23瓶 飲み薬の評判
ギルドで調べた素材を探しに、森へと行った私は…素材を無事、採取してきた。
‥途中、ヌシに見つからずに済んで‥ホッとしてます。
宿の部屋に戻った私は、門が開かない事に‥だんだん焦りが出始めている。
何より‥その薬師だって、いつまでも同じ所に留まってるとは限らない。
・・まぁ、どこかの専属になってるなら…居る可能性は あるけれど。
それも今の この状態では、どうにも こうにも知る術が無い。
「…早く‥開かないかな・・・」
今までの宿屋では、部屋で錬成を行っていたり、何か食べたりしてたが‥。
いつ汚すかも分からないし、お金を そんな事で無駄遣い したく無い。
払わないなら、払わないで済む方が、次も使いやすいし。
明日・・もし、開かなかったら‥また鉱石を、採りに行こう。
‥でも明後日までに、開ないようなら…逆から行けないか‥試そう。
コロカジール洞窟の南には、大きな川が流れている。そして、これまた大きな橋が架かっていて、その先に町も見えたし、川に関所のような・・水門?も在ったし。そこで、聞こうかなって考えてる。
出来れば、門が開いて…目的地のウィリディス州へ 早く入りたい。まだウィリディス州に‥薬師さんが、居ます…よぅ・・に・・・むにゃ・・・
朝。どんよりと曇っている。少し…雨雲を含んだ、空模様を見ながら着替えて‥酒場での、いつもの朝食を済ませる。
鉱石の為に、洞窟へ向かうけど、その前に・・・。
「おはようございます」
「‥あぁ。まだ だぞ・・」 まだ・・か・・・。
「…ただ、明日の昼頃には、開けれそうだがな」
「え? 明日の昼‥。ホントですか?!」兵士が何度か頷く。
そういう報告は、反対側の町からの定期連絡で聞けたらしい。
お礼を言って、洞窟へと向かう・・・。
あ・・そうだった。
昨日、兵士達に助けてもらった‥お礼は・・飲み傷薬で…良いかしら?
‥うーんと・・回復量は、どのぐらい‥に し よ う かな?
最近は、部屋で錬成しない代わりに、森での昼食後など‥ちょい ちょい作ってる。少し果物が少なくなってきてるんだけど‥。野菜のカロッテも・・。
兵士達・・この辺りの魔物には、苦戦しなてないみたいだし…。70回復ので良いかな。門を出て、外に居る兵士が‥昨日…助けてくれた2人。
タハッディさん ( 左 ) と、シャンクさん ( 右 ) に、声をかける。
「ん?どうかしたか?」
「昨日は ありがとうございました。これ、ささやかですが…お礼にどうぞ」
2人に同じ、普通に飲める味の‥傷薬 ( 体力 70回復 )を渡す。カロッテの色と味が強いけど。
ひとりは、驚き‥。ひとりは、首を傾げる。
知ってる人と、知らない人だな。
「いいのか? 貰っても・・」私は頷く。隣に居たタハッディさんが、シャンクさんを見て「おまえ、これが何か知ってるのか?」と聞いていた。
「俺がこいつに、話しておくから…君は、もう行きなさい」と言ってくれたので、任せて‥洞窟へ。
バラダーという魔物と戦ってる辺りで、さっき‥首を傾げていた人だろう。
「なんとっ⁈」という大きな声を聞いて、思わず‥吹きそうになった。
‥緊張感 抜けるので・・やめて。
カラコゥが見当たらなくなって、目の前に居る敵が‥これまた、何と言えば分かり易いのか・・。某シミュレーション系ゲームの‥低木のような塊が、うごめいて‥体に付いてる葉を飛ばしてきたり、枝を伸ばして鞄や、矢を取ろうとしたりしてくる!
定期的に飲み薬を飲むから、傷は残らないけど・・。けっこう当たる。
・・そのせいで、服の袖が ボロ ボロ に‥。避けれないせいです。
何か違和感のある場所に、固まって居る。‥鑑定した後は‥遠巻きに走ったりして、バトル回避してました!
・・だって、手持ち武器じゃ‥時間 かかるんだもの!
なんせ、最低ランクの弓 と 最低限な攻撃力しか無い‥短剣だし?
一応‥武器スキルも上がってるから、なんとか枝に当てれば‥体力を削れるけど、スカす事も多くて・・。バトル終わって素材回収時に矢も‥ある程度は拾える。
そういえば、この魔物が落とす素材の中に、今まで無かった【 魔鉱石 】ってのが出て来た。魔力を帯びた鉱石‥って意味らしいけど 。 そのまんまですね… 。今は、何も出来そうにない って所が残念よね・・。
ってな事を考えてる内に、洞窟に到着。
私よりも先に‥冒険者のグループが、入って行ったのは見たけど・・。
中層とかに行ったのかな? 上層内では、見当たらなかった。
前回 同様に、素材を確かめつつ・・拾っていく。
スフェラに注意して進み、今回は‥通る際の邪魔になりそうな所のだけを取った。咄嗟に逃げたくても、当たってコケそう‥と…思ったせいでもある。・・慌てると、転ぶ事が多いもので・・・私。
スフェラ ゾーンを越えると、壁に何やら…キラキラしたモノが見えて来た。
【 ジン石 】
ジンを少量しか含まない石。少量過ぎて誰も採掘しない。どの階層にもある。
‥ジン・・が、何? でも、金色っぽいから、金⁈ もしや!!
誰も採掘しない・・・。じゃあ、私が採掘してあげましょう。
せっかくのピッケルを、もっと使いたいので‥とか なんとか理由を付けて、ジン石を5kgくらい取り出し、鞄に入れていく。それから、ついでにイエロ岩や、カルボン石なども採掘していた。
‥少し疲れたし、おなか・・空いた。
まだまだ、菓子パンが残ってるので‥それを食べながら‥。
ステータスを開く。 ん・・あれ? 何か増えてる?
体力 250 魔力 97 危険回避率 85% 鋭さ 95
鋭さは、変わってない気がする。
でもそれよりも‥この下の…。属性が増えたんじゃなく・・・。
+ 炎 耐性 が付いてる。
・・・・もしかして、この間の 怪我が原因? それで耐性 付いた‥とか?
ありえそう。なんか‥この『危険 回避率』‥危ない目に遇う度に、上がってる気がするし。あと地味に、体力も5づつ‥上がってる。
武器のスキルは‥そんなに上がらないね。ただ、短剣のレベルが3になった時に【 急所 斬り 】を覚えたお陰で、バラダーとの戦いでも勝ててるんだ。
無かったら‥いつまで、戦う羽目になるのやら・・・。
ありゃ? え?? 今まで、無かったのに・・・。
採取 と 採掘 レベルってのが出てる。何で?
‥今までも、採取…してました・・よ? うーーん?‥もしかする?
こっちに来てから スコップ や ピッケル、ハサミ を使ってる…から?
‥そうかも。今まで、手で毟ってたんだし。
道具を使う方が 良かったって事?!
‥まぁでも最初の時は‥草だったし。手が汚れようが、そこまで気にしてなかったなぁ。お風呂に入れるかも、分からない時だったからね。
まだレベル自体は、低いから…道具を上手く扱えてる程度‥だけどね。
さてと、もう少し‥先に‥と思ったけど、この先は下への石の階段が、続いてたので‥まだ個人のレベルは低いし・・。いや、何レべか知らないけど。
…何より、強い武器や防具は無いに等しいからね。まだ‥やめておこう。
よし・・腹ごしらえもした、もう戻ろう。明日 開くって話だし、またパン屋さんに寄って沢山、買っておきたい!
スフェラ ゾーンを慎重に進んで、洞窟から出る。まだ時間あるから、森に行っても良いんだけどね。でも今日は、歩いて帰ろう。
・・バラダーにだけは、気を付ける。面倒なんだもの・・。
門に着くと…薬を早速、飲んでみたのか‥感想が聞けた。
「このように飲める傷薬は良いな。戦ってる最中にも飲めるのが良い!」と、シャンクさん。「良いんだが‥もう少し、さっぱりしてる方が…俺は好みだがな‥」と味に対しての感想を言う、タハッディさん。
なるほど。‥配っただけじゃなく、ちゃんと感想も聞いて‥商品開発してくのが良いかもね。
普段の傷薬は、戦いが終わった後にしか使えないから、傷だらけで‥戦い続ける時は大変らしい。そうだよね・・。でも、この飲み薬が有って‥仲間が居れば、飲んで回復も出来る。
「ぜひとも、売り出してくれ」「値段も決めておけよ・・」と言われた。
門から、中へ入り・・さてと…もう酒場へ行こうかな?と思った時‥。
『おい、どうやら魔物討伐が終わったらしいぜ!』『それなら、やっと門が開くのか?』『たぶんな』『兵士が、明日の昼には‥なんて、話してたぜ‥』
・・どっち側からの声かは、分からないけど‥。数日間もかかるなんて、大変だったみたいだね。でもこれで、明日‥ウィリディス州へ行けそうでホッとしてる。
『よぅ!聞いたか?』『何を?』 …ん? まだ何か聞こえる。
『酒場のマスター、また狩りの時に【 ワルドシュランゲ 】が出たんだってよ!』
『何⁈ それじゃあ大怪我して帰ってきたのか?』
『それが、ピンピンしてるんだよ。しかも、倒したんだってよ!』
『いつもは相性悪いからって、一方的にやられて、逃げ帰ってたのに‥か?』
『なんか、いい薬をもらったお陰だとか』『何だそりゃ?』『さあな…』
酒場に入ると「おう!よく来たな!今日は早いじゃないか!」
元 気 い っ ぱ い ・・ですね。
「どうも。そういえば、さっき‥店主の話を聞きましたよ」
「あー‥あれか?ワルドシュランゲの‥」それですって答えると、何だか照れながら、いつものリベンジが出来たのは「おまえさんの薬のお陰さ」と。
そのワルドシュランゲという ( 魔物かどうかは知らないんだって ) ‥頭に、花が咲いてる蛇みたいな生物に、デトリチュスの森の奥で‥よく遭遇するんだって。
・・・奥まで行って無いから‥私は、遭遇しなかったけどね。
で、その花から香る匂いで、足元フラ フラって、めまいがして‥攻撃が中々当たらなくなるけど、相手からの牙攻撃 や 締め付け攻撃を毎度、受けてしまって…いつもは‥。森の奥から離脱して、めまいが治まってから帰ってくるそう。
・・・かなり、厄介な蛇だね。頭に花・・ってのは、気になるけど。
「でもよ…逃げる前にと思って、貰った薬の‥赤い方を飲んだらよ・・」
店主は他の人の注文を聞きながら、料理しながら‥話の続きを聞かせてくれる。
器用な人だな。私なら、すぐ…手が止まるな・・。
「いつもなら…めまい起こすと、しばらく座ってないと治らないんだがよ。それ飲んだ瞬間に治っちまってよ!あいつを倒す事が出来たんだよ!」と後半、興奮気味に話してくれた。
「薬が、役に立ったなら良かったですよ」
「‥おっと、まだ注文‥聞いてなかったな。今日は、何にする?」
「そうですねぇ…」今夜で、ここの酒場も来ないかも・・。
だけど、やっぱ、5番めの・・。
「ガムジャとトローの煮付けをください」まだまだ お安い 25R!
「おう!待ってろ‥」
今日は、お野菜だ。でも見ためが…肉じゃが ですけどね・・。
『ガムジャ』が、じゃがいもみたいな野菜。『トロー』は、何かの肉。
・・うんと、牛肉に近い味だから、たぶん獣の肉だね。まぁ‥魔物でも、食べますけど・・。
とにかく、美味しければ 良い のよ!
ってか、じゃがいも‥じゃなかった、ガムジャ‥美味い!
味は、じゃがいも そ っ く り 。好きなので‥嬉しい。
久々のお野菜とお肉を堪能し「たぶん、明日は去る」事を伝えた。
宿での生活も、一旦 終わりだ。でもまぁ…向こうにも、同じように町があるみたいだし、すぐに宿を見つけれると思う。昼に開かれても、町で装備 整えたり、食材買い足したりはしたいから、探しに行くのは‥翌日になるかな。
夜‥リモーネの手帳を‥久しぶりに、取り出して見た。
『薬師の名は、エシェック。かなり長い髪の毛を1つに束ねている人らしい』
『今はウィリディス州の湖で、何かの研究をしているらしい‥急がないと…』
『水・池・湖・川・海…に関連する場所に行く事が多いみたい‥ヒントね』
・・と、よくよく見ると、小さな文字で‥誰に聞いたのか知らないけれど、良いヒントだと思う。まずは‥湖へ行ってみよう。
地図を出す。貰った地図‥ごめんなさい…セウーさん。
これ、勝手に入っちゃったんですよ・・またしても!
‥まぁ、見やすいから…いいか。良いとしよう。
描かれてる地図では…次の町から左手に、大きく見える・・はず。
・・・ちょっと今 居る所からは…門の塀で見えないから、ホントに左手の方向にあるのか・・分からないってだけ‥。今の所、迷子に…なってない‥よ・・うん。今は。これから先は、どうか分からないけど。
さて、明日の準備を整えて・・・。眠ろうか。
宿屋さんにも、確認してもらって‥支払いしないと・・ね・・・。
【洞窟南の水門】
水門から許可書状が在れば、カエルレウス州に入れる。しかし、ウィリディス州へ行くには遠回り。
【タハッディ】32歳 / 男 / 172cm / 彼女にフラれたばかり / 目つきが鋭い門兵
【シャンク】30歳 / 男 / 180cm / 彼女が出来たばかり / 優しい感じの門兵
※別に、タハッディさんの元彼女が、シャンクさんと付き合ってる訳ではない。
【バラダー】( バラダー=ロシア語・髭 )
低級。もじゃ もじゃな低木のような魔物。葉を鋭い刃にして飛ばしたり、枝を伸ばしてアイテムなどを盗んだりする。植物系なので炎攻撃には弱い。素材*葉 / 木の枝 / 魔鉱石 ( 属性付与 )
※魔鉱石=魔石が年月かけて大きく変化した。特性があり、武器等に付与 出来る。
※魔石=主に、魔物から入手する。特性があり、道具などに加工 出来る。
【ジン石】( ジン=中国語・金 ) ジンを含んだ石。含有量は岩と比べて、限りなく少ない為‥誰も採掘しなくなった物。普通は、中層よりも下へ行き『ジン岩』を採掘するのが一般的
【急所斬り】短剣 Lv.3 で覚えて使えるようになった。相手の急所に当てて、特大ダメージを与える。
【ワルド シュランゲ】生物
( ワルド=アラビア語・バラ / シュランゲ=ドイツ語・蛇 ) 頭にバラに似た花が咲いている蛇。その花の香りを嗅いだ生物は、めまいを起こし攻撃を当てにくくなる。安静にしていれば、数分で正常に戻る。
【ガムジャ】じゃがいも と同じ味の丸い野菜。齧ると体力 10回復。
【トロー】( トロー=フランス語・おうし座 )
味は牛肉に似てるが、後味さっぱりめ。
次回‥やっと門が開いて、ウィリディス州。薬師さん探し、がんばるぞーー・・




