↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
旅のお供は変わり者~種族を越えて囲むテーブル~  作者: 彩
第五章 妖精とオークの国へ
116/122

ララックと報告


「我を取り戻したようで安心したよ」


 キッチンで夕食の準備をしていると固まっていたララックと、それを大事そうに手にしていた天使長がリビングから動きキッチンカウンターに現れ安堵するマモル。


「薄々は気が付いていたのです。でもでも、天使長さんはテンン・シチョーさんという名前の白い翼のある種族なのですと……でもでも、天使長さんは天使で長なのです! 先ほど見た神々しい方も神さまなのです! そして、天使長さんと神さまを母と呼ぶマモルは神さまなのです?」


 キッチンカウンターに立ち首を傾げるララック。天使長はくすりと笑いながらキッチンカウンターに添えられている椅子に腰を下ろす。


「ふふ、ララックちゃんはマモルさまが神さまだと困ることがあるのですか?」


「え? えっと、えっと、う~ん……困らないかもです。マモルはマモルで優しくお料理を教えてくれるのです」


「あの、神さまとかに認定されると僕が困るのですが……」


 コンロに入れた大鍋から灰汁をすくいながら口にするマモルに天使長は声に出して笑いララックは首を傾げる。


「ふふふ、まだ云っているのですね」


「そりゃそうだよ。神さま判定されたらどんな人からも拝まれたり祈られたり特別扱いされるだろ。きっと、エルエルや音の大精霊や精霊王さまからそんな態度で接されたらむず痒いし、ララックに料理を教えるにしても一々拝まれてお礼を云わわれたら居心地が悪くなるよ」


「そうなのです?」


「そうなのですよ。例えば……ほら、ララックの御両親が旅先で凄い発見をして妖精たちの元に戻ったとして、ララックも家に戻り御両親が神さまみたいに崇められ、帰ってきたララックも神さまの娘として崇められたら嫌じゃない?」


「う~ん」


 腕組みをしながら考え込むララックの仕草に天使長が笑いを堪え、マモルも同じように笑うのを我慢しながら可愛らしい仕草のララックからの回答を待つ。


「よくわからないのです……でもでも、マモルは料理の師匠で天使長さんは料理の先生なのです! パパとママが凄くなって帰ってきても私の料理の方がきっと凄いので負けないのです!」


 ララックを置いて外の世界に旅立った両親を違った形で追い越そうとするその気持ちに天使長は両手で優しくララックを包み込み抱き上げ、ララックは両手をばたばたとして慌てるが優しく包み込まれた手に不思議な安心感を覚えつつもマモルへ助けてという視線を送る。


「あんまり変な構い方するとララックに嫌われますよ」


 マモルの言葉にコクコクと何度も頷くララックに少しだけ悲しそうな表情で「それは困りますね」と口にしてゆっくりとキッチンカウンターへ降ろす天使長。すると、逃げるように飛び立ち大鍋の前にマモルの頭の後ろに隠れる。


「ほら、ララックを怖がらせちゃったね」


「こ、怖くはないのです。でもでも、事あるごとに捕まえられたら困るのです」


 マモルの頭から顔を見え隠れしながら話すララックの姿に微笑みを浮かべつつも「ごめんなさいね。次からは注意するわね」と優しく語り掛ける天使長。そこへ玄関の扉が開き丹生ぐるみ状態ではなく元の天使状態で帰ってくるエルエル。


「お帰り、速かったね」


「すぐに見つかったのねぇ。恐らくだけど産卵する場所を求めて湖畔近くにやって来たみたいねぇ」


「そうなると気性が荒くなっているから気を付けないとだね」


「そうなのねぇ。どの生物や魔物も産卵期はデリケートになっているのねぇ。特にメスは卵を守ろうと普段よりも凶悪になるのねぇ」


 玄関から天使長がいるキッチンカウンターへ向かい備え付けてある椅子に腰を下ろすエルエル。天使長はそんなエルエルへ視線を向けると手を翳し力ある言葉を口にする。


「浄化の光よ……」


 光が降り注ぎ一瞬驚くが心地の良い光と疲れが重なり、腕をキッチンカウンターに置くと顔を乗せ崩れる。


「グリフォンに二度追い駆けられたのねぇ。その度にあのリスどもは隠れて笑っていたのねぇ……途中から助けなくてもいい気がしたのねぇ……」


 必死に空を逃げ回りグリフォンの巣を探したエルエルの後頭部に手を置き優しく撫でるメイド長。その表情はすぐに穏やかなものへと変わる。


「よく頑張りましたね。ですが、グリフォン程度に追いかけられて笑われているようでは天使の面汚しですね。これは鍛え直した方が良いかもしれません」


 メイド長の言葉にピキリと体を硬直させるエルエル。


「エルエルは頑張ったのねぇ。追いかけてきたのは一頭だけだけど、あいつはドラゴンフライを使役していたのねぇ。行動パターンを覚えさせ追撃してきたのねぇ」


 必死の言い訳をするエルエルだったがゆっくりと撫でていた手が後頭部を掴み締め上げはじめる。


「あいたたたたたたたた、痛い! 痛いのねぇ!!!」


 容赦のない天使長からのアイアンクローを受けマモルの後頭部でブルブルと震えるララック。そんな地獄を羊メイドは窓の外から見つめ、天使長には逆らわないと心に誓うのであった。

 お読み頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。