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旅のお供は変わり者~種族を越えて囲むテーブル~  作者:
第二章 ゴブリンの王国
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羊と杖と


 落下するワイバーンとマモル。すでに事切れているワイバーンは落葉のようにひらひらと空気抵抗を受けながら地面へと向かい、マモルは黄金に輝くナイフを落下しながら構えもう一匹のワイバーンへ備える。


キュルラァァァアァァァァァ


 甲高い鳴き声が辺りに響き仲間を追悼しているのか、それとも仲間をやったマモルへの殺意をぶつけているのか、赤い瞳に輝きが増しマモル目がけて羽ばたくワイバーン。


「落下中に襲って来るとか卑怯だろ!」


「卑怯とか、どの口がいうのかねぇ」


 落下しているマモルの真横に現れたエルエル。それを左手でつかみ重力を振り切り上へと飛び上がり、ワイバーンのクチバシの一撃を回避する。


「ちょっ!? 我を足場にしたな!」


「足場じゃなく手を使ったよ!」


 こんなピンチでも余裕があるのか口撃し合い、高速で通り過ぎたワイバーンが旋回し次の攻撃姿勢へと入り、マモルは黄金に輝くナイフを口で咥えると指輪に振れアイテムボックスを起動し出現する女神が細工された杖。


「あっ」


 小さな声と共に杖が目の前から上へと消え、落下速度が同じでも空気抵抗と重さの差からマモルの手が届く前に宙へと放り出され思わず呆けるマモル。地面まで間近であり目の前にはUターンしてきたワイバーンが見える現状ではピンチから絶望といっていいだろう。


「阿呆なのねぇ」


 小さくつぶやくとその姿がぬいぐるみから少女の天使へと変え、白い翼が羽ばたくと白い一筋の光となり急降下するワイバーンの後頭部へ蹴りを入れ、勢いそのままに落下するマモルの右足首を掴むとニヤリと口角を上げ、二つの衝撃音が辺りに響き歓声を上げるゴブリンライダーと羊たち。


「た、助かったよ……」


「それはそうなのねぇ~助けたのねぇ~今晩のおかずが豪華になるのは運命なのねぇ~ハンバーグ、カラアゲ、オムライス、パスタ、グラタン、エビフライも忘れちゃダメなのねぇ~」


 天使姿のエルエルがご機嫌にお子様が大好きなメニューを口ずさみ、右足首を持たれたまま逆さまの宙づり状態のマモルは頭に血液が集まり気分が悪くなりながらも、ゆっくりと落下する女神が細工された杖の行く先を見つめるのであった。










「小さな英雄よ!」


「幼き勇者よ!」


「空を駆ける戦士よ!」


「天使と共に現れた正義よ!」


 地上に降りると羊から降りたゴブリンたちから感謝の言葉を受けるも逆さ吊り状態だったこともあり気分が悪く手で制し、代わりにエルエルが天使姿のまま胸を反らせつつもいつものぬいぐるみの姿へと変化する。


「うっ、ちょっとだけ待って下さい……」


「ふはははは! 我を信仰することを許可するのねぇ!」


「頼むから初対面の人にはずかしい対応をしないでくれ……うぷっ……」


 逆さ吊りになり胃液が上がり気分が悪いマモルはエルエルに注意しつつもアイテムボックスからポーションを取り出すと口にし、一匹の羊が先ほど空から落とした女神が細工された杖を咥えこの場に現れる。


 メェェェエェェェェェ


 マモルの前に現れ杖を目の前に足元に置くと鳴き声を上げる羊。持ってきたやったのだから頭を撫でろといわんばかりに頭を下げ首を横に振る。


「杖を持ってきてくれたのかな。ありがとう」


 お礼を口にして目の前で頭を下げ横に振る仕草をする羊に手を伸ばし撫でると尻尾を左右に揺らす。


「犬みたいな喜び方なのねぇ」


「大型犬サイズだけど可愛いね。撫で心地もいいし、こっちはメスなのかな? 角が少し小さいや」


「もし気に入ったのならお礼に差し上げますぞ」


 髭の生えたゴブリンからの提案に首を横に振るマモル。エルエルは残念そうな顔をするがジンギスカンを求めていたのだろう。


「ボクは旅をしていますし、身勝手に飼ったらこの子も可愛そうでしょう。同じ羊の仲間と一緒に暮らした方が幸せなはずです。浄化の光よ」


 羊が拾ってきてくれた女神が細工された杖を手にするが涎まみれなこともあり浄化魔法を使うマモル。嫌な顔をしなかったがエルエルにはその事がばれているのかニヤニヤとした視線を向けられている。


「それならばせめて我らの歓迎を受けてくれ! 我らが王に空の覇者を倒した勇敢な戦士を紹介させてほしい!」


 片膝を折りその場で頭を下げるゴブリンたち。マモルは少し面倒なことになったと思いながらも撫でろ撫でろと額を擦り付けてくる羊やそのまわりに新たに現れた子羊たちに表情を崩すのであった。



 お読み頂きありがとうございます。

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