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旅のお供は変わり者~種族を越えて囲むテーブル~  作者:
第二章 ゴブリンの王国
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ドワーフとクリスタルリザード


 昼から始めたマモルの料理は日が沈み夜になっても盛り上がりを見せ、眠くなったマモルがギブアップしても新たな料理を作り続けるゴブリンコックたち。料理長であるゴブリーニが昨日作ったカラアゲや新たに覚えた天ぷらを多くのゴブリンたちに振舞い、長い行列ができた食堂では多くの市民に兵士や別の食堂のコックも集まりマモルが教えた料理を食した。


 翌日、日が昇ると酔いつぶれたものたちも多くおり国としての機能が心配になったが、それはそれとして受け止めつつ鶏ガラを煮込むコックたち。


「今日も小さな英雄さまは料理を披露してくれるのかな?」


「料理長はなにもいっていなかったが、新たな料理を教わることができたらラッキーだよな!」


「可能性はあるかもしれないが、昨日のような騒ぎが毎日続いたら国が亡びるかもな!」


「違いない! ガハハハハ」


「笑い事じゃないだろうが、どれも美味かったよな……」


 コックたちも徹夜で料理を続け気分がハイになっているのか言葉を交わしながら料理の下拵えを続けている。


「骨から出汁を取るという発想に驚いたな」


「ナマズの骨からも出汁が取れるのかな?」


「なら、やってみたらいい!」


 そういって現れたのは目の下にくっきりと隈を作った料理長のゴブリーニ。手には大きな桶があり中には新鮮なナマズの身と骨が入っており、同じ考えが浮かび地下の作業場からやって来たのだ。


「料理長!?」


「マモル殿が用意した骨とは違いまわりに多少の肉がついているからな。一度煮てからきれいに骨を掃除した方がいいかもしれん」


「それなら骨を焼いて、あえて身を付けたまま煮込むのはどうです? 焦がすぐらい焼いてから煮れば香ばしさもでますよ」


 声がした方へと皆で一斉に振り向くとそこにはマモルとエルエルの姿がありニッカリと口角を上げる料理長のゴブリーニ。


「マモル殿! 今日も料理を教えて下さるので?」


「そうですね。ナマズの骨で出汁を取ってみたいですね。他の魚でなら出汁を取ったことがありますがナマズやったことがないので楽しみです」


「うむ、なら始めるか!」


「はい! はじめ、」


「ドワーフだ! ドワーフの使節団がこられたぞ!」


 マモルの今日の予定が決まり元気に返事をしたところで大きな声が渓谷に響く。食堂自体が渓谷の上部に作られていることもあり報告の声と同時にやってきたドワーフの一団が目に入る。

 身長はゴブリンよりも少しだけ高く立派な髭を蓄え屈強な腕力を発揮しそうな腕、先頭をゴブリンライダーの羊が歩きその後ろには三名の馬に乗ったドワーフが続いている。


「ドワーフさんの住む場所は近いのですか?」


「羊に乗ったら一日というところだろう。逸早く向かわせたのもあるが、向こうさんも空の覇者の討伐の確認がしたかったのだろうな」


「ワイバーンはそれだけこの辺りの人々の敵だったのですね」


「うむ、我らゴブリンはもちろんだがドワーフやオークに獣人たちは常に頭上を気にして生きてきたからな」


「その割にはオークさんたちの集落は襲われていなかった気がしますが」


「あそこにはクリスタルリザードが住み着いておるからな。固い皮膚とクリスタル上の角を使い雷撃を走らせる。ワイバーンといえど相手にしたくない魔物なのだろう」


 その言葉に自身のアイテムボックスに入れてあるのがまさにそのクリスタルリザードだったと思い出す。


「えっと、クリスタルリザードが討伐されたらまずかったですかね」


 マモルはばつの悪そうな表情を浮かべ、ゴブリーニは顔を引きつらせまわりのコックたちも同様に驚きよりも引いていた。


「クリスタルリザードは災害級と呼ばれるほど強大な力を持ち闘争本能も高いと聞くが……」


「味は淡白ですが脂がのっていて腹まわりはワイバーンよりも身が柔らかかったですね」


「強さの感想ではなく味の感想なのがマモル殿らしいというか……」


「空の覇者を二頭同時に狩るような強さだからな……」


「強すぎて呆れることとかあるんだな……」


 ゴブリンたちがマモルの強さに引きながら口々に感想を漏らし、それを耳にしたひとりのドワーフが馬から降り食堂へと現れマモル声を掛ける。


「ワイバーンを見なかったが本当にこの子供が倒したのだな。クリスタルリザードを討伐した話も出ていたようだが、その角も持っているのか?」


 やや低い声でマモルを見据えるドワーフに調理長のゴブリーニは失礼があってはと一歩前に出る。


「それをお前に見せる理由がわからんが?」


「クリスタルリザードの角は素材として一級品であり加工するのなら我らドワーフをおいてできるものはおらん! 我らに託すのが道理だろう!」


「急に出てきて煩い連中だ! マモル殿は我らの客人だ! 食堂で叫ぶような奴はここを出て行け!」


 互いに胸を押し付け威嚇する姿にマモルは指輪のアイテムボックスを起動し三メートルを少し超えるクリスタル状の角を取り出し両手で支える。


「なんと!?」


「これはでかいな……」


「改めて見ると奇麗な角ですよね。出汁は取れそうにないですけど……」


 マモルの余計な言葉に驚いていたコックたちは一斉に笑い出し、ドワーフはキョトンとした表情を浮かべるのであった。



 お読み頂きありがとうございます。

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