115瓶 帰宅
塔町で情報を受け取り、デトリチュスの森へ。
いろんな人達に遭遇した後、薬師に‥会えた。
素材を受け取り、レシピまで渡され‥作る事に成功した。
・・あとは、帰る‥だけね。
キトゥリノの家で、また・・片付けして袋を被せている。
カエルレウスでも・・同様に 片付けなくては…。
薬は・・ 出 来 た 。
あとは、届けるだけ‥なのだけど・・。
…正直な所、私 自身に‥この世界での、家族の記憶は・・ 無 い 。
体は リモーネなのだから、脳内に在りそうだけど‥引っ張り出せない。
ただ、弟が‥『アチェロ』という名前で、この姿になり‥動き回る事を、知ってる人物が 居る‥という点は、上手く行けば‥な ん と か なりそう。
家の位置は、アルドルの地図を見た際に、記載されてたから・・分かる。
貴族街に‥あるっぽい。だけど、凛としては‥行った事が無いから、飛べない。
・・飛べたとしても、危ない気がして・・・出来ない。
家に戻ったら、当分は…出 れ な い と‥思う。
そも そも、出れる年齢じゃないもの。親にも、怒られるだろうし・・。
母親だろうが、弟だろうが・・思い出せない。
最初に目覚めた時、『 頭 から 落ちた 』という話を出して、記憶が曖昧なのだと‥説明するしか…ないだろうね。
家族とはいえ、鑑定すれば‥名前は分かるし。何とか‥どうにか・・なると良いけど。そこが・・一番‥今、不安に感じてる事。
戻る前に・・ギルドで依頼の終了を、伝えてもらった。
・・ポスト…活用されてる。
1行 程度の言葉なら‥全域に、一斉に送れるらしい。
中で複製して・・って、聞いて‥こっちが、驚いたよ。
お陰で、個別に周らなくても良くなった。
あとは・・ポストに届いた‥お手紙の返事を書かないと。
・・それが済んだら‥ニーリー、アルクス団‥アルドル商館の面々には、会ってから‥帰りたい。思ってた以上に・・早く戻れる事になったし。
ニーリーの家には、印がある・・飛べる。
村長の所にポストを、置かせて貰うつもり。ルーラちゃんにも‥会っておきたい。
先生に会った翌日は、雨だった。
漁村に飛ぶと・・ニーリーが驚いた声で・・来た。
‥もう、会えた事。薬も『 貰った 』事を伝えた。
・・ホントは、私が作ったのだけど…。
先生が作った事にしても良いって、言ってくれたから‥そうしてる。
おじさんから、珍しい魚を貰ったり‥ルーラちゃんも 一緒に、食事をするようになった話を聞いた。
どうやら・・あのフキアのスープ‥おじさんも、好物になったみたい。
「俺は‥正直、飽きてきた」
「ニーリーも‥大変だね」
村長の所にポストを置き、ギルドや‥私宛にも紙のような薄い物は 送れると伝え…一応、盗難防止と共に‥イタズラ防止とか付加 価値の‥お守りも付けてある。
「泊って‥行かないのか?」また、そんな…寂しそうな顔しないで‥。
「ごめんね。他にも、挨拶に行かないと‥」
おじさんが、ニーリーの背中を バンッ て叩いてた。痛そう‥。
「いってっ」
「絶対、また・・来いよ!」うん。
「それでは、失礼します」
森の木々を背に・・飛ぶ。次は・・アルクス団だ・・。
おっとと・・。砂が靴に付いてたのか・・滑った。危ない。
マエロルさんは居なかったから、手紙をドアの隙間に‥挟んできた。
・・アルクス団は、相変わらず‥日中は‥塔に行ったり、店 出したり‥買い物したりと、分担して活動してた。
フェリータに、ポストと‥印を 置かせてもらう。
ドロルちゃんの後ろで‥隠れるようにしてるラーナちゃん。
「どうしたの?」
「リモンがくれた物‥ラーナ、付けたのよ」
もじ もじ して‥中々・・出て来ない。
顔だけ・・ちらっと・・あ、紫の瞳だったんだ・・。
「とっても、よく似合ってるよ」かわいく、大きな瞳の子だったみたい。
照れてる。ふふっ
しばらく待ってたけど、シェルタ達は戻って来なかったので‥。
「また、来るね」と言って‥人気の無い場所から・・・飛んだ。
デトリチュスの森の入口から、アルドルの町へと入る事にした。
町の中まで‥飛べるけど、門の兵士に‥また、驚かれてもな‥と 思って。
まずは、商館へ 向かう。前々から・・少しづつ、準備してたんだ。
「こんにちはー!」
「あ、リモンくんっ!」
皆さん・・お仕事、優先してくれて‥良いんですよ‥。
「帰って来たって事は・・」はい。見つけました。
人も少ないから、渡してしまおう。
「ギルド長には、はい・・お酒です」前に、カエルレウスの お店で‥お土産に‥と購入した『シャラップ』という お酒・・。
驚き と 笑い が‥同時に来る名前なのよね。あ・・喜んでる。
「キントリヒさんには、これです」アクセサリーで‥ネックレスを。
「どうして、俺には‥これ なんだい?」
少し動かすと、外れて‥2本のネックレスになる。そう!ペア用の。
「もう1つは、彼女さんに‥渡して下さい」
「‥はい」頑張ってね。
「セウーさんには・・これを・・」
白紙の‥本くらいの厚みのある、手帳・・と書いてあったけど、絶対『本』だよ。紺色の‥綺麗な表紙が目に留まって。
「…感謝します」
「セウーさんの弟さんも、何かくれたんですよね?」頷いてる‥。
なので‥薄いノートくらい 大きめな手帳。もう、何でも『手帳』って、いうけど・・違和感。
・・それと、ペンのセットを・・渡して貰う事に。
チーズくれた人は・・・。
「俺の息子だ。今・・配達 行ってて、居ないがな」そうでしたか。
それじゃあ、チーズを使った・・美味しい料理の レシピ書いた、薄手の小さな手帳を‥渡してもらう。
・・最後まで、何にするか迷った挙句に・・この料理 手帳に なってしまった。
「ビボワーヌさんは?」
「奥の部屋で、嫁の手伝いしてるぞ」裏方は、奥さんに任せてるみたいね。
「じゃあ、渡しておいて下さい」
「いや、今 呼ぶから・・待ってろ」はい。
奥から、ビボワーヌさん・・来た。お久しぶりです。
「これ‥お土産です」私が、作ったんだけど・・。
「まぁ‥良い香りね‥これは?」香水です。
使い方を、簡単に説明すると・・付けてくれた。
「良いわね‥これ」
「おい・・これは、聞いてないぞ‥」誰 に も 言ってませんもの。
ギルド長は、すぐ「売るのか⁈」と‥聞いて来るのは‥どこも 一緒ね。
売ったら・・人気 出そうってさ。
思ってる以上に・・大変なので、今は作る気・・無いです。
…家族の お土産用には、持ってるけど・・。
「パンジーさんにも渡したいのですが・・」
お店・・閉まってた。明かりも付いて無かったから‥渡せず。
「ズイアス、呼んで来い」
2階から、雑貨 売ってた・・お兄さんが、降りて来た。
「ギルド長、何か用ですかい?」
「リモン、こいつはパンジーの旦那だ。こいつに渡しておけ」なるほど。
「なら、パンジーさんと使って下さい」サポーネです。草の匂いだけど。
「ほう?‥おまえが、作ったのか?」はい。
渡してくれるみたい。良かった。この人が・・旦那さんなんだ‥。
お店の方は・・どうしようかな‥と思ってたら、木箱に入れろって‥いや、そんなに、多くないよ?
「ケントニスの旦那に渡すんだろ? ついでに商品 使ってくれって伝えておく」
あー・・サポーネ、大量に在るの‥売ってもらうって事か‥はい。
同じ匂いだけど、木箱に20個も入れたら・・いっぱいに。
1個は、試供品として使うようにと、手紙に書いて‥木箱のフタに付けられた。
レアーレさんも、何かくれたから‥お礼したいけど、小さな お守りにした。
セウーさんが‥ついでに届けてくれるって・・え?
「弟も、同じ店に勤めていますので‥」そうなの??
「では‥お願いします」
「おまえは、もう‥家に戻るのか?」はい。
ギルド長が‥いつも腰掛けてた椅子の後ろに、ポストが在った。
・・ここにも、来てたのか。
「これに手紙 入れてくれれば、僕に届きますので‥」
「しばらくは、家から出られんだろうがな‥」はい・・たぶん。
みなさんと、別れ・・帰りに、ギルド長から手紙を渡された。
送るつもりだった‥と、言われた・・私宛。
さあ・・家に、向かおうか。
丁度 良く・・アチェロくん・・出て来ると良いけど…。
ケントニス店とは、真逆の場所に在る・・森を横目に見ながら‥北へ 。
大樹の木肌が見えるくらいに近くなる頃・・貴族街に入った。
家は・・右手の奥だ。緊張する。
一応・・一番 新しくて綺麗な服だけど‥。
大きな・・広場? あ・・え‥庭だ。広い庭だなぁ・・。
あ‥子供が居る。えっと・・あ! アチェロ?!
そう思ったら・・走り出していた。
「…リモーネ姉さま?」やっぱり・・この子が、アチェロだ。
「ただいま・・」外に居てくれて‥助かった・・。
玄関から ピンポン で 良いのか‥分から無かったから・・。
「姉上‥いつ、お戻りに?」そんな口調なの?
「今日・・ね」走ったから、少し‥息切れしてる。ちょっと待って‥。
庭の裏手から、中に入るように促され‥オシャレな門から庭に入る。
「…父上も 母上も、僕らも・・心配していたのですよ」
「ごめんね‥。でも、薬・・手に入ったの」
裏口から・・中へ‥入る。赤い絨毯や‥壁も、深紅に模様が…おしゃれだ。
廊下を進み、とある部屋に着くと‥ノックした。
部屋から出て来た・・メイドさん・・。
「まぁ!リモーネ様?!」うっ・・。何か‥嫌な予感がするけど?
「姉上、僕は母に伝えてきます。着替えて待ってて下さい」うん。
「着替えは、私共に お任せを」お願いします。
部屋に入ると、ドレスのような服装を選び・・帽子を外して、ブラシで整えられ、戻った体の布は外され・・全て脱ぎ・・着替える。
服の後ろのリボンは‥大きく結ばれ‥。
鏡・・あるんだ・・見たら‥なんともカワイイ姿に。
これ・・誰? って、私なの?!と‥見慣れない姿になった。
コン コン コンッ
『支度は、出来ましたか?』うん。
アチェロが迎えに来て・・そのまま、母の居るだろう‥奥の部屋へと‥進む。
奥の部屋のドアをノックして、アチェロに促され‥室内へ。
そこには、やつれ・・血色の悪い女性が…ベッドに座っていた。
この人が、リモーネの母親・・だ。
「母上、姉上が戻りました」
「只今‥戻りました」なんか、緊張する。
記憶が見れないから、知らない人だもの・・。
「お帰りなさい‥リモーネ。よく無事で‥」
「こちらが、病を治す薬です。飲んで下さい」
出して・・持って来た。
鞄は・・持って行ったら‥ダメって、メイドさんに言われたのよ。
「‥えぇ。いただくわね」か細い声だ。もう・・あまり長くは‥なかった。
間に合っただけでも、良しとしなくては・・、
瓶のフタを取り‥飲み干す。内容を知ってるせいで、マズそうと思ってたけど‥。
飲んだ直後・・母の体から、光が溢れだし‥パァッと光る。
「眩しいっ」うん・・この光で、もしや…治った?
「…凄いわ」あ・・血色、明るくなってる。
うん・・・回復してるね・・。
「ありがとう‥リモーネ」いえ。はぁ・・良かった。
「おめでとうございます!母上!」アチェロも、凄く嬉しそう。
やったよ・・リモーネ。回復・・したよ。
これで‥私が来た意味も‥少しは・・・‥‥・
『あ! 姉上?!』
『‥誰か!』
…気が付いたら・・どこか、寝心地の良い‥布団の中に居た。
あれ? 夢・・だった?
『リモーネが戻って来た途端に、倒れただと?!』
『静かに‥あなた。それどころでは無くてよ』
廊下で・・声が聴こえる。誰? ここって・・ぁ・・そうだった。
リモーネの家だ。
「お目覚めに なられましたか?」メイドさん・・はい。
部屋のドアが開かれ、普段着のドレス?に着替えた母と・・もう一人は男性だ。
「リモーネ。大丈夫なの?」はい・・もう。よく眠ったので。
「帰って来た途端に 倒れたと聞いたぞ‥」
あぁ・・こっちは、父親か。凛々しい お顔ね。
・・私の態度がオカシイと思ったのか、お互い顔を見合わせている。
「出かけた早々に、高い場所から落下しまして・・記憶が‥曖昧なのです」
用意した…言い訳を伝える。
「その話は、メイド達からも聞きました。では‥家の事も、徐々に覚え直すと良いわ」はい。母上‥。
「母様でも・・良いですわよ」あ・・はい。
父親も・・何か言いたそうだけど…。話は、また後日という事になった。
夜・・。
他の兄弟 姉妹が 一同に会し・・夕食。ナイフと フォークで‥優雅に食べてる。
・・ちょっと不安だったが、そこは…リモーネの体が‥上手い事やって食べれた。
予想通り・・しばらくは、変装しての外出は‥禁止に。仕方ない。
・・・こうして、母の薬を求め、薬師を探す旅は・・・終わった。
これからは‥リモーネとして生活する。
家族と。
商人リモンは・・・休業で。
【香水】
「こうすい」と呼んでいるが アイテム名では『リモン香り水』。内容的には 香水 そのもの。
【手帳】
この世界では、皮の表紙に 中が 無地の紙の アイテムは 全 て 『手帳』と 呼ばれてる。『本』は 中に 絵や 文字が書かれてる物に 使うため 見ためで判断されてない。
※リモーネの家族については、2部 ( 116瓶 ~ ) に 入ってから。
〈 薬師 探し 完 〉




