60瓶 " 女 "
自分の常時 発動スキルと、警戒心の強さから‥感じていた『視線』
最初の‥依頼 相手は仕事 中らしく、夕方 また行く事になってしまった。
・・という事で‥アンビジョ塔町に来た。
さてと、アルクス団の拠点‥裏辺りにある・・よろず屋さんに、お届け物。
ドアベルは、無し。
「こんにちは、依頼の傷薬の納品に来ました」
「はい。回復薬の方かな?」はい。納品数は10個。
・・使ってないので、余ってるくらいな‥魔力40の回復薬。
「うん うん。良い色だね」白いし、飲めない‥回復薬だけど。
使い慣れてる‥とか、飲薬 や アメ は 高価だからと、敬遠してる冒険者は、まだ多いみたいだからね。もっと安く出来れば‥良いのだけど‥なか なかね。
自分で工房を運営して、果物 農家と提携でもして大量 生産・・・とか言わない限りは‥難しい。これ、前も思ったな・・。誰かに やって もらいたい くらいだ。
「はい。完了で良いよ」紙を受け取り、お辞儀して店から出て来た。
次は、アルクス団の所へ。
・・今日は、全員 集合!・・だった。
「今日は、全員 揃ってるんだね」と声をかけて入る。
「おう!リモン、よく来たな」
「今日は、聞きたい事あって来たんだ」
・・煙玉‥とは 言 わ な い と知ったけど、それよりも・・・・。
「そんなに簡単だったんだ・・・」
先程の回復薬に ” 普通は入れる ” 小石の粉・・を、手洗い所に置いてある‥トイレットペーパー‥いや『デヘテールの皮』で包んで‥草とかで、紐の代わりに結んだもの・・だった。
‥たまに不発で・・・破れずに落ちる事も‥あるってさ。
投げる時・・すこし破けば良いんじゃ? って思った。
・・・使う時、無い方が良いんだけどね・・。念の為の対策で。
「そういや、おまえの偽者‥ここから、遠い州に居るって話、聞いたぜ」
「ここから遠い?」エキャルラット州かな?
「なんか、傷薬アメの・・マズイやつ、300Rくらいで売ってるってよ」
「それ、何粒で?」‥そこまでは、知らないみたい。
この辺で購入したって人は、100Rで5粒‥だったみたいだけど・・・。
アルドルの町のギルド長に、注意喚起しておこうかな?
・・やだなぁ・・変なウワサになってそうで・・。
「最近 あいつら‥頻繁に塔を、出入りしてるよな」あいつら?
「ほら、この町を仕切ってるつもりの・・」冒険者グループ…。
そうなんだ。何だろうね?
「今日は、これから採取にでも‥行くの?」クレオくん…。ううん。
「町で、依頼人に会ってから、家に戻るよ」
「・・家?‥おまえも、家 持ってんのか?!」
『 持 っ て る 』は、語弊が あるなぁ‥。
「借りてるんだ‥家」長く滞在する時は、家を借りるんだよって話した。
「リモンも、大変なのね・・」フェリータ‥うん・・まぁね。
「だから、せっせっと 仕事してるよ」と笑った。久しぶりに‥笑えた気がする。
みんなと、しばらく話して「そろ そろ行くよ。ありがと‥」
よし、次だ。ノックをして「こんにちは~」声をかける。
マエロルさんが、ドアを開けてくれて‥入れてもらった。
「‥少し、早いけど‥こっちに来る用事があったんで」床に座るように促される。
弟くんは…寝てるみたい。顔色は良いね・・良かった。
「‥ご要望の情報ですが…」うん。何か分かった事、あったかな?
「偽者は、現在 エキャルラット州のランケアの町で活動しているようです。しばらくの後には、ウィリディス州へ行く‥と、話してた‥と聞きました」
やはり、エキャルラット州か。でも・・ランケアの町? 行ってない所だ。
「‥今は、ランケアの町。・・次は、ウィリディス州‥と」メモしておく。
「それと、申し訳ないんですが・・薬師の行方は、私の方では聞きませんでした」
「いえ。ありがとうございます」
去り際に、また野菜ジュースを2本‥置いていく。
「マエロルさんも、飲んで下さいね。それじゃ、また来ます」
お辞儀して、見送ってくれた。
よし。町へ戻ろう。
・・最近、やっとエカイユ セルフが‥出なく‥なってきた・・・気がする!
そろ そろ、別のが‥出てきそうね。
もう、慣れたもんで…。近くで戦いたくないから、見つけ次第‥遠距離 弓攻撃して‥ヘッドショット!してます。
素材は‥ 一部、風で飛ばされたりして‥追いかける時もあるけど。お肉は、その場から動かないから‥毎度 回収。もう‥ホント多いんですけどねぇ・・。
50体も‥倒したかなぁ?って思うくらい、あ・・うん‥。
ヘッドショットすると、一撃で倒せるけど・・もれなく、お肉 2つ‥出てたわ。
近 距離での短剣で倒す時は、皮も出にくいし‥お肉は1つ‥なんだよね・・。それのせいね・・。でも、毎度‥血を見たい訳じゃないから・・。
町の門に着くころには、丁度‥夕暮れになってた。もう・・居るかな?
朝‥来た家に行くと、ドアの前に居た人は‥入口 横に移動してた。
「‥こんにちは」私に気付くと‥近づくのは待て‥って。
ドア開けて、中に入って行った・・。何だろ?
・・偏屈な おじいさんが出て来るとか・・言う?まぁ、待つしか無いけど。
少しして、中へ入るように言われ‥‥内装 立派な お屋敷・・だった。
「スフェラ石‥何が ある?」と、ある部屋に入った 直後に聞かれて 驚いた。
「へ? えっと‥2種類です」片手ごとに 白 と ピンク を それぞれ持って見せる。
「依頼は・・1つだったが、2つに変更しても良いか?」
「え・・はい‥?」良いのかな?‥えっと・・。
「1つは、買い取る事にする」あー・・はい。それなら。
1つは、納品という扱いで紙にサインを書いてもらった。
もう1つは、買取で‥。はい・・確かに。
お辞儀して‥入口の人に案内され、家から出た。
しっかし、ファンタジー世界らしい感じの おじさんだったな・・見ためが。
髭が もじゃ もじゃ‥髪も、チリチリ‥うーんと、パンチパーマ?みたいな印象だけど、実際の所は分からない。パッと見は・・『ドワーフ』だった。
・・私より、少し大きいくらいだったし。思わず「ドワーフですか⁈」って、聞きそうになってしまった・・。危ない。
仕事じゃなかったら、聞いてたな・・・うん。聞く機会があれば‥聞いてみよう。
その後は、いつも通りに酒場で食事。その際に セルフ肉は 必要では ないですか?と 店主に聞いてみたけど・・・。
店主 自身が、狩りに行くから‥要らないってさ。残念。
アフティさんが欲しいと言うから、少し渡したけど・・。
家に戻って、風呂入って・・就寝。いつもと同じ‥日常だった。
その翌日も‥あの お姉さんは‥毎度の如く、話しかけてくる。
普通に「手伝いたい」と言われても‥ 断る 自分に・・。
今度は「お姉さんと、遊びに行かない?」とナイスバディと言いたげの‥いや、本当に、綺麗なシルエットですけど・・。
大きな胸を付けては耳元で、囁くように言ってくるの‥止めて!
気持ち悪いよっ!!
ぞくっ として、肩を竦めて青くなってると思う。
色気で‥どうにか出来ると思うの‥止めてほしい。
「嫌です!」って、私は‥逃げてばかり。
その何回かに1回は、他の冒険者も「儲けれる良い話があるんだ」って‥。
もう・・ホントに!! 私に、構って来ないで!!
儲け話とか、興味 無いよ!!
そんな事を、商館へ 行く度に聞かされ‥。
1日中‥監視されてるような視線を、どこに行っても 見られてる‥。
寝る時になっても続くし‥。常に 気が抜けない日々・・に、少し疲れてきた。
…我慢‥もう・・・本当に‥限界だった・・・。
女も、冒険者の男共も・・いい加減にして!
「何を言われても、お断りします! もう、構って来ないで下さい!!」
商館内で、騒ぎを起こしてしまった・・・。
でも、もう限界なの。毎日、毎回。い つ ま で も ・・。
どんなに、何 言われたって・・・あなた達の想い通りにはならないよ。
・・この " 女 " 、私は ” 気持ち悪い ” という印象が消えず、疑念しか持てず、嫌悪感まで出てるから・・無理なの。
お金、言って無くても‥かなり持ってるもの。わざわざ、そんな話に乗る訳 無いでしょ・・。そう。私は‥怒ってた。ぷん す か と。
「‥そうかよ・・」冒険者の男たちも、女も‥鼻で笑って‥去って行った。
・・これで、やっと 解放 さ れ る。終わる‥。
そう 思った。 この時は。
で・・も・・・。
ハッキリ‥断った代償・・だったのだろうか?
・・・安全な‥安心 出来る・・場所が・・・・・。
無 く な っ て し ま っ た ・ ・ 。
視線は、朝から晩まで‥休みなく見られてる。変わらない。
自身のスキル『 周辺 感知 』は本来‥魔物の出現に、いち早く気づく為のもの。
常に発動してる もの らしく、誰かと ぶつかりそうになっても、避けれるのはこのスキルのお陰。
悪意ある‥視線、その向き・・自分に向いてるかどうかも・・分かる。
それでも‥気にしないようにしてたけど・・。
もう露骨に『じぃぃぃぃーー』って見てるの‥分かる。
‥それよりも・・夜、寝た‥と言っても、目を瞑った直後の・・。
目を閉じてても‥分かる。
部屋の中・・私を見下ろす・・・誰かの視線。気配。
消えるように‥居なくなるのは、早朝・・・。
それまで、怖すぎて眠れなかった。布団かぶって・・怖いのを必死に隠して‥。
怖い。 なんで・・居るの? 家の中だよ?
・・鍵・・かかってるんだよ・・。開けて入って来たの?
分からないけど、それが‥ 毎晩 続く・・・。
息苦しい。嫌だ。こんなの・・耐えられないよ・・。
まともに寝れてないから、すごい顔‥になってるだろうな。鏡 無いけど‥。
酒場で、心配された。でも‥眠れないんです・・って、何か言えなくて‥。
‥家で、それだから‥もう、大きな部屋の‥ダブルベッドで眠れなくなった。
家の中だからと、ラフな格好で過ごす事が多かった。今までは。
でも今は、いつでも 逃げ出せる ようにと、ポンチョまで着て‥武具を装備した状態で、鞄も抱き抱えたまま・・。
体力 無くて‥逃げれずに捕まって‥そう、想像するだけで‥怖くて仕方ない。だから、布団の中で錬成したり、ウラトノ薬 飲んだり・・。食欲も無いけど、野菜ジュース飲んで‥る。
・・塔町に行って、アルクス団で‥少し、休ませてもらう事が‥多くなった。
最初の頃は‥。
「おまえ、酷い顔してんぞ‥」シェルタに言われ、拠点の奥の‥空き室で、自前の寝袋の中に ごそ ごそ 入って眠れた時は、本当に‥助かった・・と思った。
その内、どこかで倒れるかも知れない・・。そんな風に思ってたからね。
『‥が‥無い・・・どうしよ・・』ん?
むくり・・。そうだった。拠点で、眠らせてもらってたんだった。
起きると・・台所で、フェリータが何か困ってる。どうかした?
「あ、リモン・・。起きたのね」「何か困りごと?」手伝うけど?
「‥えっと、さっきクレオに、頼むを忘れちゃったのよ‥」何を?
野菜・・らしい。在るけど?
「何が必要? ある程度は、持ってるよ‥」
パップリー‥と、ガムジャ‥チェプラ・・うん・・あるね。
「肉は?」要る?
「お肉は、欲しいけど・・難しいのよ」
「じゃ、これ‥良かったら食べてよ」持て余してるくらい 持ってる‥セルフ肉を出す。驚くフェリータに、何個も渡そうとして‥気づく。
・・・そうだった。この世界に『冷蔵庫』は、無いんだった!
前に、ワング商店に・・それっぽいのは在ったけど・・。魔石が珍しい魔物の・・だったはず。一般的な魔石品・・って訳でも無いだろうし・・。
うーーん。たくさん有るから・・いっぱい、貰って欲しいのに。
・・って、ぶつ ぶつ 聴こえてたらしい。また、やってしまった・・。
「それなら、こっちの・・ここ に、入れてくれれば良いよ」と、指さされた所は・・。「‥何?」これ・・・・?
長方形の箱が‥横に3つ繋がってる‥。木じゃなくて、鉄みたいだけど・・。
そんで、両側の細い部分には‥水が入ってて、真ん中には‥木のフタ?板?が、付いている。フェリータが真ん中を開けると‥野菜 や モーグーが、入っていた。
「この中に 入れておけば、少しは長持ちするのよ」だってさ。
両側に入ってるのは、朝に‥井戸で汲んだ冷えた水で。
そうして、真ん中を 冷やす物 なんだって。
夜‥水が ぬるくなるから、風呂場の盥に運んで‥沸かして入るみたい。
‥そういえば、家でも見たけど・・。何これ?って思って、鑑定しても分からなくて‥ずっと、放置してたんだよね。なるほどなー。
じゃあ・・って、3個 渡した。こうして、定期的に寝る代わりに、宿代で‥セルフ肉を置いてく事になった。男子の方が多いし、いっぱい食べてくれ!
何日か繰り返すと、ヴェレーノが「フェリータに、良い恰好‥見せ過ぎだぞ」と言われたけど‥。ヤキモチ?
当の本人は、フェリータに 声をかけられただけ で 真っ赤 になってる。
・・なんだか、微笑ましいな。カワイイ‥ヴェレーノ。がんばれ!
「何、にや にや してんだよ…」赤い顔のまま‥むすっ としたヴェレーノ。
「別に・・。ヴェレーノ、気に し過ぎだよ」お礼なだけだもの。たんと、お食べ。
アルクス団で寝るのも、今日で最後だな・・。
ここで寝てても 視線 を‥感じるようになった。
みんなが、自分のせいで巻き込まれて‥また、事件に発展しないとは限らない。
迷惑・・これ以上、かけたくない。
「また、来いよ!」シェルタは、いつも通りなセリフで送ってくれる。
でも‥「当分、来ないよ!」と言って・・足早に移動する。
・・マエロル達にも・・もう、会って無い。
ただ、もしも‥何か情報を掴んだら、アルクス団の シェルタ や ヴェレーノ に、伝えるように言っておいた。
巻き込みたくない。ただ、それだけ。
ソルさんに、相談してみる。また・・手紙を書こう。
隣とはいえ、他の州に居る兵士を‥頼ってばかりなのは、気が引けるけど・・。
寝る為の・・場所 探して、家の中。
空き部屋だった・・2帖くらいの場所に、寝袋 置いて‥眠るようになった。
扉に、鍵は無い。木の枝の楔の形にしたものを、ドアの下に挟み‥動かないようにして、鍵の代わりに・・してる。
・・朝、目覚めると・・。
必ず・・。扉が 全開 に 開 い て い る ・・。もう・・嫌だよ・・・
【フーモ】(イタリア&スペイン語・煙)
回復薬にも使われる、小石を割って出た粉を、デヘテールの皮に包んで草などで結んだだけの煙玉。ヴェレーノ考案。
【デヘテールの皮】(ポルトガル語・溶ける)
広く一般的な‥この世界でのトイレットペーパー。しかし魔物の皮膚を加工した商品らしく、水に溶ける紙のような皮。見ためは肌色に近い桃色。細長く棒に撒かれてる。
※普通の傷薬10回復 @8R 30 回復 @15R・普通の回復薬10回復 @15R 40 回復 @60R
※リモン飲薬 体力70 回復 @350R・魔力100 回復 @500R・傷薬アメ(体力30回復アメ5/魔力50回復アメ1※オマケ) @ 100R・回復薬アメ(魔力回復のみ/50回復×5つ) @200R ・1粒 単体では もう少し高い。普通の冒険者は、装備に お金をかけるので 薬は安価な物を使う事が多い。
【ランケアの町】エキャルラット州 アルドルの町から、橋を越えた先の国境の門を守る町。リモン自身は行って無い。隣国 ロフォスとの国境。
【ヘネラル】(スペイン語・将軍)
パッと見、ドワーフのように小柄で筋肉質な おじさん。普段は魔石品を作る職人として工房で働いている。実は‥別の事で有名人だが・・。男 / 49歳 / 162cm / 色黒 / パンチパーマな黒髪 / 小さく丸い茶色の瞳 / 魔石品の職人。ちなみに家の前に居るのは‥非番の兵士 ( 赤 ) 。国からの要請で ヘネラル家を常に守っている。
【冷却箱】正式名称は不明。みんな『冷やす箱』と呼んでいる。長方形の細長い中に冷えた水を入れ、中央のやや四角に近い長方形の場所に食材を入れておく事で、鮮度を保つもの。両側の水は、けっこうな量を入れてるので、夜は風呂に使い、新しいのを朝入れ直している‥らしい。
次回‥安心して眠れない日々が続く中で・・の・・・




