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旅のお供は変わり者~種族を越えて囲むテーブル~  作者: 彩
第五章 妖精とオークの国へ
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森を抜けての再会

 

 グリフォンの番とリスたちと別れ川沿いを歩きながら進む。ふわふわと浮きながら辺りを警戒するエルエルに、マモルの両肩に止まる手のひらサイズの羊メイドとララックは料理の話をしながら歩き、ヒマワリ執事に肩車されキョロキョロと興味深げに風景を楽しむ精霊王のツムギと、その後ろを歩き早く変わってほしそうに歩く羊メイド本体。


「トレントが手を振っているのです」


「枝なのに器用に振っておりますな」


「ここから先は木々も減り元ワイバーンの餌場になりますメェ」


 川沿いを歩き森を抜けると草原が広がり疎らに生える木々や馬車が通った形跡のある街道だろう道も視界に入り、目的としていたオークの国に戻ってきたのを実感するマモル。街道は舗装されておらず草の少なさで自然とで来た道であり凹凸が激しく馬車であれば乗り心地は最悪であっただろう。


「風が心地良いのです」


「前にも来たけど北に進むとゴブリンさんたちの渓谷があるから、西に進めばオークの首都のある街だっけ?」


「エルエルが空から確認したらよいのですメェ」


「別に急ぐ旅ではないのねぇ。ゆっくり歩いて辿り着いたらいいのねぇ」


「確かに急いではいないけど真冬にこの何もない草原を歩き続けるのはつらそうだな……」


「それは真冬に考えるのねぇ。まだ、夏前なのねぇ」


「冬になったら雪が降ります? 真っ白になります?」


 精霊王のツムギの疑問にマモルの肩に止まっていたララックが飛び上がりツムギの横でホバリングし口を開く。


「少しだけど雪が降る日はありますよ。ツムギは雪を見たことはないのです?」


「あるのです! 氷の精霊のアイスリザードの頭や体のまわりに積もっていたのですよ! 触ると冷たくてふんわりしていたのですよ! 今度ララックにも触らせてあげるのです!」


「アイスリザードさんは怖くないです? 食べられませんか?」


「アイスリザードは水を凍らせて食べているのです。温かいものは食べないのです」


「それなら厚着をして温かくしておかないとですね」


 ララックと精霊王のツムギの探り合いが一切ない会話にほっこりしながら歩いているとヒマワリ執事の足が止まり羊メイド本体が口を開く。


「血の臭いが混じっているのメェ」


「この先で戦闘をしていますな。オークの馬車が魔物に襲われております」


 ふたりが向く方向へ視線を走らせるマモルはナイフを抜きながら走り一気に速度を上げ、エルエルも元の美少女天使へと戻り翼をはためかせ一気に加速し、マモルの肩に乗っていた羊メイドが振り落とされながらも後を追う。


「熊?」


 地面を滑るように加速するマモルの視界には二台の馬車とそれを守るように槍を構えるオークの兵士と倒れた馬。更には地面に無数の斬撃の跡とそれを放ったであろう右腕だけが肥大した熊が五匹。


「あれは剛腕ベアーだメェ。大きな右手から放たれる腕力は強力で長い爪は岩をも削り取るのメェ」


 ひとりの兵士が盾で防ぐも大きく吹き飛ばされ草原に転がり、仲間の兵士が助けに向かおうとするも残りの剛腕ベアーが腕を掲げ太陽の光を反射させ身構える兵士たち。


「とうっ! なのねぇ」


 やる気のない掛け声と共に飛び蹴りがクリーンヒットし吹き飛ばされる剛腕ベアー。仲間が吹き飛ばされ唖然とする熊にオークの兵士たちは槍を構え反撃へ転じようと力を籠めるが地面を震わせる程の重低音な威嚇の呻りに身をすくめる。が、ひとりの戦士が落ちていた槍を手に近くの剛腕ベアーの喉を突き、更には高速から放たれたナイフの一撃を背後から受け落下する頭部。


「精霊王さまに褒めていただくためにも活躍するのメェ」


 音の大精霊である羊メイドが追い付き残り二頭の前を通り過ぎた瞬間、甲高い音が響き胴体が上下に別れ崩れ落ちる剛腕ベアー。


「ななな、何が起こった!?」


 急な助力にオークの兵士が驚きの声を上げるなかひとりのオークの男はマモルを前に拳を突き立て、マモルもそれに応えるように小さな拳を前に出してコツリと合わせる。


「小さき英雄マモルよ! また助けられたな!」


「助けられたといいながらも一頭仕留めているじゃないですか」


「その通りだがマモルたちの手助けがなければ多くの兵士がやられていただろう。感謝する!」


 深く頭を下げたのは辺境の村の戦士長であり黒狼に襲われ弱ったところを呪われマモルに助けられたリラグオであり、馬車からはその妻であるリラララと息子のリララグが現れ再会を喜び合う。


「こっちの兵士も助けたのねぇ。もっと我に感謝するといいのねぇ」


「この熊は肉が固そうなのメェ……煮込めば美味しくなるのメェ?」


 いつものように感謝を求めるエルエルと、小さな腕を組みながら上下に別れた剛腕ベアーを見つめ固そうな肉質を煮込むか迷う手乗り羊メイド。 


「お前たちが探していた小さな英雄だ! 子供だと思って侮るなよ!」


 リラグオの声に兵士たちが驚きを露にし、マモルは軽く頭を下げて苦笑いするのであった。



 これにて五章が終了です。 数日、投稿が開きますが読んでいただけたら幸いです。

 お読み頂きありがとうございます。

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