18瓶 トラストの町
今までお世話になった‥アルドルの町を離れ、次の州への境目の町まで来た私は、門の前で足止め‥となるのでした。
早朝、やっと門が開く。
小雨の降る中…町の中へと入った私は、唐突に 表示された事に、驚きつつ・・・ここが、隣との境めの町・ト ラ ス ト と知った。
今まで居た町が、広かった事を思えば、こじんまり とした町だと気づく。
なんせ、入口の門から 真っすぐ前を向けば‥反対の門‥が、見えてるくらいの近さが あるのだから。・・このまま…進んでしまっても、良いかもしれない。
・・まだ薄暗い中を進んでいる内に、日が昇り・・各店が、開店準備にドアを開けたり、入口の前を掃除したり、商品を並べたりしてる風景を見ながら、反対の門へと近づく。
こちらにも、兵士が二人ほど居た。
でも、朝になったのに…こっちの門は、開いてない。何でだろう?
「おはようございます。この先って・・」と言いかけると、兵士の一人が反応して、こちらに来た。「今は、通行不可だ」「え?・・許可書状は在るのですが‥」と言ったのだけど「今は、誰も通れない」
なんで? と首を傾げていると・・左側に立ってた兵士も やってきて、説明してくれた。どうやら、今は‥隣の州軍の要請によって、こちらの州軍と合同で、大量 発生した 魔物退治の作戦 遂行中だそうで。…それが終わらないと‥誰も通せないって。
「いつ頃、終わるか・・分かりますか?」と、聞いてみたけど‥。
「まだ分からないよ。例外は無いから。通れるようになれば、門は開かれるから」そうですか・・。教えてもらえたので、軽くお礼を言って・・来た道を戻る。
入って来た門の方に・・ギルド…商館?が在ったし、その反対側に、宿屋の看板が在ったから・・部屋を借りよう。空いてると・・良いけど。
・・ふいに・・美味しそうな‥パンの焼ける 匂いがする。
中央の道の手前に、パン屋さんに見える所が! え? ホントにパン屋?!
…? どこかで、そういう話を聞いた気が…しないでもないけど、まぁいいか。
パン屋さんがある~! テンション上がる~・・・雨だけど‥今日。
・・でも、まだ準備中みたい。 まずは、宿屋へ行こう。
カラン カランッと‥牛の首にあるような鈴?のような音がした。
「はい。いらっしゃい‥」ポンチョのフードを外し、カウンターのおばさんに、声をかける。
「部屋、空いてますか?」「いつまでだい?」
「反対側の門が開くまで・・の予定です」‥隣の州へ行きたいけど、門が閉まってる話をすると、すぐに気づいたみたい。
「じゃあ、しばらくだね。部屋はあるけど、個室が良いかい? 大部屋もあるけど・・」「出来れば個室で・・」
・・どこぞの誰かと一緒は…勘弁して欲しい。警戒し過ぎて‥眠れないよ。
「じゃあ、机や椅子のある部屋が良いかい? それとも、ベッドだけで良いのかい?」・・・うーん? どっちにしようか・・。
でも・・「空いてるなら、机や椅子がある方が、有難いです」
「それじゃ、1泊10Rで‥この鍵だよ。部屋は2階の角部屋さ。それから・・」と鍵を渡されたけど、まだ お話が‥あるみたい。
「うちの宿は、手洗い所はあるけど、風呂は無いよ。必要なら、ギルドにあるから借りな。それと、飯は そこの・・」と右の方にある、木の板で出来た扉を指さして‥「BARがあるから、そこで飯を食べな。別料金だから、気を付けな」はい。と・・お話の都度で、頷く。
「BARで飯を食べるのを、徹底しておくれ。部屋で食べたり 飲んだりしないでおくれ」・・どうやら、以前は‥許可していたみたいだけど、酷く汚されて、大変な事になったりしたから、今は 許可してない んだって。
そういう無作法する人が居るから、どんどんルールが厳しくなるんだよ…。
「わかりました。気を付けます」
「もし…部屋を出る時に汚れてたり、何か壊れてたら、弁償してもらうからね!」と念を押された。言っても、やる人が居るんだろうなって感想。
お話が終わり、上に上がる前にポンチョを外し、武器を仕舞って‥セーカで乾かす。それから、2階へ上がり・・奥の部屋へ。
今回の鍵には‥ 生き物の絵が、彫られていた。私のは、鳥・・だろうね。
同じように、扉にもマークのように絵が 彫られてる。お金かかってるように見えるけど・・。絵がカワイイので、見てて楽しい。
奥の角 部屋…ここだ。鍵を開ける。角部屋だからか、窓が大きい。
大通りが左側に見え、前 だから、宿屋の裏手に‥建物。雑貨屋・・かな?
雨、今日は・・ずっと降ってるのかな?
・・雨が上がったら 行こう。もしくは、明日・・行こう。
ポンチョは、中の服は濡れないけど、脱着が 大変って思った。ただ、ポンチョを着てても、武器を取って戦うのは出来るから・・まぁ‥うん。
・・部屋に入って、鍵を閉める。
今は、朝だから・・小雨は降ってるけど、そこまで酷くもないし・・。
やはり‥宿屋の反対側のギルドへ 行っておいた方が、良いように思う。
・・ギルドって、冒険者ギルド? それとも、商人ギルドも?
・・・・そこら辺は、入ってみないと‥何とも分からない。
それから、お風呂は『ギルドで借りれる』って話だったし。
使うのが、有料かどうかも気になるよね・・。
前の商館では‥ランクが一定以上であれば、無料だったけど。
・・・。
お部屋で、飲み食いしないよう・・気を付けないと。
ココまで、魔物を倒しながら来たから、少しはレベルが上がってるのではないかな?と思ってたので、ステータス画面を確認する。
うん。少しは上がってるみたい。ただ、ゲームみたいに‥今 レベル 何・・って出てないのが 難 点 。
体力 245 魔力 97 危険回避率 84% 鋭さ 95 になってた。
相変わらず、この『鋭さ』が 意 味 不 明 なんだけどね。
危険 回避率は、敵の攻撃を避けれる‥とか、危ない所は どこ‥って気づくものだと思うんだ。唐突に襲われたけど すぐに 気づけたし 行動も素早く出来たし。
あ・・また、属性が増えてる。今度は、闇 属性が増えた。正直、これもよく分からない。属性が増えて・・何か‥関係してるの?って疑問。
・・・なんとなくで言うなら、デイングル草みたいな、属性付きの素材を、錬成するのに、関わってくる…みたいなのは、ありそうよね・・。
スキルは・・と。これは、武器に 関連したモノ が表示されてる。
弓・・レベル上がってる。カプカの実を取ってた時にも上がって、ここまで来る道中でも、前方から向かって来た魔物を、打ったりしたからかな。
[ 弓 Lv.3 ] 弓を扱う能力
+命中率 10 % +反射速度 5 % (構えた状態から打つまでの速度補正)
と、短剣も・・一応、レベルアップしたみたい。
[ 短剣 Lv.2 ] 短剣を扱う能力
低級の下ランクの魔物は一撃で倒せる。+攻撃力 5 %
ふーーん・・こういうのでも、攻撃力とか上がるんだね。
ステータスには、総合の攻撃力とか表示されないから、よく分からないって方が強いけど。防御力もそう。鑑定と錬成は・・変わらず。ただ 使っていくと…レベルが 上がるように思う。
昨日の野宿でも思ったけど、セウーさんが言ってたみたいに、洞穴とか‥大きな木とか無いと、壁も無く・・平野でアレじゃあ・・・いつ襲われても‥おかしくないよ・・。落ち着かないし、眠れない。
なんせ天幕って…ただの‥。棒が付いてて、立体的に立つだけの 布だったし。
しかも、うっすい・・。現代での テント みたいな丈夫さは…天幕には無いと知った。寝袋は有難いけど、地面に敷くウレタン・・は、無さそうだけど、厚手のマットが欲しい。石ころとか・・痛いし。
・・ランチョンマットは、小さ過ぎるから・・違うものね。
罠を作れて、周囲に設置しておけば…多少は安心して‥眠れるだろうけど…。・・・野宿は・・極力したくないって思った。
‥といって、冒険者を雇うのもなぁ・・・。
現代の時も そうだったけど、私けっこう…すぐに人を信用出来なかった。人見知りな面も、あると思う。何かで、仲良くなる・・・・とかない限りは、雇わないと思う。たぶん。
どうにも こうにも、自分で どうにも出来なくなったら、頼るかも だけどね。
…あ、雨・・上がってきた?
もう少し、様子 見て・・晴れたら、ギルドとパン屋に 行ってみよう。
・・お金は 潤沢なので、仕事・・しなくても良いと思うんだけどさ。ただ、門が開くまで‥ぼー・・っと待ってるのも、逆に疲れるし。
この近辺で、手に入る素材は‥手に入れておきたいし。
私的には、ダンジョンとか・・頼まれないと、入りたくないタイプだから、依頼を受けた状態でないと、探しに行けないかもなってのがある。
ホント、めんどくさい性格よね・・私。
うん。晴れたね。じゃ行こう。帽子を被り直して‥鍵で閉めて階下へ。
…扉 開けば、もう目の前。
両開きの扉、開けようとしたら 片側が開いて、冒険者?が出てきた。その人が出た直後の‥閉まりかけのドアから、中へと入る…。広い! 人も多い。
・・カウンターには、2つのマークが‥頭上から ぶら下ってる。
片方は、商人ギルドのマーク。
って事は、もうひとつは・・冒険ギルドのマークか。
依頼ボードは・・どっち? ボードは‥壁に2つ 設置されてるけど…どっちのボードも、色も内容も…似たり寄ったり。間違えたくないから、商人ギルドの看板が下がってる方の‥カウンターに居る、お姉さんに話かけた。
「ようこそ。トラストの町・商人ギルドの受付です。ご用は 何でしょうか?」
「どうも。あの‥依頼ボードの‥商人の方は、どっちなんですか?」
「あぁ、それなら手前のボードですよ。黄色の枠の方ですね。奥の赤い枠の方は、冒険ギルドに登録された方でないと、受けられませんので、ご注意下さい」
「ありがとうございます」と軽くお辞儀して、手前・・黄色の枠内を見る。
・・グレーの紙は、相変わらず・・草と雑花の採取。
ん? 丸いの‥何だろ? スライム討伐?…いや、倒して手にする素材を‥持ってくるのか。
…スライム? 遭遇してませんけどねぇ・・。
黒は、傷薬と回復薬だね。この紙が ほとんど。黄色は…納品依頼が多いけど、見慣れない素材ばかりが載ってる。まずは‥どれが、どこに在るのか分からないと‥納期までに間に合わない可能性もあるから、保留にしておこう。
赤は・・・これは、鉱石かな? ピッケルみたいなのって必要かな?・・一応‥スコップはあるけど、鉱石取るのには‥心もとないし、何より‥貰ったばかりで壊したくないし。道具を…貸出し・・無いかな?
あ・・雑貨屋あったな・・。あそこで売ってるか‥確認してからにしよう。
再び…お姉さんに話かけ、素材が どこに在るのかを、知りたいと伝えると、この部屋の奥に本棚があり‥そこに この辺りの情報が載ってると、教えられる。
人が多いけど、たぶん‥自分の鞄の中は、自分以外に取り出せないだろうから、何か盗まれる心配は無いと思う。でも、鞄 自体を盗まれる 危険性はあるよね。鞄の紐を握りしめ‥本棚へ。
・・魔物情報・周辺地域の情報・町情報・素材情報など など。
まず、気になった植物の採取 関連と 鉱石 の話が読みたいから‥素材情報から開いた。かなりボロボロだけど・・絵付きで、情報が載っている。近くに机と椅子もあるので、見ながら‥自分のメモに、書いてく。
『 逃草 』・・・何? 逃げる・・とか‥いう?
デトリチュスの森‥に生息・・。生息って書いてる時点で、魔物だね。
『 捧樹の樹液 』ささげ・・木? 何を捧げるんだろ?・・傷薬かな? なんか、左下に傷薬の絵は、描いてあるけど・・説明が簡素。場所だけ。森のどの辺って所も、かなりアバウト。
誰だね?コレを書いたのは??
って言いたくなるくらいって、もう言ってたわ‥私。
『 水静石 』水中に在れば、大人しい石・・・? 何だろ? 外に出すと‥暴れるとか‥いうのかな? なんかソレ、おもしろいけど・・・。
ボードの方を見て、違う場所の‥鉱石の類も見てみる。
コロカジールの洞窟内・比較的、手前の辺りに在るって。
『 ヘボコ石 』扱い難い石。瓶に入れて、持ってくること・・だって。小さいとか、少ないとか・・かな? 白い石みたい。
『 カルボン石 』こっちは、黒い小石みたい。革袋よりも‥動かないような箱に入れる事・・だってさ。専用のトレーとか・・無いのかな? …無さそう。
それから・・衝撃を与えると‥魔法が発動される鉱石・・え?何それ、怖い。
無闇やたらに鉱石 取ってると危ないね。これは、気を付けよう。えっと…専用の‥手袋が必要…と。ふむ。これも、お店で売ってるかを確認しよう。
・・こんなものか。
改めて、依頼ボードを確認する。森は・・この町から、すぐの所に在ったから、近いし‥こっちの依頼にしよう。数日間は、余裕があるみたいだし。うん。これにする。赤い紙で、逃草と樹液のを選んで‥お姉さんに渡す。
「カードのご提示を お願いします」と言われたので、カードを出す。
「確認しました。では、期日内に こちらへ お持ち下さい」と カードと紙を受け取る。頷いて建物から出た。出た直後に「あ…お風呂の存在、聞くの忘れた…」
・・・戻ろうか、迷ったけど・・。
素材を‥渡した時にしようと決め、雑貨屋の方へと向かうのだった。
【騎士団の魔物討伐】大型の魔物や、小型だけど大量発生するような魔虫などの討伐は、軍が行っている。討伐が終わるまでは、危険を回避する為に、各地の門は封鎖される。
【トラストの町】(トラスト=英語・信頼)
アルドル側の門から真っすぐ先に見えるのが、隣の州との境めの門。その先にウィリディス州の境めの町に繋がっている。現在は封鎖中。右手に宿屋とBAR/左手にギルド館/大通りを右手に曲がると、宿屋の奥によろず屋と民家/大通り左手に、ギルド館の奥は民家やパン屋という小さな町。
【ギルド館】冒険ギルドと商人ギルドの2つが合わさった場所。小さい町では普通。入口手前のカウンターが、冒険ギルドの受付。奥の壁際に、商人ギルドの受付。アルドルの町と違い、受付で全ての手続きを行う。他にも風呂・手洗い所 (トイレ)・売買カウンター・素材などの情報が載ってる本のある本棚と机と椅子のセットが利用可能。依頼ボード/黄色→商人用・赤→冒険者用
【デトリチュスの森】トラストなどの町から、比較的 近い位置にある森。低級の魔物が居る。近いのだが、あまり人気が無い採取地。※扱い難い素材が多い為。
【コロカジールの洞窟】アルドルの町よりも、南下した辺りの山にある洞窟。上層の入口付近は、比較的広く、魔物も‥ほぼ出現せず、低ランクの鉱石が入手可能。中層・下層へと進むごとに、危険な魔物と道幅が狭くなる洞窟。
次回、森での採取に四苦八苦?!・・危ない傷薬のウワサ付き・・・。




