第二十二部 ヒノデ
旅館では季節替わりのイベントが始まっていた。
庭一面に紅葉の装飾。
本物のもみじに自然エネルギーで色づけした葉が、はらはら舞ってる。
縁側には――
秋限定団子
・焼き栗団子
・さつま芋餡団子
・かぼちゃ蜜団子
そして渋茶はほうじ茶ブレンド版。
エーテルは頭に手拭い巻いて接客。
「秋はな、心を休ませる季節だ」
(ただし団子は増える)
秋の目玉イベントその1
紅葉くじ引き大会
葉っぱ型の札を引くと…
・団子無料券
・くつろぎ箱ミニ
・エーテル手作り煎餅
・たまに超レア自然エネルギー茶葉
ルミナとネメシスが巫女コスで配る。
客「ここ天国?」
イベントその2
焼き芋囲炉裏トークナイト
火を囲んで人生相談。
エーテルが静かに聞いて、
「それでいい。人は迷いながら強くなる」
相談者、だいたい泣く。
難波塾の生徒も混ざってくる。
そして問題のやつ。
イベントその3
秋の和装デー
全員、着物。
かや → 完全に旅館女神
セラ → 絵画レベル
イリス → 白磁のような美
メクル → 引きこもりなのに破壊力
そして――
ネメシス(女物着物)
客、即昇天。
さらに夕方になると
月見団子パーティー
エーテルが月を見ながらぼそっと言う。
「昔は戦場でこれを見てた」
一瞬しんみり――
ルミナ「団子もっと!」
空気破壊。
結果:
久世庵は
癒し空間
グルメ天国
人生立て直しスポット
推し発生製造所
になってしまう。
エーテルは縁側で渋茶すすりながら一言。
「……俺、旅館向いてたな」
かや「働けばね?」
エーテル「……」
夕暮れの久世庵。
紅葉がひらひら落ちる庭。
縁側に座布団敷いて、硯と筆。
エーテル、正座。
「……秋は言葉を削る季節だ」
(なお団子は横に山盛り)
エーテル俳句教室 開催
ルミナ、ネメシス、琥珀、ひなたが囲む。
ルミナ「パパそれなにー?」
エーテル「世界を五・七・五に封じる技だ」
ネメシス「スケールでか」
エーテルの第一句
『紅葉散り 戦なき空に 湯気の茶』
全員「急に深い」
かや「戦場経験者は違うわね……」
子供たちも挑戦
ルミナ
『だんご食べ 気づけば秋が 終わってた』
エーテル「それは俺だ」
ネメシス
『着物きて 褒められすぎて 動けない』
客の悲鳴聞こえる。
琥珀ガチ勢
『焚き火音 心の棘が ほどけゆく』
エーテル「才能ある」
琥珀照れる。
エーテル渾身の一句(夜)
月を見上げて静かに。
『月冴えて 帰らぬ友の 名を呼べば』
恒一のこと。
その場、無音。
風だけ鳴る。
かや、そっと隣に座る。
「……エーテル、秋は思い出も連れてくるのね」
エーテル「忘れられるほど、軽く生きてきてない」
そのあと空気を戻すために
ネメシス「団子季語に入ります?」
エーテル「入る」
即復活。
結果:
久世庵秋イベントに
俳句回廊コーナー誕生
客の俳句を灯籠に吊るしてライトアップ。
SNS大バズり。
紅葉がすべて落ちきった翌朝。
縁側の柱に――
うっすら白い霜。
ルミナ「……寒っ!?白いの降ってる!!」
ネメシス「雪だ」
ひなた「え、もう冬!?」
でも久世庵の中に入った瞬間。
ぽわぁ……っとした空気。
床も廊下もほんのり暖かい。
息が白くならない。
橘蒼「……あったか……天国……」
杉原「床暖房どころじゃないですよこれ……」
エーテル、湯のみ持ちながらのんびり。
「自然エネルギー循環式だ
山の気温が下がれば下がるほど、内側が暖まる」
ナポリネス「意味が分からない理屈だ」
イリス「でも理論上は成立してるのが腹立つ」
外は銀世界。
中は春みたいな快適さ。
雪がしんしんと降る庭を眺めながら
縁側で団子と渋茶。
もう優勝。
ルミナ「パパ……ここずっと住みたい」
ネメシス「わかる」
琥珀「帰りたくないです」
客全員「帰りたくない」
冬の久世庵、強すぎる
・廊下ほんのり暖かい
・布団に入った瞬間ぬくぬく
・湯気立つ庭園露天風呂(雪見)
・団子+渋茶が冬仕様に進化
口コミ:
「雪の中で春にいる感覚」
「現実バグってる」
「ここ天界?」
夜。
雪の音だけが静かに響く中。
エーテルは縁側で一人。
「……季節は早いな」
かやが隣に座る。
「でも、こうして一緒に見れるなら悪くないでしょ」
エーテル「……ああ」
静かに肩を寄せ合う。
旅館の裏に広がる――
市有地の山まるごと解放。
そこに立つ看板。
久世庵 雪まつり会場
雪の彫刻自由参加
朝からもう大騒ぎ。
シャベル持った町の人
学生
常連客
観光客
全員テンションMAX。
ルミナ「雪でお城つくる!!!」
ネメシス「じゃあ俺ドラゴン」
琥珀「え、無理ですよそんな巨大なの……」
エーテル(すでに自然エネルギーで土台を一瞬で圧縮成形)
「崩れない基礎は作っておいた」
全員「仕事が神」
彫刻メンバー暴走
アーク → 筋肉雪像(無駄にリアル)
ナポリネス → 幾何学芸術作品
イリス → 内部に光源仕込んで夜発光
メクル → 雪で都市模型作成
もうプロ超えてる。
一方かやは子供たちと一緒に――
可愛い雪だるま量産
エーテルはそれを写真撮りまくる。
(後で額に入れるレベル)
夜:ライトアップ開始
日が沈むと同時に――
イリスの仕掛けで彫刻が淡く発光。
雪の城
雪の龍
雪の街
雪の神(なぜかエーテル似)
幻想世界。
客たち息止まる。
「……無料で見ていいやつじゃない」
屋台ゾーンも開設
・冬限定団子
・渋茶ホット強化版
・甘酒(自然エネルギー仕込み)
・煎餅あったか焼き
人の流れ止まらない。
ネメシス、子供たちと雪合戦無双。
ひなた「歌姫が普通に転んでるの尊い……」
琥珀「雪だらけですよ!拭きます!」
エーテル、無言でネメシスの頭の雪を払う。
ネメシス(即ときめき)
雪まつりの締め
最後は――
エーテルが空に自然エネルギーで雪の花火。
粉雪が光って舞い落ちる。
静かなどよめき。
かや「……ほんと、やりすぎ」
エーテル「冬は短いからな」
雪の降る庭の中央――
ドン!!!と置かれた業務用レベルの巨大鍋。
中では
霜降り肉
地元野菜
ネギ
豆腐
しらたき
がぐつぐつ音を立ててる。
湯気がもう反則レベル。
難波(腕組み)
「冬はこれだろ。
寒いほど、うまくなる」
完全に職人顔。
宿泊客は“冬限定特別御膳”
館内では――
雪見すき焼き御膳
自然エネルギー育ち野菜の小鉢
あったか煎餅汁
エーテル渋茶・冬仕立て
もう料亭超え。
客「……これ旅館料金で出る内容じゃない」
庭はお祭り状態
ルミナ「おかわり!!!」
ネメシス「肉多めでお願いします!」
琥珀「皆さん、熱いので気をつけて!」
ひなた「外で食べる鍋って最高ですね……」
エーテルは鍋を覗いて一言。
「火加減、完璧だな」
難波「だろ?」
職人同士の無言の握手。
名物になる瞬間
常連客がSNS投稿。
「雪景色×巨大すき焼き鍋=天国」
一晩で拡散。
翌日予約殺到。
かや(頭抱える)
「……またイベント増やしたでしょ」
エーテル(目逸らし)
「冬は短い」
久世庵・冬の名物決定
雪まつり
光る雪彫刻
難波のすき焼き祭
冬限定御膳
完全に:
“冬に行けなきゃ人生損する旅館”認定
旅館の営業は年末休業。
だけど――
フリースペースは灯りがついてて
温泉は湯気もくもく
難波塾は自習組が最後の追い込み。
久世庵は“生活”として生きてる感じ。
縁側ではエーテルが湯のみを持って雪を眺める。
「……今年も終わるか」
自然エネルギーでほんのり暖かい空気。
寒いのに寒くない、不思議な空間。
ルミナが走ってくる。
「パパー!年越し団子焼けた!」
ネメシスも続く。
「焦げる前に来てよ!」
フリースペースでは即席年越し会。
団子
渋茶
難波のすき焼きの残りスープで作った〆うどん、もう反則のうまさ。
セラ「一年早かったわね」
アーク「相変わらず騒がしかったけどな」
ナポリネス「統計的に見ても異常な密度の一年だ」
イリス「でも楽しかったでしょ?」
温泉組も入れ替わり立ち替わり。
湯気の向こうで笑い声。
「今年も生き延びたな〜」
「普通の一年じゃなかったけどな!」
難波塾では受験生が最後の一問に挑んでる。
難波「今年の努力は裏切らねぇぞ」
エーテルが差し入れ団子置いていく。
「無理はするな。でも諦めるな」
その一言で空気が締まる。
そして23時55分。
フリースペースに全員集合。
テレビのカウントダウン。
ルミナがエーテルの腕にしがみつく。
ネメシスも反対側から。
「離れないからね」
「今年最後だからな」
10
9
8
7
雪がしんしんと降る。
3
2
1
「明けましておめでとう!」
拍手、笑顔、団子落とす人、温泉帰りで湯気のままの人。
エーテルは静かに言う。
「今年も……よく生きたな、俺たち」
かやが隣で微笑む。
「来年もよろしくね」
ルミナ「来年もずっと一緒だよ!」
ネメシス「当たり前でしょ」
久世庵の新しい一年が、静かに始まる。
元旦の朝 ― 久世庵
まだ薄暗い時間。
難波とナポリネスはすでに動いていた。
難波「忘れ物ないな?受験票のコピー持ったか?」
ナポリネス「鉛筆より理論武装だ。だが縁起物も大事だ」
塾生たちは緊張で顔が硬い。
でも――
「先生たちがいるなら大丈夫っす」
って言葉が出るあたり、もう信頼がすごい。
そして一行は先に神社へ向かう。
⛩ 初詣の神社(早朝)
白い息。
石畳に霜。
参拝客の列。
ナポリネスは静かに生徒を整列させる。
「祈るのは神頼みではない。自分の努力に最後の保証を与える行為だ」
難波「緊張してるやつほど大きく深呼吸しろ」
塾生たちが順番に手を合わせる。
パン、パン。
「受かりますように」じゃない。
「やり切れますように」
に変わってるのが、難波塾らしい。
少し遅れて ― エーテル達合流
寒い。
普通に寒い。
雪がちらついている。
ルミナ「寒い寒い寒い!」
ネメシス「指の感覚ない!」
ミラとルークも震えてる。
だが――
エーテルが無言で手を広げる。
じんわり、空気が温かくなる。
自然エネルギーが体表から滲み出る。
まるで移動式こたつ神。
ルミナ「……あったかい」
ネメシス「ずるい、それ反則」
かやがじっと見る。
「地球に負担かけてないでしょうね?」
エーテル「局所的。消費ゼロに近い」
ちゃんと制御してるあたり成長してる。
生徒たちと合流。
難波「お、来たな」
ナポリネス「温度が5度上がったな」
塾生たちが驚く。
「え、先生あったかくないですか?」
エーテル「気のせいだ」
気のせいではない。
絵馬を書く時間
生徒たちは
・第一志望校合格
・家族を安心させる
・自分に勝つ
それぞれ真剣に書く。
エーテルは少し離れて見ている。
かやが横に立つ。
「あなたは書かないの?」
エーテル、少し考えてから書く。
『今年も守れますように』
それだけ。
おみくじタイム。
ルミナ:大吉
ネメシス:吉
ミラ:末吉
ルーク:中吉
ナポリネス:大吉
難波:吉
エーテル……
「凶」
全員「え?」
エーテル「まぁ俺らしい」
内容:
“己の力を過信するな。静かに支えよ”
かやがくすっと笑う。
「ぴったりじゃない」
帰り道。
屋台の甘酒。
ルミナ「熱っ!」
ネメシス「舌やけどした!」
エーテルは自分の分を少し冷やして渡す。
塾生が小声で言う。
「……なんか、家族っていいですね」
難波が聞こえないふりして微笑む。
そして久世庵へ戻る。
塾生たちは午後から自習。
エーテルは縁側で一言。
「合格祈願は終わった。あとは勝ちに行け」
静かな熱。
久世庵は年始休業モード(8日まで)。
仕事もイベントも止まって、完全オフの日常。
朝はみんなバラバラ。
・ナポリネスは塾の問題研究
・イリスとレオンは工房こもり
・セラとグアラは団子の新メニュー案
・ルミナとミラとルークは庭で雪遊び
・難波は囲炉裏で読書
そして――
エーテルとネメシスはこっそり外へ。
「……あの2人、どこ行くと思う?」
ネメシスが小声。
エーテル「正月デートだろうな」
視線の先には
ひなたと神谷。
厚着して並んで歩いてるけど距離はまだちょっとぎこちない。
神谷が何か言って
ひなたが笑って
顔赤くしてうつむく。
ネメシス「初々しすぎて眩しい」
エーテル「若いなぁ……」
完全に保護者目線。
2人は神社とは別方向へ。
屋台通り。
たい焼き買って
ココア飲んで
ベンチに座る。
神谷が勇気出して言う。
「今年さ……もっと一緒にいよ」
ひなた「……うん」
エーテルとネメシス、電柱の影から見守り。
ネメシス「告白後の安定期突入ですね」
エーテル「尊い」
そのあと2人は小さな公園へ。
ブランコ並んでこいでる。
沈黙も気まずくないやつ。
ひなたがぽつり。
「久世庵で働けてよかった」
神谷「俺も。君に会えたし」
エーテルが静かに親指立てる。
ネメシス「これはもう勝ち確カップルです」
帰り道。
ネメシスが言う。
「エーテル、ああいう普通の幸せってどう思う?」
エーテルは少しだけ空を見る。
「……眩しいし、強い」
「世界救うより難しい時もある」
ネメシス「でも守りたいですね」
エーテル「だから旅館やってんだろ」
その頃の久世庵では
ルミナが雪だるまに顔描いて
セラが本気アート雪像作って
ナポリネスが数学的に雪の強度計算して
レオンが雪で謎装置作ろうとして怒られてる。
完全平和。
エーテルがぽつり。
「今年は穏やかでいいな」
ネメシス「嵐起きるフラグ立てないでください」
朝。
エーテルの自然エネルギー暖房でぬくぬくの大広間。
ルミナが叫ぶ。
「お正月といえばーー遊ぶ!!!」
ミラ「まずは羽子板!」
ルーク「こま回し!」
ネメシス「全部やりましょう」
正月バトル開幕
まず羽子板。
ルミナ vs ミラ
ネメシス vs アーク
セラ vs イリス
エーテルは審判。
ルミナの一撃が異次元。
「えいっ!!」
羽子板が空気切り裂いて壁に刺さる。
エーテル「力は禁止!!」
ルミナ「てへ」
ミラ「てへじゃない!」
ネメシスは本気で美しく返すタイプ。
アークは筋肉で打ち返す。
羽が粉雪みたいに舞う。
セラは優雅、
イリスは計算軌道、
完全スポーツ化。
こま回し地獄
レオンが謎の改造コマ出そうとする。
エーテル「普通のでやれ」
結果
ルークのが一番長く回る。
ルーク「えっ勝った」
ナポリネス「回転軸が完璧だな」
普通に分析始まる。
百人一首(ほぼ戦争)
読み手:かや
上の句言い終わる前に
ネメシスが消える。
札が全部なくなる。
エーテル「瞬間移動禁止!!」
ネメシス「反射神経です」
誰も信じない。
セラとアークは本気取り合い
ナポリネスは記憶力無双
イリスは確率読み
完全に知能戦争。
ルミナだけ
「えっと…きれいなやつ!」
雰囲気で取る。
最後は福笑い
目隠しエーテル。
ルミナが配置担当。
完成。
目:耳の位置
口:おでこ
鼻:顎
全員爆笑。
ネメシス「新種の神です」
夜。
囲炉裏でみかん。
みんなゴロゴロ。
ルミナはエーテルの膝。
ネメシスは反対側にくっつく。
セラは後ろから肩にもたれ。
アークは床で寝転ぶ。
エーテルがぽつり。
「こういう正月……悪くないな」
かやが笑う。
「やっと普通の家族してるね」
エーテル「俺、世界よりこの時間守りたい」
ネメシス「それが一番難しいんですよ」
雪が静かに降る久世庵。
戦争も陰謀もない
ただの幸せな正月。
夜の久世庵。
雪がしんしんと降る静かな時間。
囲炉裏の火だけが揺れている。
ネメシスが少し緊張した声で言う。
「……みんなに、お願いがある」
エーテル「どうした?」
ネメシス「音楽、ちゃんと始めたいんです」
ルミナ「もう始まってるじゃん!」
ネメシス「でも今回は……家族で歌いたい」
一瞬、空気が止まる。
セラが微笑む。
「素敵じゃない」
アーク「アカペラか?」
ナポリネス「音程は任せろ」
イリス「ハーモニー計算する」
レオン「科学的に完璧な声帯振動を——」
エーテル「黙って歌え」
家族アカペラ開始
ネメシスが静かに主旋律。
透き通る中性的な声が夜に溶ける。
まるで雪が音になったみたいな歌声。
そこに——
ルミナの無邪気でまっすぐな高音
セラの包み込むようなコーラス
アークの低く力強いベース
ナポリネスの正確すぎるハモリ
イリスの美しい音階調整
レオンの不思議と心地いい共鳴音
メクルの静かな裏旋律
グアラの生命みたいな温かさ
そして最後に
エーテルの声。
優しくて、少し震えてて、深い。
歌詞はなくても伝わる。
「生きていること」 「家族であること」 「離れないこと」
全部が音になって流れていく。
歌い終わった瞬間。
囲炉裏の火がパチッと鳴る。
誰もすぐに喋れない。
ルミナが小さく言う。
「……ネメシス、すごい」
ネメシスは目を潤ませながら笑う。
「みんながいるから歌えました」
エーテルはそっとネメシスの頭を撫でる。
「始動だな」
ネメシス「はい」
エーテル「世界に出してもいい」
ネメシス「……怖いけど」
エーテル「家族が後ろにいる」
ネメシス「最強ですね」
その夜。
ネメシス音楽活動、正式スタート。
最初の動画タイトルは――
「家族で歌った、はじまりの歌」
冬の極寒!?水風呂チャレンジ(安全版)
出演:
エーテル(余裕ぶる)
ネメシス(負けず嫌い)
琥珀(静かに闘志)
アーク(体仕上がってる)
神谷(なぜか巻き込まれ枠)
企画内容(安全ルール)
水風呂は常温水+外気が寒いだけ
制限時間は最大3分
医療用ブランケット常備
難波&ナポリネスがタイム管理
イリスが体温モニター監視
エーテル「これは根性じゃない。戦略だ」
ネメシス「いや普通に寒いですけど」
1人目:神谷
入水3秒
神谷「むりむりむりむりむり!!!」
脱落。
コメント欄:
一般人のリアクション助かる
風邪ひくなよw
2人目:琥珀
静かに入る。
1分経過。
顔真っ青。
エーテル「琥珀、もういい」
琥珀「まだ…いけます…」
1分20秒で強制終了。
コメント欄:
無理しないで!!!
守ってあげたい枠
3人目:ネメシス
入った瞬間震えながらも耐える。
「僕は歌手ですから…肺は強いです…!」
2分突破。
エーテル「出ろ」
ネメシス「まだ…」
エーテル、無言で抱き上げ強制終了。
コメント欄爆発:
父上きたあああああ
抱っこ救出最高
優勝はもうネメシスでいい
4人目:アーク
筋肉でいけると思ってる男。
余裕顔。
1分半。
震え始める。
2分。
歯がガチガチ。
アーク「寒くない」
エーテル「震えてる」
2分15秒で脱落。
コメント:
王子様震えてて草
でもかっこいい
最後:エーテル
ゆっくり入る。
表情変わらない。
1分。
2分。
3分。
ナポリネス「もう上限だ」
エーテル「そうか」
普通に出る。
体から湯気。
ネメシス「ずるい」
エーテル「自然エネルギーで体温維持してないぞ?」
イリス「ほんとか?」
結果
1位 エーテル
2位ネメシス
3位 アーク
罰ゲーム: 神谷が温かい甘酒を作る。
オチ
動画の最後。
エーテルが言う。
「寒いのは水じゃない。孤独だ」
ネメシス「やめてください重くなる」
全員爆笑。
正月三が日明け。
フリースペースに社員&バイト全員集合。
美緒
杉原
ひなた
橘蒼
琥珀
新人たちもズラッと並ぶ。
みんな
「……なんだろこの集まり」
って不安そう。
エーテル、静かに立つ
「正月だ」
「今年もよく働いてくれた」
「だから——お年玉だ」
封筒の山をドン。
中身を開けた瞬間
美緒
→「……え?」
杉原
→「え????」
橘蒼
→声出ない
ひなた
→手震えてる
琥珀
→固まる
新人
→全員フリーズ
金額
普通の“寸志”じゃない。
臨時ボーナスレベルじゃなく人生変わるレベル。
・学費数年分余裕
・借金返せる
・一人暮らし余裕
・楽器買える
・将来貯金できる
レベル。
ざわつく空間
「え……これ間違いじゃ……?」
「ゼロ多くないですか……?」
「夢……?」
エーテル普通に言う
「頑張った対価だ」
「働く人間が報われない世界は嫌いだ」
「それに——」
少し笑って。
「ここは家族みたいなもんだろ」
即泣きコース
ひなた
「……ここ来て人生変わりました……」
橘蒼
「料理、もっと頑張ります……!」
杉原
「一生ついてきます……」
美緒
「久世庵ブラックじゃなくて神でした……」
琥珀
無言でエーテルに抱きつく。
ネメシス小声
「父上、これもう企業じゃなくて宗教です」
エーテル「違う」
「ただの職場だ」
かやの一言(女将)
「でも調子乗ったら即減給ね?」
一同「はい!!!!」
締め
エーテル心の声:
金なんてまた作ればいい
でも信頼は金じゃ買えない
久世庵、さらに結束強化。
旅館は年始休業中。
でも――
久世庵の前に現れる一台の和風キッチンカー。
側面には手書き風で
「久世庵 団子処」
の文字。
ハンドル握る琥珀
「発進します、エーテルさん」
エーテル
「頼んだぞ名ドライバー」
ルミナとネメシスは後ろでテンションMAX。
「動いた!動いた!」
臨時スタッフ
焼き担当:エーテル
接客補助:ひなた
会計&呼び込み:神谷
運転&補充管理:琥珀
完璧チーム。
開店5分後
……
列。
正月の人出で即行列。
「旅館やってないのに団子だけやってるらしい」
「久世庵の渋茶付き団子!」
噂拡散早すぎ。
エーテル焼き職人モード
団子をひっくり返すたびに
・焦げ目完璧
・香ばしさ極上
・自然エネルギー微調整火力
ひなた目キラキラ。
「屋台レベルじゃないです……」
神谷呼び込み
「今なら温かい渋茶つきでーす!」
「受験生応援団子あります!」
声がよく通る。
小事件
子供客
「この団子、人生で一番うまい」
エーテル
「まだ人生長いぞ」
おばあちゃん客
「この味……昔食べた団子にそっくり」
エーテル一瞬黙る。
「そうかもしれません」
昼前には完売
琥珀
「補充、間に合いません!」
ひなた
「列止まらないです!」
神谷
「もう整理券出しましょう!」
ネメシス
「人気すぎでは?」
エーテル苦笑
「……また仕事増えたな」
でもどこか嬉しそう。
締め
自然エネルギーの湯気の中、団子の香りが街に広がる。
久世庵は閉まっていても――
エーテルの居場所はちゃんと動いてる。
キッチンカーの看板に新しく札が増える。
冬限定
・雪だるま団子
・干支団子(今年の守り神仕立て)
ルミナがはしゃぐ。
「かわいい!!食べるのもったいない!」
ネメシス
「これは写真撮られるやつだね…絶対」
雪だるま団子
・白団子2段重ね
・ほっぺはほんのり桜色
・目は黒蜜粒
・小さなみかん風団子付き
ひなた
「芸術作品ですかこれ…」
エーテル
「食べ物だ」
干支団子
丸団子を組み合わせて
その年の干支を再現。
・ほんのり抹茶&きな粉風味
・縁起担ぎで中に甘あん入り
神谷
「正月限定感えぐいですね」
販売開始3分
「なにこれ可愛すぎ!」
「干支団子縁起良さそう!」
「雪だるま溶ける前に買お!」
また行列。
SNS即拡散
《久世庵の冬団子、反則級》
《可愛いのに美味すぎる》
《干支団子、受験生全員買ってる》
トレンド入り寸前。
エーテルぼそっと
「団子屋のつもりだったんだが…」
琥珀
「もう観光名物です」
小さな感動シーン
雪の中、手袋した子供が雪だるま団子を見て
「冬って楽しいね」
エーテル、静かに笑う。
カッゴシーマ最大級の人の流れ。
駅直結、買い物客、観光客、学生、家族連れ――全部が交差する場所。
そこに並ぶ久世庵キッチンカー。
久世庵 冬団子イベント出陣メンバー
・エーテル(職人&客引き静か担当)
・琥珀(会計と仕切りの鬼)
・ネメシス(ビジュ担当・呼び込み)
・ルミナ(かわいい係)
・ひなた(SNS撮影係)
・神谷(試食配布&声出し)
ネメシスの一声で空気が変わる
「冬限定、雪だるま団子でーす!」
その瞬間――
振り向く人の数が異常。
女子高生
「え、あの子なに!?可愛すぎ!」
観光客
「アイドル来てる?」
団子が並んだ瞬間、勝ち確
雪だるま団子
干支団子
写真撮影大会スタート。
ひなた
「もう#久世庵団子 トレンド入りしてます!」
琥珀のレジが戦場
「次の方どうぞー!」
「お釣り出ます!」
「袋いりますか!」
プロすぎる。
ルミナの破壊力
「ありがとうございまーす!」
これで追加購入発生率アップ。
エーテル、静かに職人無双
焼き加減完璧
盛り付け芸術
一切無駄なし
通りすがりのおじさん
「なんだこの団子…本物だ…」
結果
開始30分でほぼ完売
午後には整理券状態
アミュ側スタッフが次回出店依頼
琥珀ぼそっと
「これ…毎回呼ばれますね」
エーテル
「団子屋のはずなんだがな」
ネメシス
「もうイベントスターだよ父上」
みんながそれぞれ――
団子カー手伝ったり、動画撮ったり、買い物行ったり、昼寝したりしてる中で。
エーテルとかやだけは、そっと抜け出してた。
人混みから少し離れた川沿い。
冬の空気が澄んでて、息が白くなる。
エーテルは何も言わず、自然エネルギーでかやの手をほんのり温めてる。
カイロ代わり。
かや
「……便利すぎでしょ、それ」
エーテル
「昔よりだいぶ弱くなったけどな」
少し寂しそうに笑う。
屋台で買ったたい焼きを半分こ。
かやが一口かじって
「中まであんこぎっしり!」
エーテル
「よかったな」
その顔見るだけで満足してるタイプ。
少し沈黙。
風の音だけ。
かやがぽつり。
「最近さ……忙しいけど、幸せだね」
エーテル
「うん」
「戦争も神もなくて、
団子売って、笑って、喧嘩して」
エーテルは空を見る。
「こういう時間が欲しくてさ
全部守ってきたんだと思う」
かやがエーテルの腕をぎゅっと掴む。
「離れたりしないでよ、もう」
エーテル
「……しない」
「今回はちゃんと生きる」
少し照れて目を逸らすかや。
「じゃあ今日くらいデートっぽくしよ」
エーテル
「お、いいね」
そのまま並んで歩きながら、
・手袋共有して片方ずつ使う
・自販機で温かい飲み物買って交換
・写真撮ろうとしてブレまくる
完全に普通の夫婦デート。
遠くでネメシスの声。
「父上ーーー!!団子追加焼いてーー!!」
エーテル
「……現実戻るか」
かや笑いながら
「逃げられないね」
でもその手は、最後まで離さなかった。
夕暮れ。
オレンジ色の空。
さっきまで笑ってた帰り道。
手、繋いでた。
温かかったはずの手。
でも――
スッ……
指先が、抜ける。
まるで握っていた空気が崩れるみたいに。
かや
「……え?」
振り返る。
エーテルは立っていなかった。
地面に、崩れるように倒れている。
音もなく。
「エーテル……?」
駆け寄る。
揺さぶる。
反応がない。
呼吸はある。
でも、浅い。
顔色が明らかに悪い。
さっきまで普通だったのに。
かやの声が震える。
「ねえ、ふざけてるのやめてよ……」
返事がない。
エーテルの手は冷たくなり始めている。
自然エネルギーの温もりが、ない。
完全に。
かやは抱き起こす。
「エーテル!!」
初めて、周囲の人が振り向くくらいの声。
エーテルの視界は暗い。
音が遠い。
でも、かやの声だけは微かに届く。
(あぁ……)
(やっぱり……まだ無理、か……)
身体の奥が軋む。
創生の代償。
あの時、完全には戻っていなかった。
無理やり動かしていた。
意識の底で思う。
(また心配かけるな……)
ほんの少しだけ、指が動く。
かやの袖を掴もうとして――
力が入らない。
かやは気づく。
微かに動いた指。
「戻ってきて……」
涙がぽたぽた落ちる。
「お願いだから、また勝手にいなくならないで」
その瞬間。
エーテルの胸の奥で、
小さく、自然エネルギーが揺れる。
暴れるわけでもなく。
ただ、弱々しく灯る。
でも意識は戻らない。
完全に、気絶。
遠くから走ってくる足音。
ネメシスの声。
「父上!?」
ルミナも。
琥珀も。
神谷も。
ひなたも。
かやはただ、抱きしめている。
「今回は……離さない」
エーテルは旅館の一室に運ばれ、布団に寝かされる。
呼吸は安定している。
脈もある。
ただ――目を覚まさない。
グアラがそっと手をかざす。
生命の気配を読むように、静かに。
しばらくして、ふっと息を吐く。
「大丈夫。ただの過労よ」
その声は穏やかだった。
「無理を重ねすぎただけ。数日休めば目を覚ますわ」
かやは胸を撫で下ろす。
「……本当に?」
「ええ。命に関わるものじゃない」
でも。
ネメシスは気づいていた。
グアラの指先が――微かに震えていたことを。
そして、視線を一瞬だけ逸らしたことを。
ルミナも感じ取る。
創生の血がざわつく。
“過労”だけじゃない。
アークが低く言う。
「グアラ」
「……なに?」
「全部言ってないな」
一瞬の沈黙。
グアラは微笑みを作る。
「心配しすぎよ」
でもその笑顔は、どこか固い。
夜。
みんなが静まった後。
グアラは一人、エーテルの枕元に座る。
そっと額に手を当てる。
生命神の力で深く覗き込む。
その瞬間、顔色が変わる。
(……やっぱり)
エーテルの身体の奥。
過労なんてレベルじゃない。
創生エネルギーを封じた反動。
人間の肉体で神の記憶と存在を支えている無理。
細胞そのものが、限界を越え始めている。
まるで――
寿命が一気に圧縮されているような状態。
グアラは小さく呟く。
「……あと、そう長くない」
誰にも聞こえない声で。
そして震える手を握りしめる。
「ごめん……まだ言えない」
「言ったら、あの人はまた無理をする」
布団の中のエーテルは、微かに眉をひそめる。
夢の中で――
かつての戦場。
星々。
家族の笑顔。
そして自分が倒れていく未来。
グアラは涙をこらえて微笑む。
「あなたはいつも……優しすぎるのよ」
その日からエーテルは、どこかおかしくなった。
縁側に座っていても――
庭を眺めたまま、動かない。
団子を焼いていても――
焦げる匂いがして、やっと気づく。
名前を呼ばれても、
一拍遅れて振り向く。
「エーテル?」
「……あぁ、ごめん」
笑うけど、目が合ってない。
ルミナが袖を引っ張る。
「パパ、また空見てる」
「雲、そんなに面白い?」
エーテルは少し考えてから答える。
「……いや」
「ただ、遠くに行ってる気がして」
ネメシスは胸がざわつく。
(前はこんな顔しなかった)
食事中も箸が止まる。
かやが声をかける。
「エーテル?冷めるよ」
「……あ、うん」
慌てて食べるけど、味を感じてない。
夜。
布団に入っても、目を閉じたまま動かない。
眠っているようで、起きている。
グアラだけが分かっていた。
これは“過労”なんかじゃない。
意識が少しずつ、身体から離れ始めている兆候。
命が削れていく時の――静かな前触れ。
ある日、エーテルは縁側でぽつりと言う。
「なぁ……」
かやが隣に座る。
「なに?」
「もしさ」
「俺が急にいなくなっても」
「みんな、ちゃんと笑ってられるかな」
空気が凍る。
「……縁起でもないこと言わないで」
かやは笑おうとする。
でもエーテルは真剣だった。
「なんとなくさ」
「未来が霧みたいで見えなくて」
ネメシスの手が震える。
ルミナが抱きつく。
「いなくならないで!」
エーテルは優しく頭を撫でる。
「大丈夫、大丈夫」
その声だけが、いつもより弱かった。
グアラは唇を噛む。
(もう始まってる……)
そして夜中。
誰もいない廊下でエーテルは壁にもたれる。
息が少し苦しい。
胸を押さえながら、静かに呟く。
「……なんだこれ」
「体が、俺の言うこと聞かねぇ」
でも誰にも言わない。
心配させたくないから。




