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旅のお供は変わり者~種族を越えて囲むテーブル~  作者: 彩
第五章 妖精とオークの国へ
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グリフォンの決意


(少年よ……どうか、どうか、生まれてくる子と妻の命だけは助けてくれないか……)


 ポーションにより傷の癒えたグリフォンは四つ足で立ち上がり鷹のような頭を下げる。


「あの、もしかしてお子さんと奥さんも怪我をしているのですか?」


 マモルの言葉に下げていた頭を上げ、数度瞬きをし虚を突かれたように数秒固まるグリフォン。


「ポーションはまだまだありますのでお子さんと奥さんにも使えますが、」


(違う、違うのだ。私は戦いに敗れたのだ。この場で首を刈り取られるのだろう?)


 首を振りながらマモルの言葉を遮り口にするグリフォンにエルエルが話が進まないと口を開く。


「グリフォンは負けたので首をやるから子供と妻の命を助けてほしいと懇願しているのねぇ。リスたちからの頼みはグリフォンの排除だし丁度いいのねぇ」


「いやいや、丁度いいのねぇじゃないだろ。子供が生まれてくるのに父親がいなかったら色々大変だろ。それに残された奥さんだって子供を育てるのに狩りをしやきゃだろうし、父の背中を見て子供は育つとか聞いたことあるしさ。簡単に諦めたらダメだって!」


 急な励ましにお前がいうかという表情を浮かべるエルエルと羊メイド。グリフォンは薄っすら涙を浮かべ頭を下げる。


(こんな子供に諭されるとは……情けない……ワイバーンが消え新たなに暮らしやすさを求め移動してきたが……あのような爆発が頻繁する森では生まれてくる子供には危険すぎるか……)


「あの、その、ですね。暮らしやすさを求めて移動してきたのならリスさんたちと一緒に仲良く暮らすことは可能ですか? ほら、リスさんたちは数も多いけど爆発するキノコがあるこの森でも安全に暮らしている知恵があります。空からの敵をグリフォンさんが撃退すればリスさんたちも快く向かい入れてくれるのではないでしょうか」


 言葉を遮りマモルが提案するとグリフォンはエルエルと羊メイドに視線を送り、エルエルは大きなため息を吐き羊メイドはゆっくりと頷く。


(そのような図々しいことがまかり通るのか? 私がこの森に降り立ったときリスたちへ盛大に威嚇したが……」


「逆の立場ならリスさんたちも威嚇したと思いますよ。それにいまは威嚇や武力ではなく言葉で解決できるのであれば平和的に解決できるじゃないですか)


 グリフォンは遠目にこちらを眺めるリスたちへ視線を向け、向けられたリスたちはすぐに木々の間に隠れるが皆をまとめるリーダーがゆっくりと歩み寄る。


「キーキーキキキー」


「どうなっているではないメェ。お前たちリスとグリフォンで協力し外敵から子供たちを守るのメェ。上空をグリフォンが、地上をリスたちが、この森を守り暮らすのメェ。グリフォンはまだこの森での暮らしになれていないので爆発するキノコの対策や安全に水浴びができる場所を教えて仲良く共存の道を探るのメェ」


 羊メイドの言葉にリーダーのリスは難しい表情を浮かべるが数秒ほどグリフォンと瞳を合わせるとゆっくり頷き、グリフォンもリスのアーモンド形の瞳を真剣に見返し頷く。


「平和的に解決できてよかったですね」


 ニコニコと笑顔を浮かべるマモル。羊メイドも心なしか口角が上がり、エルエルはいつものぬいぐるみ状態へと変わりゆっくりと浮き上がる。


「逃げて行ったドラゴンフライの連中にも後でちゃんと説明するのねぇ」


(それは問題ない。ドラゴンフライは既に格付けが済み、私には逆らわない。この度のこと、本当に感謝する。小さくも勇気のある者よ……)


「キキーキー」


「リスたちも小さな戦士とマモルを褒めているのメェ」


 グリフォンからの念話とリスの言葉を訳す羊メイドに、マモルは苦笑いを浮かべながらまた英雄扱いは嫌だなと思いながらも最低限の被害(主に流れたのはグリフォンの血)で良かったなと胸を撫で下ろす。


「そうなると天使長にはどう説明するのねぇ? グリフォンの肉が鳥なのかライオンなのか気になっていたのねぇ」


 エルエルがニヤニヤと口に出し顔色を青く変えるグリフォン。もちろん白い羽に覆われているので青くはないが自身を肉と捉える天使の発言に嘴(くちばし)を引きつらせている。


「確かに天使長は気にしていたのメェ。ですが、言葉で解決したのですから戦利品を狙われることはないかと思いますメェ」


「意思疎通ができて平和に解決ができたからね。寧ろ褒められるかもですね」


 羊メイドがグリフォンを宥めるように口にし、マモルは誇らしげに笑顔で褒めてくれる天使長を思い浮かべる。


「そうだといいのねぇ……我も力だけではなく頭を使ったり言葉を弄して天使長に訴えたことはあるのねぇ……只々、殴られたのねぇ……あの天使は限りなく鬼なのねぇ……」


「それはエルエルの説明の仕方が悪いからでは?」


 浮きながら腕組みをしてしみじみと体験談を語るエルエルに対して冷静にツッコミを入れるマモルなのであった。



 お読み頂きありがとうございます。

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