まれ、それは大きく変化し、ゆっくりとだが白く冷たい空気が流れ、数秒ほど冷気を発したかと思えば瞬時に固まりピキリピキリと音を立て膨張し、一軒家ほどの大きさの氷塊がゆっくりと地面に落ちる。


「奇跡だ! 氷の天使さまじゃ!」


 長老の叫びに手を合わすだけではなくその場でひれ伏し、それに続くラミアたち。


「えっと、そういうのいらないので果実をカットしたりかき氷のシロップ作りを手伝って下さい」


 マモルからのお願いにひれ伏そうしていたラミアの商人であるマムミラとミランダはすぐに立ち上がり作業を手伝い、他のラミアたちも続々とそれに続きいつしか村の入口では果実をカットする係と煮込む係に氷を削り出す係へと別れ大かき氷祭りへと移行する。


「こんなにも大量の砂糖を使うのですね」


「この酸味の強い果実をしぼり入れるのですね」


「香りがたまりません!」


 かき氷の制作をラミアたちに任せ、多くの子供たちに振舞われるかき氷。どの子供も初めて食べる冷たいかき氷の味に驚きながらも表情を緩め笑顔になり、ちゃっかり並び量産されたそれを口にする精霊王と精霊たち。


 マモルはそれを見守りながら神力を使い果し小さなぬいぐるみサイズになっているエルエルを拾い作業台の隅に座らせると、先ほど用意したものを確認する。


「これぐらいなら大丈夫だね。水気も全部お肉が吸ってる」


 大きな鍋を焚火台にセットすると注意しながら油を注ぎ入れ温め、肉汁があふれ出す肉料理を揚げはじめるのだった。



 お読み頂きありがとうございます。

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