10瓶 眩しさ
前日‥大雨の宿で、試し錬成してる中・・・。
商館の兄さんが来て、アバウトな依頼のまま納品。
・・翌日。今日は、前日の報酬をもらいに行こう。
チュンチュン‥
・・・朝だ。・・・眩しい な・・。
起きると‥カーテンが開きっぱなし。またですか・・。
・・昨日 大雨で、カーテン開けたまま暗くなったから、閉めるの忘れてました。
今日は、良い天気になって嬉しい!
・・あ・・・商館へ寄らないと。
朝食を頂き、出かける。
そういえば、宿・・。ずっと同じ場所…なんだよね。お風呂は無いけど、食事は美味しいし、子供の自分が泊るのを‥嫌がらない。部屋も良い部屋だし。
・・町から出る際には、宿代を払うからと…そのお金は 別に してある。
まずは、商館だ。
『・・!・・!!・・・・っ!』
・・?
左右 見渡す限りでは、誰も‥見当たらない。しかし、どこかで誰かが言い争ってるような感じがする。人の話し声だから だろうか? よく聴こえるのは。
・・と言っても、何を言ってるかまでは分からないし、知り合いでも無ければ‥関わらない方が、良さそうだ。
商館へと 近づくほどに、先程の声が・・誰から発せられてるかに気付く。
えぇ。あの問題児くんでした。でも・・商館辺りで話してる声では ない・・みたい。もっと向こう。大声で話してるんだろうな・・。
商館に着いてしまったので、声の主の場所を探すよりも、昨日の報酬を貰っておこう。
「おはようございまーす‥」
「おはよう!」と返って来て、こっちが びっくり したよ・・。
奥のカウンターのお兄さん、元気そうだ。良かった。
「へっくしっ!」 え?
声の主を探すように振り返ると、売店のお兄さんが くしゃみ をしている。・・大丈夫かしら? さすがに傷薬では・・病気は治らないと思うけど・・・。
「昨日は、突然だったのに・・ありがとね」
「いえ。お兄さんも、お疲れ様です」
・・ホント、雨の中・・大変だったろうに。
「はい。これ・・報酬ね」と・・小袋に‥沢山入ってる…気がする?
気のせい? 恐る恐る手に取ると、ずっしりとした重み を感じる。
・・何か、嫌な予感がするのは・・・気のせいでしょうか?
お兄さんは、にこ にこ しているが・・・。
「ど・・・どうも‥」と 小袋を大事に両手で持って、椅子の無い机の方へ持って行く。そして、袋を ゆ っ く り 開くと・・。
げぇっ・・ 予想以上に多い!!
えーと・・昨日、傷薬 (体力30 回復)が13コ。回復薬 (魔力20回復)が5コ。回復薬y (魔力40/50回復)が、2コと1コ。
・・いや、回復薬・・1つ いくらか知らなかったので、計算しようが無い。
195R=傷薬。@15Rとして、13コ。だから・・小銀貨1枚と大銅貨9枚、小銅貨5枚・・のはず。
でも、今・・この中に入ってるのが・・10コまとめて積み上げる。
・・・5・・えっ・・。それじゃあ・・小銀貨・・10枚×5つ・・5千R?!
大穴銀貨5枚の価値?!
ひえぇぇ・・
えーーと・・計算苦手~・・なんて、商人としてはダメ発言なので、頑張っている。うんと、5,000R-195R=4,805R・・。回復薬・・ひとまとめとして、8コとして計算して・・単純計算で・・1つ 600R?!
いやいや・・なんか、違う気がする。
こういう時に、暗算出来るとか‥頭良い人とかなら、パパパッて 計算出来るんだろうけど・・あぁ・・頭痛い。クラ クラしてきた。
だ・・・大事に仕舞って、大事に使おう。よし。
ふぅ~・・と、無駄に冷や汗をかいた。
・・・ふと、小さいハンカチすら‥持ってない事に気付く。
遅いよね?遅いですね‥。
「確認は済んだか? 済んだら、こっち来い」ギルド長が 呼んでます。
今度は、何でしょう・・・。
「…おまえさん、この町の専属になる気は無いと言ったな・・」
「‥‥はい。それが?」
「町から出たいのか? 理由は‥‥何だ?」
「あぁ‥えっと、親の病を治す・・薬が作れる人を 探しに行きたくて」
先程の大金受け渡し後の雰囲気とは違い、場がヒヤッとするような空気になる。
「親の? 魔法じゃ、治らんのか?」
「‥それが・・そう、みたいで」
自分の母親が『マナリジェクト症』と告げると、ギルド長は真面目な顔で「誰が作れるか知ってるのか?」と聞く。一応・・と言うと、何か考え込み始める。
・・ランクが上がる訳では無いようだから、依頼でも見てよう。
・・なんだろう? 横から視線を‥感じる。
横を向くと、いつもの元気なお兄さんは、不思議そうな顔で私を見ている。
首を傾げると、大金が手に入ると‥普通は、しばらく仕事をしない人が大半なのだとか。まぁ、普通は・・そうでしょうね。
「ゎた・・あ、いや・・えっと‥。自分は、この町を出て‥薬を作ってくれる人を探したいので、旅費は多い事に越したことはないのですよ」大金は大金だけど・・。武具に、いくらかかる かも分からないから、すぐ無くなりそうだし。出来るだけ、依頼は受けておきたい。
・・・なんせ、未だに許可書状も…貰えないし。
お金より書状をくれ・・と、言いたくなる。言わないけど。
・・あら? 黄色の紙・・。前は、手を伸ばしても届かなそうな所に在ったのに、今は 少し背伸びすれば‥届きそう。
・・でも『薬草10本 納品』とか、ディングル草・・って何?
あとは・・カプカの実?? 何?! 知らないの ば か り。
・・・やはり、北へ 向かうか・・。
傷薬もあるけど・・。昨日・・あるだけ・・出したし。在庫 無し。
素材も無いから、拾わないと。
「やっぱり、今日は‥やめておきます」と言って商館から出た。
まだ朝の時間帯だ。そう言えば・・商館へ入る前まで聞こえていた声は・・聞こえなくなっていた。
終わったみたいで、良かった。
北へと進む。ケントニス店を越えた先に、あるらしい。
・・もちろん、東側ではなく西側にも同様の森が‥広がっているみたい。
だけど昨日の地図で自宅が、西側北にあるらしいと知ったので、近づかない方が良いだろうと判断。今の時点で見つかるのは、マズイって思うから。
お腹が空いたら、数日前に購入した‥果物を食べる予定だ。
このアイテムバッグの中は、時間が止まってるかのように買った時のまま。
熟れもしないし、異臭もしない。
なので、穏やかな場所なら・・どこかに座って食べたい所だ。
真っすぐ長い道は、平坦ゆえに・・長いっ と感じる。
あ・・ケントニス店 見っけ!
寄って行きたいけど、後にする。見てたら・・夜になりそうだし。雑貨屋の中を見て周るだけで…時間経つの早いから。ある ある ですね。
お店を越えると、家がチラホラってくらい、少なくなってくる。森・・? 森かなぁ? ” 森 ” ・・というより、雑木林という方が合っている。
・・・地図では、 森 と表記されてたけどね・・。
入口・・というような、畏まったものは無いし、兵士が立ってたり・・も無い。奥に続く道。‥人が、踏みしめた道がある だけで・・これと言って、他に何も言う所が無い。強いて言うなら、雑草 伸び放題 枯れ放題。
草は草でも、枯草は・・また、違うのかな?
・・気になるけど、ここで錬成するのは・・ちょっと・・・。
町中に近い場所にあるから、人の目がある。鑑定しつつ、草や枯草、雑花・・。木から舞ってきた葉も、拾い集める。
・・・草や雑花は、それらで縛れるけど‥。葉を まとめる為には、ガラス瓶に入れる必要が出て来る。木の小枝や・・木の皮・・。それから、枯葉ではなく・・木についてるのも、数枚 採った。
ふと、足元を見る。
・・・・・変なの。
・・ 綺麗な円 で、地面が剥き出しになっている場所がある。
そこだけキレイに刈り取った・・というように。
いつから、そうなってるのかは 知 ら な い が・・。
‥そんな事より入れ物が、もう無いぞ…。どうしようかな?・・そうだ!
人の目に触れないように、鞄から物を出す仕草をしつつ・・草を錬成。
はい。ガラス瓶と共に出てきた。ケガした訳ではなく…この入れ物の方が、欲しいのです。中身を捨てて・・って、どこに捨てよう?
・・・あの、地面 剝き出しの所でいいか。
人々は昼飯 時間な為か、雑木林の近くに居なくなったのを、これ幸いっと、円の中心に捨てていく。捨てたら、お湯が冷めた方の水で濯いで、同じ所へ捨て・・軽く水気をきる。その後、素材を入れる・・の繰り返し。
途中、掲示板に書かれていた『 ディングル草 』の花の蕾のような部分を触ったら、ビリッ と、静電気のような痛みを感じて驚いて「ゎちっ」…変な声が出た・・が、誰も居ないようで…何より。ふぅ。気を付けないと。茎の部分は 大丈夫そうだったので、革袋の中へ そっと仕舞った。これが、3本見つかる。
少し、先へ行ってみた。と言っても‥薄暗くなる木々のトンネルへ‥入る気には なれず、その手前まで見て周る。雑草の中で地図を展開し、もう一つの『 カプカの実 』を探した。すぐ近く と、点滅する。 え?どこ?
・・実と言うからには、上か?!
あ・・あれ・・かなぁ? でも、届きそうに…ありませんね・・。
長ーい棒か、スリングショット系か、弓でもないと・・取れそうにない。近くの木になってるなら、登っても良かったが。わりと遠くにあるのよ。
・・・気になるけど、ある と分かっただけで、ヨシとしよう。
来た方へ戻っていく。丸い円は・・私が捨てた・・傷薬で 緑に なってます。太めの木の棒でならし・・円を目立たせないように埋める。
・・傷薬の効果で、地面も治ったりするのかしらね? 知らないけど・・。人が来ない内に・・去ろう! と、やや足早に雑木林から離脱!
帰り・・ケントニス店へ 入る。・・あの時のお兄さんが、忙しく働いてる。前回は、納品する というイベントで・・店内 見なかったから、ゆっくり見よう。
ぁ・・タオル在った! 色も、淡い色合いキレイで ふわふわ だぁ。
2つ・・色で迷って…結局、どっちも買う事に決めて、石鹸を見つけた。
・・・なんか、いろんな色があるけど、みんな形が長方形だ。うーんと迷って、白を買う事にした。何か、薄い袋に入ってる。上質な布・・みたいな手触りだけど、何だろうか?
それから桶‥は、さすがに無いようだった。あと、乾かすセーカも。残念。
素材入れ用のガラス瓶を・・よぃしょっと‥2つほど、抱える。買い物カゴが欲しい。それは、この世界に浸透させる所から始めないと 無理 め。
あぁ・・これは・・・アリなんだ。
傘は無いけど、防水タイプの ポンチョ! フード付き。欲しい・・が、今・・・両手塞がってて 持てないぞ・・「お客様、商品をこちらのカウンターへ お運びしても よろしいでしょうか?」と後ろから声をかけられる。見かねた店員さんが、声をかけてくれたみたいだった。は・・恥ずかしい。
「す…すみません・・お願いします‥」と言って、運んでもらう。お手数かけますね。これで、ポンチョも買える!つか、持てる!
・・色は、何が良いのだろうか?
・・好きな色は、別に無いけど・・緑色があったので、それにした。
これで、長靴みたいなのがあれば・・完璧?
店員へ 渡し「これ全部 買います」と伝えると、少し驚いた顔をしたけど、すぐ対応してくれる。前に納品に来た時と同じで、笑いそうになってしまった。お金を払うと、鞄へ入れていく。
「あの‥」
ん? 何か・・え? お兄さんが、何か言おうとしている。
「どうかしましたか?‥金額、間違えました?!」
「いえ、そうではなく。リモンさん・・で合ってますか?」
へ? リモン・・リモン・・・えーと、あぁ!私の名前か。
「はい。そうですよ」慌てた素振りも 素知らぬ顔で 返事をする。
「ぉお。先日は 貴重な薬草 を使用した、傷薬を納品して頂き、誠にありがとうございました。お陰で当店は、大口の注文に対応 出来ました。報酬は多めにしておきましたが、受け取りましたか?」
「報酬は、受け取りました」と伝える。しかし・・薬草は使ってないぞ‥。
穏やかな笑顔で、見てくる・・。えーと・・そうだな・・うん。
「お役に立てたなら、何よりです」と会釈して、その場を去った。
・・・きっと あの人には、素敵な彼女さんが居る事だろう。そんな感じの笑顔だ。振り撒いて・・良かったのだろうか?笑顔・・。 まぁ、他にお客さん居なくなってたから‥大丈夫・・だよね?
・・脳内に、しばらく・・あのお兄さんの 笑顔 が・・表示されるな・・と思いながら、傾いていた日を見て、足早に‥宿への道を進むのだった。
広すぎる町、ア ル ド ル ・・。
お陰で素材は‥いろいろ大量GET だけど、宿までが遠い!
そして他の店に寄る余裕が無い! 夜は怖いので、早く帰りたい・・。
・・ダメだ・・先程の笑顔が消えません・・。
【予想外な報酬】これは、以前の納品で効果が高い薬だったのにも関わらず、安い金額の報酬を払ってた事もあり、差額分と時間が掛かった事による延滞金。それから騎士団 案件という事で、通常よりも高い金額で購入される為に、今回 多くの金額が上乗せられた。普通に計算しても合わないのは、そういう理由。
次回・・もう ひとつの雑貨屋へ・・それから、武器と防具と・・・




