54瓶 情報屋
森で、何やら声が‥聞こえた気がした。
酒場でモーグーを食べ、店主たちと楽しく会話して‥。
薬師の話も聞けたし‥。明日からは、また森に行かないとなー‥。
エシェックという薬師 探して、キトゥリノ州まで 来た 私。
あの森のどこか から、行ける ” 隠れ家みたいな場所 ” に、居るって話を聞いた。それが本当か どうかは、行ってみない事には‥何ともね。
森で入手した素材から、何か組み合わせて‥錬成 出来ないかと、いろ いろ考えながら‥酒場を離れ・・借りた家に、帰って来た。
‥寒かった~。今までの州では、寒い‥なんて思った事 無かったのに・・。
だから‥だったのかな?
リビングに‥暖炉が、置いてあったのは。
まぁ、今 使わなくても・・とは、思ってたのよね。
薪は無いけど、乾いた木の枝もプシットルも、持ってるから火を付けれる。
掃除するのは近くに置いてあったから、それを使えば 良いし。
‥家に入ったからか、寒さは緩和。
すぐ、お風呂に入って あたたまった。 ぬく ぬく
キトゥリノ州で、採取した薬草・・。
こっちのは、少し‥黄土色も混ざってる‥というか、変わった色になってるんだよね。効果としては、基本的な薬草の効果と・・。
状態 異常‥耐性 付与・・って、書いてある。なんか凄い。
ただ、それは‥錬成して、薬にした状態での プラス 効果で・・。
お湯に入れたら、お湯が黄色になったくらいで、耐性 付いたかは…分からず。
・・まぁ、私は元々‥無効が あるので・・分からなかったのかも。
寝る前には、一応・・いつもの癖になってる、周辺 探知をした。
酒場の お兄さんから、気を付けろ‥と、言われたからって 言うより…。
一応・・男装&男子になる薬を‥飲んでるとはいえ、見ためは子供だから。
・・・憂いなく‥眠りたいんだ。
・・・・・・?・・・あれ・・誰かが‥寝てる?
え・・と、勝手口の方の・・暗い・・とこ。
勝手口を開け‥暗すぎて、よく見えないけど・・鑑定。
あれ? え?! なんで‥居るの?!
・・ちょっ、灯り・・えーーと、落ち着け!‥これ、光るんだった!
森で採取した、暗がりで 光ってた 植物『ギンヨウ』を取り出す。
おぉ、けっこう明るい!‥見える。・・居た!
なんか、怪我してるみたい。でも、どうしてココに?いや、それよりも‥。
よいしょっ と。担いで‥って、担げたな…私、力持ち‥いや‥違うか‥。
家の‥中、ソファに・・・よいせっと。
ただ‥子供の体に、あの瀕死用の薬は 強 過ぎる。
飲み薬・・。少し体を起こして…。カルンを口に入れ、その先を‥活力剤の時に使ったのと、同じ形の‥木で作った、ノズルを取り付ける。
・・そこから、飲み薬を注ごう。ゆ っ く り ・・少 し ‥づ つ。
飲み込んでる‥し、大丈夫・・かな。
‥うん。回復したみたい。上手く出来た‥。
医療 関係者では無いけど‥。医療系のドラマは好きで、よく観てたから見よう見 真似・・。あんまり、やりたくないけど・・。今日は仕方ない。
服 汚れ‥‥いや、勝手に ひんむく のは・・ちょっと止めておこう。
「‥ヴェレーノ …どうして、ココに 居たんだろう?」
しかも‥こんなに、傷だらけで・・・。
この世界に、携帯 電話が在れば‥なんて、思うほどに‥。きっと、みんな心配してるだろうな。でも‥すぐに知らせを届ける事は‥出来ない。
‥とにかく、本人が起きたら‥事情を聞こう。
前に、助けてくれたもの。
お返しは‥「何かあれば、助けてくれ」と、言ってもの・・。
・・助けたい。
水分補給の為に‥ジュースをテーブルへ‥。
せめて、何か‥かける‥あ、着てた上着で良いか。かけて・・よし。
‥暖炉‥は、そこまで寒くは無いけど‥どうしよ?
あと、何か軽く食べれる物くらい、用意しておこう。
そうだな‥若者だし、お肉で。
錬成、人前では‥ や ら な い 。
レシピ見て思うのは、私の作り方が・・普通じゃないって事実。
それはまぁ、異世界 転生したから‥ってのが、大きい要因だとは思う。
私の 錬成 は・・・。
素材を、両手 合わせるように‥包んで光って・・はい、出来上がり‥。
普通の作り方は、素材を計量して‥機材を組んで、素材を1つ 1つ 丁寧に扱って・・という形で‥。繊細な作業 工程なんだよね・・。
私の錬成を、人に見せると‥ちょっと扱いが雑になりそうだし、私 自身を 悪用 されかねないから‥気をつけてる。
ヴェレーノの腕‥冷たい。やっぱ、暖炉‥つけよう・・。
木の枝で、足りるかな?・・・薪‥少し、買えば良かったかな‥。
夜に、うろつくのも・・あんまり‥したくない。
ここの地図は在るから、迷う事は無いけども・・。ただ、街灯は大通りにしか無いから‥裏道に入ると、ホントに 真っ暗 なんだよね。
‥さっきの、ギンヨウ片手に ウロ ウロ するのもなー・・。
まぁ、在るだけ・・出しておこう。
付けっぱなしで離れるのも、落ち着かないから‥近くに座ってよう。
「‥ぅ・・・」ん?
突然・・ガバッと 勢い良く 起きた!・・・びっくり‥した。
「‥どこだ・・ここは?」
「‥ヴェレーノ‥大丈夫?」声を かけると、振り向いた。
「・・リモン?」うん。倒れてた経緯を話して、聞いてみた。
「…それが・・・」
事情を聞くと、今朝‥大きな男に、妹の ドロル と、ラーナ が、連れて行かれ・・。シェルタと共に追いかけて…森の近くまで来た時・・・。
シェルタと共に攻撃して、2人を助けようとしたけど・・。
返り討ちにあって…気絶しちゃったんだって。
気付いたら、誰も居なくなってて…。
助けて欲しくて…私・・リモンを・・・探しに来たらしい。
「でも、どうやって入った?」冒険者ランク3の ヴェレーノは、まだ許可書状を持ってない。それだと、門の兵士に‥門前払いされるはず。
「‥ちょうど、門の兵士 近くに、商人の荷台が在ってさ・・」
そこに、潜り込んだらしい。
それから、荷台が停まったのを見計らって、降りたみたいだけど・・。
「思った以上に、傷が深かったのか・・。途中で 倒れちまって・・」
おまえの家も‥知らなかったな‥とか思った って。
「裏口の道に、倒れてるの 見つけて、ホ ン ト に 驚いたよ」
「既に、助けてくれてたとはな・・」
でも、大きな男・・と、2人の少女 誘拐・・。
「騎士団に相談しよう!」と立ち上がった私に、溜息な声が・・・あれ?
「‥無理だと思うぞ」なんで?
言ってみないと、分からないじゃん!と、ヴェレーノに‥肉サンドを食べるように言って、着替えを残して・・。
灯りは無いけど‥地図 頼りに進む。
近い門の兵士に「夜分に、すみません‥」と声をかける。
・・・相談してみた・・・けども・・・・。
「すまんが俺達は、対応して やれないぞ」え⁈ どうして・・。
‥誘拐された子供が、未成年の少女である・塔の町で生まれ育った子供は、管轄 外・捕まえた相手が‥商人である可能性が高い事‥などが 理由・・。
ヴェレーノの‥言った通りだった。 ど う し よ う 。
・・確かに、塔の町の生まれ‥と、言ってたし、あの町に住んでる。
相手が商人だと、騎士団は正当な理由‥。
捕縛する正当な理由に、筋 通らないとダメって。警察かっ!
・・と言って、商館で相談‥も、何か違うし・・。
冒険ギルド・・かも知れないけど、今から依頼 出しても‥何か、間に合わない気がする。他に・・・相談が‥出来そう な の は・・・。
お兄さん‥まだ、酒場に居るかな?‥あんま夜に、酒場も行きたくは‥ない。
でも、困ってるから・・力になりたい。
「あれ? どうしたの?‥忘れ物?」お姉さんが気づいて、声を かけてくれた。 今日の‥お兄さんは、まだ 居るか 聞いてみた。
「まだ、居るよ。ちょっと待ってね・・」入口の横で、大人しく待つ。
・・すごく賑やかで‥うん・・良く言えば‥ね。
お姉さんに呼ばれ、入口に来てくれた。「どうかした?」と、お兄さん。
「すみません・・。ちょっと相談に乗ってもらいたい事が・・」
今日、出会ったばかりの人に頼むのは‥と、気が引けてる場合じゃないのよ。
‥何かヒントでも良いから、教えて欲しいと思って。
一旦・・酒場から出た。
「この町に来たかは‥分からないんですが、塔町の少女2人を 攫うような商人に…心当たりは、ありませんか?」
「ふうん?‥人攫いする商人ね…」
そんな事して、何する気だろうか・・?‥嫌な想像が、頭を過る‥。
「‥ひとり、知ってる奴 居るかも」ん?・・知ってる奴?
「ちょい、待ってて‥支払いしてくる」と、酒場に入って数分もしない内に、戻って来た。そのまま、歩きだすので・・付いて行く。
「俺の知り合いに、情報屋が居るんだ」
現代なら、ネットで調べたら出る時代とは違って、そういうのを仕事にする人が、居るんだなぁ・・・。なんか凄い。
・・・と、連れて来られたのは‥どこかの お店。まだ明かりが付いてる。
カラン カランッと音を立て、ドアを開ける・・。眩しい!
「おい?何だ‥アフティ‥」「ボッカ、悪いが‥急ぎで、調べて欲しい」
ボッカ‥と、呼ばれた大きな‥おじ‥いや、お兄さんが、私を凝視してるんですけどー⁇・・お兄ーさんっ!‥ た す け て 。
「ボッカ、この子は客だぞ」ん?
「ふんっ‥そうか? ‥ただのガキにしか・・。ん? 赤毛‥?」
「‥こいつっ?!」え?何さ⁇ お兄さんが、間に入って「ボッカ、それよりも‥」と、事情を説明してくれてる。ふぅ‥。
途中「今から出かけるから、準備してきな」って。
頷いて一旦、その店を出て・・家に戻った。
火を消し‥戸締りして、ヴェレーノを連れ‥さっきの店に行く。
店に戻ると‥道には、馬車‥。馬が居るけど・・。
『カバリオ』… 馬 って表記じゃないのは・・相変わらず。
いや、そんな事よりも、アフティと呼ばれた方の 兄さんに従って、馬車に乗る。ヴェレーノの紹介を簡単に済ませ、既に調べてくれた情報を聞いた。
2人の少女を連れ去った者は、別の男だったけど・・。
連れられた先は、とある大店 所属の商人のひとり・・グアイビって男の店が、この町の外れに‥在るらしい。そこに・・向かってる。
「リモンくん。荒事になると思うけど・・。君は、どうする?」
参戦するか?って事?「もちろん、一緒に行きます!」
ここに来る前に、ヴェレーノ と 自分の装備は、整えてきた。
・・その姿 や 持ってる武器を見て、アフティさんは 頷く。
「それじゃあ、中では俺の指示に‥なるべく従って。殺しは‥無しだぞ」
私 というより、今にも飛び出しそうな・・・ヴェレーノに言ってる。
・・・妹が、心配だもんね・・・・お兄ちゃんは。
‥ラーナちゃんも、細い体だから‥心配だ。
商人の店の‥倉庫へ。
近づくほど危険だからと、馬車は1本 手前の通りで‥降りる。
暗い中、どこを通ったのか‥地図 見てないと、分からないくらいだったけど、暗さに目が慣れた頃・・。裏口をささっ と鍵で開けて中に入る。
‥鍵は、どこから? いや、今は いいか・・。
少し進むと、見張りの姿が居るのを横目に、暗がりの中‥移動。
梯子を登り‥天井の梁のような部分を渡る‥。
以前 作ったブーツで 来ていて、良かったぁ~と、心底 思った。
途中、ヴェレーノが落ちそうになったけど‥無事に進んで・・・。
見つけた!!
誰も居ないのを見計らって、下に降りる。そーーっとね。
鉄のような‥え?植物?・・植物で出来た檻の中、2人が居た。
・・ヴェレーノの声に起きて、声 静かに喜ぶ。
アフティさんが、檻の鍵を壊して開けて‥外に出た所までは・・良かった。
「勝手に商品を持って行かれては、困りますなぁ~」
入口と思われる場所から、ひとり・・ゆ っ た り な 歩調で来る‥腹の出てる‥おじさんが来た。これが、その・・商人だろうか?
「これは、これは‥グアイビさん。この少女たちが、売り物 なんですか?」
「そうですよ‥。アフティとか‥言いましたかね?商人の」ご存じでしたか‥と、にこやかな顔という名の、作り笑いで‥会話してるけど・・。
早く、この場から‥逃げないと。でも・・・。
アフティさんが、自分たちを背にして立ち、商人と話を続けてる。
「アフティ殿は、ご存じ無いか? リモンという商人の噂を‥」へ?
「もちろん、存じていますよ」
「あの商人と、私は知り合いなのですぞ!」えぇ⁈
ヴェレーノが怪訝な顔で見たけど…。私『知らないよ!っ』
「この傷薬アメという商品を、入荷していましてねぇ~」と、見せる‥傷薬アメの・・1粒の大きさが、大きいような‥気がした。
『君ら、すぐに動けるか?』『はい‥』
『おう。2人共‥良いな?』『うん』
『でも、どうする気だよ?‥あいつの後ろにしか、道が無いんだぜ?』
『どうしようか?』『ちょっと やってみる‥』
・・最近、レベルアップの お陰か、瞬間的に速く動けるようになった。
スキルみたいに、名前は付いてないけど‥私、やってみる!
‥お腹 ぽっこり 商人との‥距離を縮める為に、前に出た。
「ん⁇ 何です?‥このガキは?」あぁ。私を ご存じ無い? そうですか。
一瞬で距離 詰めて‥「あなたのリモンは、偽者ですよ」と言いながら、ミゾオチに 正拳突き って言えば、カッコ良いけど・・・・パンチしました。
「ぅっ」
豪快な音を立て‥そうになって、アフティさんが支えて、床に降ろした。
「今の内だ・・行くぞ。こっちだ!」兄さんの後ろに、少女たち‥ヴェレーノ‥私の順に、細い廊下を進んで・・・。
【キトゥリノ州の薬草】
姿は他のと同様。黄色がかっていて、湯に入れると色素が溶け出し、黄色の湯になる。飲んでも薬効変わらず。舌が黄色になったりはしない。薬にした際に、状態 異常の耐性が付与される。
【ギンヨウ】(ギンヨウアカシアから付けた)
木々が生い茂り、他の葉で 暗くなっている場所に‥生える植物。淡く光る性質がある。周りが暗いほど、明るくなり周囲を照らす。これには油分が多く、一般的には灯りとして絞って使われる。
※ひんむく=脱がす
【アフティ】(ギリシャ語・耳)
エレフセリアの町の大きなBARで、よく食事をしている兄さん。その名前は偽名であり、本名は誰も知らない。相手が、どんな姿をしていても簡単に信用しない。リモンの話も聞いていて、気をつけるように注意してくれる。男 / 24歳 / 161cm / ウエーブのグレーの髪 / 紫の瞳 / 投げナイフ / 商人らしい。ボッカとは、共通の話題のある友人。
【ボッカ】(イタリア語・口)
アフティの知り合いの情報屋。キトゥリノ州では有名人で、彼の知らない事は無い‥と言われてるとか。夜に子供が来た事を、不信に思って凝視してたが‥。男 / 26歳 / 190cm / 茶髪 / オレンジの瞳 / 片手斧 / 冒険者でもある。
【カバリオ】
この世界での馬のような、黒や茶色の毛をしてる獣の呼び名。カバじゃないのに馬なのに‥と思いながらリモンは見てる。車輪の付いた物をリモンは『馬車』と呼ぶけど、一般的な呼び方は『荷台』
【グアイビ】
大店は有名な所という事で、誰も口や手も出せなくなり、増長して好き放題している悪徳 商人。塔の町に居る子供は、騎士団も介入しない事を知り、奴隷や物として定期的に連れ去り、売り捌いている。リモンという商人の噂は聞いていたが、本人の姿は知らずに‥偽者を本物と思い込み重用しているらしい。男 / 56歳 / 166cm / 金髪 / 黒い瞳 / 団子鼻 / 肥満 気味 / ステッキ ( 杖 ) / 黒いシルクハットが、トレードマークという噂。
※リモン装備のブーツ=アルシェットブーツ
次回‥塔の町へ戻る。その後は・・のんびりしたいけどな・・・




