3瓶 アルドルの町 後編
町から出る方法も探さなくては‥と思いながらも‥‥まずは、散策する事にした。赤い屋根と白やベージュの壁、赤い柱と赤レンガ道が広がる町を、ゆっくり眺めながら歩く。
ただ、町を見て周りたくて・・。
どの道も、広く作られている事から‥ここは、とても大きな町と 分かる。
中央に花壇もある大通りを、横道へと入れば…様々な看板が 壁に取り付けられていた。町のちょっとした装飾のように、彩りを与えてるようだった。
曲がってすぐの所に、道具屋の文字を見つけ・・扉を 奥へと開ける。
数人の客と‥左手のカウンター内に店員の姿を見ながら・・・入って行く。素朴な雰囲気の・・薬屋のようだった。
ガラス瓶だけも売っている。どれも形や大きさが不揃いだ。色が付いてるもの、透明なもの。やっぱり中が見やすい、透明なものが良いな・・と、それぞれの瓶に括り付けられてる値札で、透明な瓶の方が・・色付きよりも高いと分かる。
・・もしや、透明なガラス瓶は、技術力が高くないと作れない‥とか?
節約は必要だが、これから先・・どこかで使えそうな素材を見つけたら、保存する物が必要だし。あの中(アイテムバッグという名の‥)に入れるにしても、ごっちゃになりそうな気がしてるせいで、いくつかは購入しておきたい。
‥‥現代には、100均でもカゴが在ったけど・・。さすがに無いみたい。買う際に持って行くとして、他も‥見てこ。
簡素な…奥に深い棚には、よくいう『ポーション』が並べられているようだった。向かって右端が濃い緑の液体、薄い緑の透明な液体、白‥い液体、黄色の液体・・と並んでいる。それぞれ鑑定する。
濃い緑の液体は・・[ スタベン傷薬 ]…スタベン? 変な名前。
説明・一般的な傷薬。ケガした場合は、直接かけて使う。
相変わらず、簡素な説明だな・・・。使ってく内に、詳しくなるのかしら?
隣のも傷薬。名前も一緒。 たぶん、効果が違うんだろうね。
白い液体は[ スタベン回復薬 ] また、付いてる。
えっと、説明は…一般的な回復薬。疲れを回復する。
・・・? 傷薬は、ケガ用・・。回復薬は、疲れ回復?
・・一緒でも良さそうな気がするのだけどね。それと、黄色のも回復薬。
まぁたぶん、効果が低いものと ちょっと高いもの って2種類置いてあるのだと思う。選べるのは良いよね。左へ進んで、丸いテーブルに白い布がかけられていて、その上に・・何と言うかは知らないけれど、試験管を立てて置く物の中に、それこそ、試験管くらいの細さの 縦長の瓶が、小さなコルクのような蓋を付け、値札が付けられている。 何これ?
鑑定すると、どうやら・・痺れや毒を回復する、いわゆる『状態異常 回復薬』が、数種類売られているみたい。・・でも、どれでも”スタベン”って書いてあるのが、違和感を覚えた。
記号のひとつなのかな? と首を傾げながら、店内を見てると‥壁にぶら下がる形で、小袋~大きな袋までかかっている。小袋は、手持ちのお金が入ってた袋くらい。片手で持てる大きさ。逆に大きな袋は、自分ですら腰まで入りそうな・・と想像した辺りで、学校の障害物競走で、ズタ袋に入った時の事を思い出した。
・・・今は、現代に居た時より低い背丈だから、余計にそう思ったのかもね。
大きさによって、値段が変わるみたいね。小袋を2枚、透明なガラス小瓶‥同じくらいの形のものを2つ。それから、回復薬・・・・・いや待て。まだ出れるかどうか分からないから、使う所無いかもしれないし・・と、考えてポーション系は、買うのを保留にしておく。
ここは、お兄さんのお店からすぐだったし、きっと覚えてる。また今度にしようと思って、買い物をした。お金を払ってバッグへ。店員は無言で やりとりしてたけど「ありがとうございました」って声かけて、店内を後にした。
店外へ出ると、朝より人が多い。うわー・・頭痛くなりそう・・。人の進行方向が左なのに対して、右へ向かおうとする人も居て、混雑している。
…譲り合いありがとう・・の精神 無いのかな? もしくは、左方向なら左側歩くとかすれば、もう少し…歩きやすそうなのに。はぁ~と、小さく溜息をつき、左へ進む。どんどん人が来るし、圧迫感もあってシンドイ。すぐさま、次の店に入る。
どこのお店も、内側に開く扉だ。外側だと、歩いてくる人に ぶつけそうだものね・・。どんなお店かも確認しないままに、人込みから解放されたくて入ったお店。少し薄暗かったのは、人の多さで影になってるせいだ。
どうやら‥ここは、素材屋さんのようだった。色とりどりで形状も様々で、見てるだけで 楽 し い ! リモーネ図鑑の為にも、鑑定するだけでも良さそうと思って、あれこれ鑑定していく。
相変わらず・・名前と説明だけなんだけど。
植物や鉱物、砂のようなものや液体。何も入ってないのかと思った透明なものには、気体・・が入ってると書いてあるけど・・・ホントかなぁ?と、ちょっと怪しんで、じぃぃぃーーって見てしまった。
魔物の素材も、様々な種類があった。羽や爪や歯などが、多い印象。
・・・さすがに、魔物の目玉・・みたいなグロテスクなものは置いてなかった。何かのゲームでは普通の食材店で、魔物の心臓とか置いてあったのを思い出したけど、そういうのは、ここには置いてないもよう。
・・まぁ、お店によってはあるかも・・とは・・・思ったよ。一応、グロテスクな見ためでも、私・・平気ではあるけど。
でも・・・・・
爪1つでも、銀貨くらいの値段らしくて・・。どうしても買わないと!なんて時でもないと、買う気になれないな・・と思った。
小ぶりで横に広い瓶には、なんだかドロドロしたものが入ってたけど、魔物の唾液・・らしい。うぇっ ・・・まぁ、その魔物が どんな姿か までは、分かって無いので、何とも言えないけどね‥ホントの所。
一通り店内見て、カウンターの下にも何か、ある のを見つける。何だろ?
遠くから鑑定すると、町の地図みたい! パンフレットになってる。3つ折りで広げると、全体地図になってた! ひゃー!凄い、広い! 絶対迷子になる!
‥これ、いくらだろ? お店の人に「これ、いくらですか?」って聞くと、大銅貨1枚で売ってくれた。
何も買わずに出るのが、なんか気が引けて、中々出られなかったけど、これで出られる! いつか、またここのお店にも来よう‥‥そう思って店を出る。
・・・まだ、数分だし・・人込みは‥続いていた。
道なりに進み、細い路地も通り過ぎて、なんかやたらと立派な目立つ看板の、店に 入る事にした。人込みで、疲れてたから。その前にも、いくつかお店のドアから中 見たら、道具屋や素材屋だった。だけど、店内にもお客さんが多くて。諦めた。
人込み回避なのに、店内でも‥お客さんの多さに疲れるのもな・・と思って入らずに‥今に至る。一応 道具屋‥と書いてあったから入ったけど・・。カウンター内に居るのは少年で、お店には‥お店の広さにしては、商品はあるけど少ない 。
・・・・看板にお金を使い過ぎたのかな? と思わずにはいられないくらい、寂しい感じの内装だったし、商品も本当に少なかった。
そういえば、この世界のお店・・「いらっしゃいませ」って言わないのが、普通なのかな? 挨拶もされないし。今まで、それが”当たり前”と思ってたから、聞こえない事に違和感を感じる。ひと言あるだけで、違うもんだなって。
出来立て ほやほやのお店‥かもしれない。
濃い緑の傷薬 数個と、白い回復薬 数個と・・・ん? 痺れ薬?
あぁ。回復系じゃなくて、相手を痺れさせる攻撃アイテムか…と思って、鑑定すると、説明の所に『調合で失敗したもの』と書いてある。ふっ・・そうなの? ・・思わず、笑ってしまいそうになって堪えた。
・・あれ?
いや、さっき鑑定した時と・・・名前が違う。
傷薬も回復薬も『スタベン』じゃない??
今度は『アルト傷薬』とかってなってる。
・・・? どういう事?? 痺れ薬も、アルト痺薬・・と書いてある。
・・・まぁいいか。細かいことは。
おもしろいので、痺れ薬を2本 購入した。
「ぁ・・ありがとうございます!」と笑顔で、お礼を言われた。少年は、小学5年生くらいの大きさだったけど、親の代わりに働いてるのかな? それとも・・。とにかく、お店から出る。まだまだ人通りの多い道を進むと、大きな通りに出る。
ふぅー ・・・ 人込み、疲れた~
さて、どっちに行こうか。と、人の邪魔にならないだろう場所で、先ほど購入した地図を広げる。町の出口は・・・けっこう下だな~・・・。
そろそろ、お昼頃だろうって時間になっていたせいもあって、どこのお店もいっぱい人が居た。さすがに、あの中を‥割って入る元気は無かったので、下へと進む内に、何か食べれるものを買えるだろうと考え、進んで行く。
町の出入り口に、市場もあるみたいだから。食料は、そこで買えばいいやって事にした。お店も多いけど、人も わ ん さ か 居る。
・・人込みは苦手だ。人の話し声も苦手だ。
地図の下へ下へと進んでいく。坂も無いから、ただ ただ 真っすぐに進む。途中、何本かの横に大通りくらいの道を越え、あっちも こっちも宿屋の看板が多く見える頃になって、辺りは夕方になってしまった。
・・・・辿り着けてません! どんだけ広いの?! この町。
市場にも、辿り着けませんでした。しくしく。
お腹 空いたな・・・。
宿屋の中に、食堂もあるお店で「部屋は空いてますか?」と聞くと、狭い個室なら空いてると言うので、泊る事にした。出入口に着く頃には、夜になっていそうだし・・。それに、夜でも行き来が出来るのかは、分からない。冒険者グループとかなら、夜でも許可されそうだけど・・・。
・・・今、ひとり・・だし。
食堂でのご飯は、泊る日数分、用意してくれるみたい。ただ、明日もこの宿に泊まるかは分からないから、とりあえず‥1泊にしておいた。部屋の鍵を受け取り、お腹が鳴ってしまったので、店主が「先に飯くってけ」と言ってくれたので、さっそく頂く!
・・この世界の人は、手を合わせる習慣が無いようで‥。料理が運ばれて目の前に置かれると、すぐに食べだす。私は、心の中で「いただきます」を言って、食べる。
・・・うーん・・? なんとも、薄いスープだった。
野菜がゴロゴロ入っているので、お腹は膨れるけど・・「おいしい」って思うほどじゃないというか・・・。味付けがシンプルなのは、別に好きだから良いんだけど、これだと、男性陣は物足りないのでは?と思って、他の宿泊客を見ると、みんな不満顔。
中には「おやっさん! 今日なんか薄くねぇ?」って言う。
それに対して店主のおじさんは、なんか申し訳無さそうに「すまんな。最近 街道に商人を襲う奴らが居るらしくてよ‥。まともに調味料関連の食材が、届かねぇんだ」だから、市場も商品が少なくて、みんな困ってるんだって。
・・・なら、文句言ったらダメだね。有難く頂こう。
食べられるだけ、有難いのだから。
冒険者に依頼とか…出してるのかな?
そういや、この世界にも『冒険者ギルド』なるものが、存在してるのかな?‥‥そう考えながら、食事が終わると食器は片付けてくれるから、部屋へ行く。鍵についてる値札と同じようなものに、マーク?文字? 変換されないから、マークかな。そのマークと同じ部屋へ行き、鍵で開けて入る。狭い。ベッドしか置いてない。いや・・空いてただけでヨシとしないと。
こんな大きな町で、そこら辺で寝る方が危険だ。
ベッドに腰掛けて、カーテンを閉める。今日、手にした地図を じ っ く り 見てみる。
あ! 冒険者ギルド!! 在ったっ!
中央大通りの・・・・。地図で言う所の ド 真ん中!ってくらい、真ん中あたりの右側に。大きな建物が在って、そこが‥冒険者ギルドみたい。地図の両端に冒険者ギルドっぽい建物の絵と[ アステル連合 ]って名前がある。内容は、冒険者ギルド的な感じで、細々とした依頼から、護衛、魔物討伐など請け負う所‥と書いてある。
・・この世界って、魔物の素材はどう出現するの?
剥ぎ取る必要があるのかにもよりけりなんだよなー・・。まぁ、冒険者に素材取ってきてもらう依頼を、出しても良さそう。
反対の端の下辺りに‥こっちは商人ギルドかな? 地図では、入口の門から左? 右? 上?・・まぁとにかく、奥まった所にあるみたいで、[ ロゼク連盟 ]って書いてある。という事は、ロゼク連盟 アルドル支部・・とかになるのかな?
門の目の前に、市場が広い範囲で・・多くの店があるみたい。明日、朝食を頂いたら、鍵を返して出発して、門の人に聞いてみよう。・・兵士かな?
灯りを消して、ベッドに横になる。
・・・・これ、私より大きな人・・足伸ばせないよ・・・と思うほどに、小さいベッドだったようだ。鍵が閉めれるのは、安心感が違うな・・と思って、目を閉じる。
・・・ふと、この世界では・・・風呂は、どうしているのだろうか?
・・・・。
何も知らない事が、こんなにも‥落ち着かない事だとは・・・。
とにかく、今日・・・じゃなかった、明日になったら・・
①門で聞く ②市場見る ③・・・ぐぅ・・・・・・
今日は・・疲れた・・・・な・・・
すぅ・・・
【傷薬】一般的に、体力(HP)やケガを治すもの。だいたいの相場は@ 8R~。
【回復薬】一般的に、魔力(MP)や疲れ回復するもの。相場は@ 15R~。
【状態回復薬】毒・痺れ(マヒ)などを治す薬。用途によりけりな為、値段もバラバラ。誰が作っても、基本は効果変わらず。
【リモーネ図鑑】リモーネの夢は、世界中の素材などを網羅した『図鑑を完成させること』だったので、勝手に命名して読んでいるだけ。ステータス端に『図鑑』がある。
次回、門から外へ出る条件とは?・・・




