106瓶 7人の英雄
納品依頼で訪れた先で、よもや‥あの問題児の名前を聞くとは‥。
納品したら、さっ さっと‥帰ろうとしたのに‥。
話が盛り上がってたから、気づかなかったけど‥。もう夕暮れだ。
「おう・・もう、こんな時間か‥」
話も、一段落したし・・そろそろ、お暇しよう。
「今日は、いろ いろ 話せて‥楽しかったです。そろ そろ・・」
「ちょい待ってくれ」はい?
「俺の名は、ブロスバだ。行商人をしている。ランクは3だ」
鞄に・・スカーフ付いてますから、気づいてました。
「俺は、このブロスバさんの護衛のひとりで、ブライアだ。見ての通りの冒険者さ。ランクは5だぜ」
「イスラだ。冒険者ランクは5で、ブライアの相棒だな。同じく護衛をしている」
「ご丁寧に どうも。リモンです。商人ランクは4です」お互い、名乗り合う。
最初は 嫌な感じだった‥おじさんは、普通に商人らしい人だと知ったし、色黒のお兄さんの話は、おもしろい。イスラさんは、適度なツッコミ役で。
「また、何かあれば頼む」はい。
「ギルドで‥リモン宛てに、手紙でも下されば、国内に限りますが‥。いつでも、配達しますよ」・・アレを活用すれば・・・だけど。
「ふむ。考えておこう」はい。挨拶をして、部屋を出る。
ずっと開きっぱなしだったけど‥良かったのかな?
廊下に出た辺りで‥立ち止まる私。
あれ?・・何か忘れてるような? 気のせい??
「どうした? 忘れ物か?」
物・・というより、事・・だったような・・えーーと・・。
! 思い出した!!
「あのっ!ピグロの薬は、すぐに破棄した方が良いです!」
「ん?」
「…おい、なんかこれ・・色が変わってないか?」
あー!やっぱり!! 学習してないっ!
「これ、毒になってます」色が変わってても、お金を出して買ってるからと‥捨てるの迷う人が居る。でも‥危険。
「毒?!」あ!投げないでっ!
「危ないっ」・・ナイス! イスラさんが、キャッチした。ホッ‥
「危ないだろ・・。雇い主に、かかる所だったぞ‥」
「すまん。‥すみません・・驚き過ぎて」
「以前、エキャルラット州だかでも、同じような薬に『注意しろ』って話だったな・・」・・聞いた事は‥あったみたい。
「それも、普通の傷薬が・・毒に変化してまして」
ギルド長から、言われたはずなのに。『その水は使ったらダメ』と。
「さっき、飲薬の話で‥ ” 水で薄めた ” と聞いたから、もしかしたら‥と思って」
また、変な所の水を使ったの? 人が飲む事・・何も 考えて無い じゃない。
ホント、止めてよね・・・。
「こりゃ、問題だな・・」問題 起こったら、どうせ・・私のせいにするんだろう。
私の悪評を広めるのが、目的なの?って・・疑いたくなるくらいに。
「ギルドに、注意を促しておくのが良さそうだな・・」そうですね。
「冒険ギルドは、明日 俺らが言って来る」よろしく お願いします。
「リモン、おまえ・・今夜は、どこに泊まるつもりだ?」え?
アレで転移して、チェントロの町に戻る予定だったよ‥とも言えないし‥。
・・どうやら、朝の騒動も知ってるみたい。
「あいつら、自称『お宝ハンター』とかって、言ってる奴らだろ?」
「なんで‥あの部屋に、こだわってたんだろうな?」
「あぁ・・なんか、隠し通路みたいなの・・作ってました。塞いだけど」
「隠し通路!?‥って、塞いだって・・おまえ・・。勿体ない‥」
「あまり良いイメージの‥場所でも無かったので‥」
隠し通路に、ロマンでも 思ったのだろうか? 残念でしたね。
「それなら、あいつら・・今頃‥」
『ぁ…・・・…とーーー!』ん? 遠くから‥叫び声?
「はははっ あいつらの悲鳴じゃないか?」
「宝の在処を見つけたと、先週 騒いでたからな・・」
・・だから、横取りだ なんだと、言ってた訳ね‥。はぁ~
「本当に、宝の隠し場所だったのか?」さぁ?
「開かない‥と思うので、本当かは・・知らないです」
英雄の遺産・・5つも、集めれるの? 無理でしょ。
「鍵穴とかは、無かったのか?」鍵 開けに‥自信でも有るのかな?
「無かったです。必要な『英雄の遺産』が、5つも 必要みたいでしたから」
「!?」「英雄の遺産だと?!」はい。
絶対・・と言って良い程に、無理な気がしてる。
「英雄ってのは、過去の大戦で‥魔物の王を退けたって言われてる‥あれだろう?」「しかも、その遺産って事は‥彼らの使ってた物・・か?」たぶん。
・・・しゃべったら・・ダメだったっぽい。喰いついてしまった。
今日は、帰れそうに無いね・・。
「扉を閉めよう・・。リモン・・今日は、この部屋に泊まっておけ」え?
・・客用にと、1人分・・前払いしてるみたい。そうですか?
それじゃあ、お言葉に甘えて。
『無い! 無いぞーー!!』
『誰だーー! 直した奴はーー!』
・・・廊下で‥騒いでるみたい。
直した犯人は・・私です。えへっ
名乗り出ないけどね。危なそうだもの・・・。
『ちょっと!また、あんたらかい!?‥直したって 何の事を言ってんだいっ』
‥女将さんに捕まったから、もう落ち着くだろうね。良かった。
「‥それで?」何が?
「その‥遺産が必要って、何で分かったんだ?」
・・そんなに、前屈みで・・目をキラ キラさせてないで…。
「前に取引があった冒険者の 一団も、それらを探してる風だったからな」
ああ、情報を売る前提って事ですか・・。なるほど。
・・冒険者の お二人は・・目のキラ キラを‥止められないみたい。
「私も この町に来るまでは‥冒険者のグループと、行動を共にしていましたから」
少し知ってる程度ですよ・・と、前置きしておく。
「チェントロの町‥メドレグ内にて、行先が同じだった事で‥協力関係になりまして‥」カラカテの出る、お祭りを体験し・・。
無事『オクレントの笛』を入手した。金色の装飾が美しい‥横笛。
「その冒険者らは?」名前ですか?
「アリスモス‥でした」
「おぉ!‥俺が遭遇したのも、その人らさ」お!?
・・仲良く出来たから・・・最終的に、敵対しないと良いけどね…希望。
「でも、俺らが会ったのは、女性の団長が居る‥グループだったな・・」
「大きなグループだという話だったので、間違いでは無いと思います」
「その時は・・確か・・『ガラクスの大剣』を、探してるって話だった」
「『ガラクス』って、騎士団の名前では?」
「騎士団は元々、そのガラクスって英雄が作った‥兵隊の組織だって話だぞ」
「なら、そこら辺には‥無さそうですね。騎士団で 管理していそうです」
なんなら、モルドーモの魔石品も・・だけど。
「なるほどな‥。それは伝えてやらんと・・」
・・途中、飯をどうする?って話になったので、作り置きのサンドを皆さんに配って、野菜ジュースと共に食べる。
「この野菜じゅーす‥とやらも、美味いな・・」ありがとうございます。
「どっかの奴が、少し売店で売って なかったか?」
「‥高くて、試せなかったが‥。今度は、買っても良いかもな」
「この、サンド‥は・・売らないのか?」飯屋をやる気は・・無いよ‥。
「簡単なので、食堂の方に‥頼んで下さい」
ウィリディス州では 食べれる 事を伝えた。宣伝になると良いけど。
「遺産といえば、他には‥モルドーモの魔石品は、有名だな」そうですね。
「これは逆に多過ぎて、1つに絞れそうに無いな‥」うん。
「他には、何があるか・・知ってますか?」
私は・・カラカテとの会話の中で、マルール‥って出たから、その人も英雄なのだと知ったけど‥。あとは、どうやって知り得るんだろう?
塔の見学辺りで、いろ いろ見たせいかな・・。
過去のアルクス団が・・『英雄』たち・・だとは思う。
私的には、英雄の遺産よりも・・薬師の行方の方が重要なのよ。
明日‥早朝に、町中‥散策して・・・。準備して、家にも戻りたい。
今は、情報を集めておくだけ・・そう思った。
「俺が聞いたのは『アクニヤーの盾』の話や、『リスティヒ』のは短剣じゃないか?って話だな」アクニヤーは・・初の名前だ。
リスティヒは・・カセィールさん達が開けたい扉の‥名前だったね。
「英雄は、7人 居るって話だよな?」
「それぞれが 類稀な力を保持してる、軍団長クラスだった‥と 聞いている」
「‥モルドーモ、マルール、ガラクス、ハザオン、リスティヒ、オクレント、アクニヤー‥で、7人ですね・・」
「おまえ、全員 知ってるのか!?」
「それ ぞれの話は‥知らないです」‥そんな、がっかりした顔されても・・。
「知ってるのは、名前だけ‥ですね」うん。だいたいは・・ね。
「モルドーモの魔石品は、無事に森が復活して‥軍団長から印章、商人ギルド長から、このブローチを受け取り‥。町に戻る際に‥施設内で迷子になり・・」
・・の所で、笑われた。仕方ないじゃないっ!
案内してくれる人が、誰も‥居なかったんだもの!
「それで、どうしたんだ?」
「知り合いになった兵士に遭遇して、騎士団が管理している『案内鳥』を借りれまして」‥途中 壊れて、直した話は・・省いた。
「マルールの家は、キトゥリノ州で『ルカー』っていう集団に、つけ回されてた時に利用しました」あそこで、コビトが誕生したのよね・・。
カエルレウス州に来て、ロムメット内で‥ハザオンの名前を見た。
だけどそれは、古代語が読めたからで。これは、言わなくて良いかな。
それから・・。
「外で出る敵に苦戦したので、知り合いの兵士達に‥稽古してもらいまして・・。その成果を見るためにと、同行してくれた方が‥門兵に見せた証に、ガラクスって書いてあったのを見て‥」
みなさん、時々頷いたり‥「なるほど」とか、相槌を入れて‥聞いてくれる。
「メドレグで遭遇した、アリスモスの面々から『リスティヒの扉』の話を聞いて、その鍵の1つが、カラカテが持ってる‥って 話で‥」
「今年の祭りじゃ、何人か死んだらしいな・・」はい。
「だから、いつもより‥早くに終わったんですけど‥。カラカテに‥お願いして貰ったのが、オクレントの笛です」
「ほう・・なるほどな・・」
「アクニヤーという名前は、今・・聞きました」
計7人が、英雄であり・・『アルクス団』なのだろう。
まぁ『 団 』と言ってるから‥その他、大勢‥居たのかも知れないけどね。
「それらが 今じゃ…モルドーモの魔石品は 世界中に 広まってて、ガラクスは騎士団になり、マルールの家は‥願いの強い者の前にしか現れない‥と」
「大戦があった・・なんて話も、遠い過去の話だからな・・」
「当時、何があったのだろうな・・・」
「・・・」ん?
「どうしたんですか? ブロスバさん‥」
「いや・・。なんでもない。さて、そろ そろ寝るか」
そうですね。眠くなってきたもの。
比較的きれいなベッドを、使わせて貰える事になった。
「朝になったら、起こすからな」はい。お願いします。
「おやすみなさい」
「あぁ、おやすみ‥」
・・すんなり、眠れた。
『…このっ』
『くぅっ‥無理だな・・』
『‥人を選ぶ ・・” 魔道具 ” のようだな‥』
『これが ありゃ・・』
『仕方ない。諦めて‥寝るぞ・・』
『はい・・』
チュンッ チュン
むにゃ‥朝・・。窓のカーテンは閉まってた。薄暗い。
・・まだ、少し眠い。ん? 鞄・・ズレてる。
あぁ、持ってみたのかな? 頑張って力こめてる顔・・見たかったな…。
ふわぁぁぁ…。
手洗い所に行って来よう。いや・・そのまま、家に・・でもなー・・。
・・まぁ良いか。まずは、メモに・・書き‥手洗い所に行く。
カウンター内で、飽きれ顔した女将さんを見かける。その隣の部屋は、扉が開いた状態で‥中で、2人の男性が… ぐ っ た り して寝てるのが見える。
あれが‥自称‥うん。そうみたい。
この部屋の反対側に‥小さいけど、手洗い所がある。
そろ そろ、お風呂に入りたい。
おばさんに挨拶して、部屋に戻る。
家に戻る前には・・納品の報酬も、受け取らないとね。
部屋に戻ると、みなさん起きてた。
「おはようございます」
「おう、おはよう」
「メモに、こんな高級な紙を使うなよ・・」
「ちゃんと、再利用してますから」と言うと、不思議そうな顔された。
・・再利用するのは、私・・というより、コビトだけど。
「俺らは、各ギルドに寄ったら・・他へ 行くが‥おまえは?」
「僕も、ギルドに寄ってから‥町中で、食材や 服を買いに行きます」
「じゃあ、ここで お別れだな」そうですね。
「いろ いろ話せて良かったです。失礼します」お辞儀して、部屋を出た。
さて、1階に戻って・・報酬を受け取ろう。
【ブロスバ】商人ランク 3 ( 赤 )
行商人として国内の キトゥリノ州・カエルレウス州を 行き来してる行商人。護衛2人は、長年 頼んでいる為か 友人のような間柄になっている。噂を鵜呑みにして とある大店の上着を着てた少年に声をかけたが 予想外な物が持ち込まれ辟易した直後に リモンと遭遇した。商品と共に 会話した事で誤解と分かり 謝罪する。男 / 47歳 / 既婚者 ( カエルレウス州に家が在る ) / 166cm / 青の髪 / 青の瞳 / 杖 ( 簡単な補助魔法が使える )
【ブライア】冒険者ランク 5 ( 紺 )
イスラと共に冒険者を やっている。拠点にしている家と 近所だった事もあり ブロスバ 行商の護衛を引き受けている。10年ほど続いてる。男 / 30歳 / 179cm / 長剣 + 盾 / 色黒 ( ※褐色とは違う ) / 黒髪 / 青い瞳 / 前衛。
【イスラ】冒険者ランク5
ブライアと共に、ブロスバの行商 道中を護衛している冒険者の ひとり。常に落ち着いた行動を取るが‥英雄の話は好きらしく その話題が出ると ブライアと同様な行動に。男 / 29歳 / 176cm / 弓と短剣 / 青い髪を後ろで1つ縛り / 緑の瞳 / 後衛。ブライアのツッコミ役。
※英雄たちの名前は出ても、詳しい事を 今は 語りません。ご了承 下さい。
次回、商館の中を・・うろつく羽目に…。シンドイ・・・




