↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
旅のお供は変わり者~種族を越えて囲むテーブル~  作者: 彩
第五章 妖精とオークの国へ
120/122

グリフォンの撫で心地


 翌日、グリフォンの小屋の前では生まれたての卵を温める雌の姿があり、その前ではリスが集めてきた果実を雄が嘴と爪で器用に皮を剥き雌に与えている。


(リスたちの働きに応えるためにも空からの敵に警戒しなくてはだな)


 やって来たマモルたちの姿に挨拶を済ませると念話を残して空へと飛び立ち、大きな叫びが大空へ響くとどこからともなくドラゴンフライが集まり編隊飛行で上空を飛び回る。


「グリフォンの後ろにドラゴンフライがついて飛ぶ姿は戦闘機の訓練みたいだ……」


 前世の記憶にある自衛隊の訓練飛行を思い出していると新たな念話がマモルの脳内へと届く。


(この度は雨風が防げる立派な巣に、リスたちとの友好を結んでいただき感謝致します。あの人は少し先走ることがあり心配していたのですが、天使さまや精霊さまに説得されリスたちと共存することを選んだとか……卵は無事に生まれ、きっと孵った子たちも丈夫に育つことでしょう。本当に感謝しております……)


 卵を温めているグリフォンの雌からの念話にマモルは微笑みながらも会釈で返し、最初に念話に登場したエルエルは胸を張り、手乗りサイズの羊メイドは精霊王のツムギに抱かれており念話は聞こえているのかいないのか、表情だけは幸せそうな顔をしている。


「グリフォンさんは空が飛べるし強そうだしカッコイイのです!」


「鷹の瞳と嘴は獰猛でありながらも気品を持ち合わせておりますな。とても愛らしい精霊王さまに気に入られたことを誇りに思うがいい」


 久しぶりのヒマワリ執事も健在でよくわからない花の表情をしながら精霊王のツムギの安全を警戒しながら確保している。


「リスさんもモフモフして可愛いのです! 森の精霊さんの仲間なのですね」


「ここより東のアルラウネの配下ですメェ」


「前にも会いましたが精霊に近い種なのか精霊王さまの偉大さを知っておりましたな」


「蜜を分けて貰ったよね! あっ! 小さいリスさんだ!」


「キーキーキー」


 子供のリスの手には小さな木苺が優しく握られておりそれを精霊王のツムギへ差し出し笑顔で受け取りすぐにヒマワリ執事が光属性の浄化魔法をかけて清潔にすると、小さな口に入れ甘酸っぱさに目を見開き、その爽やかな香りと切れのある酸味に仄かな甘さ体験する。


「酸っぱかったでしょう。口直しにどうぞ」


 マモルが果実を絞り蜂蜜を足して甘さを整えた果実水を手渡すと急いで手にして口にする。その姿にグリフォンやヒマワリ執事は表情を緩める。


「美味しいのです! リスさんたちもありがとうなのです!」


 小さなリスにお礼を口にすると空から見回りを終えたグリフォンとドラゴンフライが頭上でホバリングをし、グリフォンがひと鳴きするとドラゴンフライは上空へと登り散開しグリフォンは地上へと降り立つ。


「こっちのグリフォンさんもカッコイイのです! ピシッとしているのです!」


 四肢に力を入れ胸を張るグリフォンの雄の姿にキャッキャと喜ぶ精霊王のツムギ。


「爆発キノコに苦戦して自滅したグリフォンだとは思えないドヤ顔なのねぇ」


「確かに見事な自爆っぷりでしたメェ」


 エルエルと羊メイドからばらされた事実に精霊王のツムギは首を傾げ、代わりにグリフォンの雌が頭を小刻みに揺らし笑い声を上げる。


(あははははは、あの爆発するキノコを使い罠にすれば安全に子育てができると息巻いていたのに、あははははは)  


(そ、それはいわないでくれっ!? 私だって爆発の威力は知っていたが連続で爆発した威力があれほど凄まじいものだとは知らなかったのだ!)


(そうね。そのお陰でこうして話が通じる相手になったのだものね。あなたがやられたのにも意味があってよかったわ)


(そういうなよ……だが、その傷もマモル殿が癒してくれたのだ。感謝しかないな……)


 ゆっくりと雌の元へと歩き小屋の前で膝を折って楽な姿勢を取るグリフォンの雄に精霊王のツムギが走って近寄りキラキラとして瞳を向ける。


「あの、あの、撫でてもいいです? 怒らないです?」


 キラキラとした瞳を向けられたグリフォンの雄はその後ろから無言の圧力をかけるヒマワリ執事と、その腕に抱かれながらも撫でさせないという選択肢はないといいたげな表情を浮かべる手乗り羊メイドからの圧力にコクリと頭を下げる。


「やったーありがとうなのです!」


 飛びつくようにグリフォンの胸に抱き着くツグミ。それを羨ましそうに見つめる左肩にとまっているララック。


「ララックも一緒にモフモフさせてもらったら?」


「いえ、そんな、精霊王さまが楽しんでいるのですし、グリフォンさんに触れるのは勇気が入りますし……」


 肩から伝わる振動に緊張か恐怖か震えているララックに気が付いたマモルは足を進めグリフォンの前で口を開く。


「僕とララックも撫でさせてもらってもいいですか?」


(マモルにその小さな妖精もか? 別にかまわないが優しく頼むぞ)


「ここが撫で心地がいいのですよ! こっちの胸の羽根はピカピカしているのです!」


 精霊王のツムギが撫でやすい場所を教え、ララックが震えながらも肩から飛び付きグリフォンの胸の羽根を優しく撫でふたりは顔を見合わせ笑顔を浮かべ、更にはその笑顔が皆に広がりゆっくりとした時間が流れるのであった。



 お読み頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。