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旅のお供は変わり者~種族を越えて囲むテーブル~  作者: 彩
第五章 妖精とオークの国へ
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オークの国へ



オークの部隊を発見しリララグ一家と再会する 馬車付きの部隊


黒狼の討伐や天使降臨などの話が聞きたいと国王から直々に王都へ招かれる


各国からワイバーン討伐の報告




 ケットシーの村に新たな鰹節と豆腐による産業が誕生し、多くの感謝の言葉と新鮮な海鮮を受け取ったマモルは新たな目的地であるオークの国のダンジョンを目指し足を進める。オークの国は巨大な山脈とワイバーンが餌場にしていた草原の間にあり縦に長く、最北端にある王都周辺では雪が数メートル積もることもあり豪雪地帯としても有名で、近くにあるダンジョンでは冬の稼ぎに多くの冒険者が集まる。 


「この急な坂も懐かしく感じますね」


 来た道を戻るように進むマモルとエルエル。それに加えてラミアの商人であるマムミラとミランダ、ケットシーの商人姉妹であるミケーラとミッケル。肩には手乗りサイズの羊メイドが腰かけており、ラミアのふたりが屋台を押しながら急な坂道を進んでいる。


「まったくなのねぇ。坂道は体力が削られるから辛いのねぇ」


「つらいって、天使のあなたは浮いているでしょう」


「そういうお前もマモルの肩に乗って図々しいのねぇ」


 あまり相性の良くないエルエルと羊メイドの会話を聞きながら坂道を進み上部の森へと辿り着く。森には多くのトレントが住みラミアと共生しておりミランダが前に出て大きく息を吸い込み叫ぶ。 


「豊穣の森のラミア、ミランダ! 盟約により道を示せ!」


 森全体が揺れているような地鳴りが聞こえ木々が左右に別れ道を作り一行はその間を進む。


「一度見ましたが、改めて見ても不思議な光景でえすね」


「トレントと協力して生活しているからね。土に栄養を与える肥料を作って撒けば我々を敵と認識しないし、上位種であるアラクネからの命令もある」


「警備として優秀なのです」


「村の存在も隠せて警備もできるトレントは凄いのにゃ」


「にゃーたちの村もいざとなったら人魚や魚人が助けてくれるにゃ。避難場所はあらかじめ決めているのにゃ」


 狂暴な魔物が住むこの世界は常に命の危険が隣り合わせであり、他種族と共存することで生き残ったケースも少なくない。逆に他種族と交流を断ちワイバーンなどの圧倒的な存在から身を隠す選択肢を取ったケースもあるのだが生き残るベストを尽くして生活を維持しているのだろう。


「もう村が見えてきたにゃ」


 トレントが作りだした道をしばらく進むと子供たちの遊ぶ声が耳に入り、視界の先には広場とラミアの子供たちや槍を持ち警戒するラミアの戦士たちの姿が見える。


「英雄殿が戻られたぞ!」


 門番役の槍を持ったラミアが叫ぶとわらわらとラミアたちが集まり歓迎のムードで迎え、マムミラとミランダが前に出て事情を説明し、ミケーラとミッケルは新たな産業である豆腐と鰹節を屋台から取り出し説明しながら豆腐を切り分け鰹節と塩を掛け配り始める。


「木屑かと思ったが魚の味がするぞ!」


「白く冷たい塊がとうふ……」


「奥に甘みを感じるわ」


「氷の魔法で冷やし売るのかのう。この味なら我らも購入したいのう」


「歯がなくても食べられるのな老人たちが喜ぶね」


 はじめて食べる豆腐も好評で配っているミケーラとミッケルはテンション高く豆腐の説明を繰り返し、マモルはその光景に異世界でも受け入れられた豆腐と鰹節を誇らしく思いながら見つめる。


「甘い香りがするのねぇ。前に来た時よりもするのねぇ」


 エルエルが鼻をスンスンとさせながら匂いの正体を探すべく視線を動かす。


「あっちでいっぱいの果実を干しているからだよ!」


「ドライフルーツをいっぱい売るんだって!」


「お酒もいっぱい作るんだよ!」


 ラミアの子供たちが元気にエルエルの疑問に応えワイバーンが討伐されたことで訪れるだろう商機に備えているのだろう。


「でもでも、虫がいっぱいくるの」


「蝶ならいいけど大きなハエや蜂も来たの」


「みんなで逃げたよね~」


 キャッキャと報告してくる内容に軽く顔を引き攣らせるマモル。異世界ということもありどれだけ大きな鉢やハエなのだろうと想像し恐怖を覚えるのは仕方のないことだろう。


「ドライフルーツにすることで香りが遠くまで飛べば虫が集まるのねぇ。その為のトレントではないのねぇ?」


「トレントが最も得意とするのは根を使った攻撃方法ですじゃ。空から襲って来る敵に決定打を当てることがこの時期は難しく、秋になれば実がなりそれを飛ばすことも可能ですじゃ」


 エルエルの疑問に応えたのはラミアの集落の長老。前に会っていることもあり互いに頭を軽く下げ会釈を交わす。


「虫が嫌がるハーブや粘着質の液体を使った罠を作り設置しております」


「やはり虫の少ない冬場に作るべきかもしれません」


 ラミアたちが集まり寄って来る虫対策を話し合っているといつの間にかマモルたちを歓迎する宴へと変わる広場。甘い果実の香りが立ち込めるなか以前来た時に作り方を教えたカラアゲやポテトフライが配られ祭りのような笛や太鼓を鳴らすラミアたちの歓迎に感謝するマモルなのであった。



 お読み頂きありがとうございます。

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