↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
旅のお供は変わり者~種族を越えて囲むテーブル~  作者: 彩
第五章 妖精とオークの国へ
101/118

潜むものたち


 歓迎ムード全開で受け入れられすぐにラミアたちの村を発つこともできず歓迎され、顔がサボテンのアラクネからも持てなされて一泊を過ごし、翌日は近くの大きな池まで続く川へ多くのラミアたちに見送られて足を進める。


 ここからはラミアの商人のマムミラとミランダやケットシーの双子商人のミケーラとミッケルは新たな商品を売り込みにドワーフの国へと向かうためマモルたちと別れ、トレントだろう木々が疎らに生い茂る森を進む。森といってもそこまで木々が密集しておらず見晴らしがよく魔物からの急な襲撃にもエルエルが常に索敵魔法を使い安全を確保している。


「ラミアさんたちの話だともうすぐ大きな池があってそこで釣れる魚が美味しいらしいね」


「塩焼きや乾物にすると自慢していたのねぇ。食べてみたい気もするけど、敵襲なのねぇ!」


 ぬいぐるみ状態で叫ぶエルエル。マモルはすぐにナイフへ手を伸ばし引き抜きながら魔力を通す。ガサリという草をかき分ける音と元に踊り出したのはアサシンマンティスと呼ばれる体長一メートルほどのカマキリ。まだ子供の個体なのか体は三十センチほどだが両手の鎌は大きく鋭さがあり、アサシンと名が付く通りに気配を消して一撃で致命傷を与える威力がある。


「数がいるのねぇ! 油断するとやられるのねぇ!」


 エルエルが光に包まれ元の天使の姿へと戻り飛び掛かってくるアサシンマンティスの鋭い鎌の一撃を身をひるがえし回避して空へと登り、マモルは黄金に輝くナイフでその鎌ごとアサシンマンティスの首を切り伏せる。が、アサシンマンティスの数が多く連続で三匹ほど切り伏せると後ろへと下がり距離を取らされ、次の瞬間、三倍はある巨大な鎌が空を切る音が響き慌てて転がり回避する。


「上から見るとその数がわかるのねぇ。アサシンマンティスの巣だったのねぇ」


 上空へと登りアサシンマンティスに囲まれるマモルを見つめながら一気に神力を開放するエルエル。その身は白銀に輝き、背中へと一撃が振り下ろされ慌てて回避するマモルと入れ替わるように現れたエルエルからの蹴りを受け四散するアサシンマンティスの顔面。転がりながらも左手に魔力を集中させ一気に飛び上がりアサシンマンティスを居場所を瞬時に見極め右手に持っていたナイフを投げ眉間に突き刺さり、ゆっくりと前屈みに倒れる一匹。


「どんなに姿を隠そうが、鋭い一撃だろうが、魔物特有の殺気が消せなければ当たらないのねぇ」


 白銀のオーラを纏うエルエルがだらりと両手を下げ一歩前に出ると一斉に7匹のアサシンマンティスが飛び掛かる。


「覇っ!」


 脱力していた肉体が一気に目覚めるよう左足から加速された脚力は白銀に輝く右足が居合切りのように素早く円を描く。宙に浮いたままエルエルの本気の蹴りを受けたアサシンマンティスの胴体は二分割され落下し、更に目に入った数匹へと銀の矢の如く飛び蹴りが発射される。


「すごっ! やっぱりエルエルの方が近距離戦は、って! 感心していないでボクも!」


 常に携帯している精霊石に魔力を込めその形が変化する。長さは二メートルほどの棒状なのだが精霊石の特性として自由に形が変わるが体積の変化はなくグリップ以外はかなり細身のメタリックな棒。先には笹の葉のような薄い刃がギラリと乱反射している。


「来いっ!」


 槍を構えるマモルへ三匹のアサシンマンティスが飛び掛かり、身体強化したマモルは槍を右から左へと振り払う。右の一匹の胴が別れ、二匹目首が飛び、最後の一匹の頭上をかすめ振り下ろされる鎌。だが、クルリと回転した槍の石突がアサシンマンティスの頭部へ当たった瞬間に刃へと変化する。


「やっぱりこれはチート武器だな。慣れれば瞬間的に武器が変化できてどの場所からでも刃が出せて、こうやってほいっと!」


 頭部を貫かれたアサシンマンティスから槍が短くなるよう想像するとその身は大地に倒れたのを確認すると、今度はそのまま真直ぐに突きを放ち先ほど投げ放った愛用のナイフの前で形状が変化し三本のアームで掴み自身の前へと引き寄せる。


「形状が変化する武器とか卑怯過ぎるのねぇ……」


 潜伏していたアサシンマンティスを倒し終えたエルエルからジト目を向けられるマモル。


「卑怯なのは天使長直伝の格闘術に神力を織り交ぜた身体強化と飛行強化を使った蹴りだろ。鎌を蹴りで切り伏せるとか、それはもう蹴りではなくて斬撃だよ」


「ふぅ、どうせ汚れるにしても足の方がいいのねぇ」


「その汚れも浄化魔法で一発で消すだろうに……」


「もちろん汚れは浄化なのねぇ……また囲まれたねぇ……」


「この森は潜伏や隠密のスキル持ちばかりが生息しているのかな? ラミアさんたちはいっていなかったけど……」


 辺りからの視線を受けナイフを構え直すマモル。


「敵意はないみたいなのねぇ。でも、隠れて見られているのは気分が悪いのねぇ!」


 まわりに潜んでいるものたちに聞こえるよう声を大きくするエルエル。木々や草の間からざわめきが広がり小さな生物が次々に姿を現すのであった。


 お読み頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。